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僕たちは、そういう関係じゃない
彼の名前を知らない
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出会って、もう二年が経つ。
最初はGrindrで相互フォローした。彼は特に際どい投稿はしていなかった。アイコンはTシャツ姿の自撮り、黒縁メガネをかけた、清潔で素朴な男だった。
南国出身。タバコも酒もやらず、過剰な露出もない。
プログラマーらしい、白くて引き締まった体。言葉は少なく、どこか自然に冷たかった。その会話はまるでコードみたいに、短く、整然としていて、無駄がなかった。
僕が東京に引っ越したばかりの年、彼と繋がった。でも何となく疎遠になって、今年の春になってようやく、僕は彼の家の近所に越した。
徒歩十数分の距離に住んでいると気づいた僕は、ある日、何気なく送った。
「上野あたりに住んでる?」
「君もそこに?」
「うん、だいたいね」
「うち、来る?」
その日、東京は静かに雨が降っていた。
彼が送ってきた位置情報は、高級そうなマンションの一室。
ドアをノックすると、すぐに「待ってて」と中から声がする。
開いた瞬間、彼はグレーのTシャツに黒いショートパンツ、素足で立っていた。
一方の手には濡れた髪を拭うタオル、もう片方は扉の縁に添えられたまま。
僕はしばらく、言葉を失った。
その理由は、彼が特別にイケメンだったからではない。
むしろ、その整いすぎない素顔、その透けるように白く、抑制された静けさ。
そして、何より視線を引きつけたのは、足元の裸足と——
ショートパンツの内側で、明らかに勃ち上がったその輪郭だった。
右側へと流れるように膨らみ、布地の下で、呼吸にあわせて微かに脈打っている。
「……入って」
そう言った彼の声は低く、淡々としていた。
部屋には余計なものがなかった。黒い椅子、整えられたテーブル、その上に置かれた新品の歯ブラシ。
「それやるよ。新しいやつ」
彼が目線だけで示す。
「……ありがとう」
思わず笑ってしまう。
彼は椅子に座り、僕の上着を脱ぐ様子をじっと見ていた。
「最近誰かとした?」
「してない。忙しかったから。最後は……2、3週間前かな」
僕はそっと彼の隣に座った。
彼の腕が触れる。熱い。体温というより、内側から燃える何かに近かった。
そっと彼の太腿に触れた。
彼は反応しない。ただ目を落として、僕の手の動きを見ていた。
指をショートパンツの奥へと滑らせる。
指先に触れたのは、驚くほど硬く、跳ねるように反応する肉の塊。
「口と、後ろ。どっちが好き?」
「どっちでも」
「じゃあ、先にシャワー、浴びる?」
「うん」
バスルームから出てきた彼は、濡れた髪を軽くタオルで拭き、淡いグレーの下着一枚だけを身に着けていた。
中はまだ収まっておらず、硬く、角度のついた膨らみが明らかだった。
僕がベッドに腰かけると、彼が近づいてきて、僕を押し倒した。
動きはゆっくりだったが、力強かった。
コンドームをつけ、何度か腰を動かす。違和感が走る。
「擦れて痛い」
「外す?」
僕が頷く前に、彼は指先で素早く外し、ローションを塗り直した。
「中には出さない」
「……言い方、まるで我慢できるみたいだね」
彼は少し笑ったが、答えなかった。
二度目の挿入は、まるで別物だった。
僕は彼のものを見下ろした。
長く、ほどよく太く、先端が赤く光っていた。
彼は片手で僕の尻を支え、もう一方で割り開き、ゆっくりと、しかし確実に再び貫いてきた。
一瞬、意識が飛びそうになるほどの衝撃。
彼は奥まで深く、そして緩やかに進む。
その動きは、僕の敏感なところを何度も擦り、反応を引き出す。
彼の腰が打ちつけられるたび、僕の奥がきゅっと締まる。
僕は何も考えられなくなり、ただ、彼を受け入れるだけの存在に変わっていった。
「もう、イきそう?」
「……ん」
「待って、できれば、君が中でイってるところ、見たい」
「何、それ……」
言いかけた瞬間、奥がきゅっと収縮し、鈍い快感とともに、僕の中から熱があふれ出た。
彼はさらに数十回動き、抜き出すと、僕の腰に覆いかぶさり、手で扱きながら背中と尻に精液を吐き出した。
「ごめん、中じゃないけど……我慢できなかった」
「……出すなって言ったのに」
「出してない、ほら。外だけ」
僕が息を整えていると、彼はそっと僕の首筋に口づけた。
僕は彼の胸に手を伸ばした。
固く、熱く、弾力があった。つい何度も触ってしまう。
「本当に、久しぶりだったんだろう」
「うん。最近、ずっと忙しくて」
帰るころ、外はまだ小雨が降っていた。
歩くのが面倒で、彼の家のすぐ近くにあった豚骨ラーメン屋で、ラーメンを食べた。
食べながら、僕たちはまたGrindrでやりとりをした。
まるで初対面みたいに、スタンプを送り合った。
数日後、別のアプリで彼を見つけた。
挨拶をすると、彼は返してきた。
そこから、ようやくlineを交換した。
でも、今でも僕は彼の名前を知らないんだ。
最初はGrindrで相互フォローした。彼は特に際どい投稿はしていなかった。アイコンはTシャツ姿の自撮り、黒縁メガネをかけた、清潔で素朴な男だった。
南国出身。タバコも酒もやらず、過剰な露出もない。
プログラマーらしい、白くて引き締まった体。言葉は少なく、どこか自然に冷たかった。その会話はまるでコードみたいに、短く、整然としていて、無駄がなかった。
僕が東京に引っ越したばかりの年、彼と繋がった。でも何となく疎遠になって、今年の春になってようやく、僕は彼の家の近所に越した。
徒歩十数分の距離に住んでいると気づいた僕は、ある日、何気なく送った。
「上野あたりに住んでる?」
「君もそこに?」
「うん、だいたいね」
「うち、来る?」
その日、東京は静かに雨が降っていた。
彼が送ってきた位置情報は、高級そうなマンションの一室。
ドアをノックすると、すぐに「待ってて」と中から声がする。
開いた瞬間、彼はグレーのTシャツに黒いショートパンツ、素足で立っていた。
一方の手には濡れた髪を拭うタオル、もう片方は扉の縁に添えられたまま。
僕はしばらく、言葉を失った。
その理由は、彼が特別にイケメンだったからではない。
むしろ、その整いすぎない素顔、その透けるように白く、抑制された静けさ。
そして、何より視線を引きつけたのは、足元の裸足と——
ショートパンツの内側で、明らかに勃ち上がったその輪郭だった。
右側へと流れるように膨らみ、布地の下で、呼吸にあわせて微かに脈打っている。
「……入って」
そう言った彼の声は低く、淡々としていた。
部屋には余計なものがなかった。黒い椅子、整えられたテーブル、その上に置かれた新品の歯ブラシ。
「それやるよ。新しいやつ」
彼が目線だけで示す。
「……ありがとう」
思わず笑ってしまう。
彼は椅子に座り、僕の上着を脱ぐ様子をじっと見ていた。
「最近誰かとした?」
「してない。忙しかったから。最後は……2、3週間前かな」
僕はそっと彼の隣に座った。
彼の腕が触れる。熱い。体温というより、内側から燃える何かに近かった。
そっと彼の太腿に触れた。
彼は反応しない。ただ目を落として、僕の手の動きを見ていた。
指をショートパンツの奥へと滑らせる。
指先に触れたのは、驚くほど硬く、跳ねるように反応する肉の塊。
「口と、後ろ。どっちが好き?」
「どっちでも」
「じゃあ、先にシャワー、浴びる?」
「うん」
バスルームから出てきた彼は、濡れた髪を軽くタオルで拭き、淡いグレーの下着一枚だけを身に着けていた。
中はまだ収まっておらず、硬く、角度のついた膨らみが明らかだった。
僕がベッドに腰かけると、彼が近づいてきて、僕を押し倒した。
動きはゆっくりだったが、力強かった。
コンドームをつけ、何度か腰を動かす。違和感が走る。
「擦れて痛い」
「外す?」
僕が頷く前に、彼は指先で素早く外し、ローションを塗り直した。
「中には出さない」
「……言い方、まるで我慢できるみたいだね」
彼は少し笑ったが、答えなかった。
二度目の挿入は、まるで別物だった。
僕は彼のものを見下ろした。
長く、ほどよく太く、先端が赤く光っていた。
彼は片手で僕の尻を支え、もう一方で割り開き、ゆっくりと、しかし確実に再び貫いてきた。
一瞬、意識が飛びそうになるほどの衝撃。
彼は奥まで深く、そして緩やかに進む。
その動きは、僕の敏感なところを何度も擦り、反応を引き出す。
彼の腰が打ちつけられるたび、僕の奥がきゅっと締まる。
僕は何も考えられなくなり、ただ、彼を受け入れるだけの存在に変わっていった。
「もう、イきそう?」
「……ん」
「待って、できれば、君が中でイってるところ、見たい」
「何、それ……」
言いかけた瞬間、奥がきゅっと収縮し、鈍い快感とともに、僕の中から熱があふれ出た。
彼はさらに数十回動き、抜き出すと、僕の腰に覆いかぶさり、手で扱きながら背中と尻に精液を吐き出した。
「ごめん、中じゃないけど……我慢できなかった」
「……出すなって言ったのに」
「出してない、ほら。外だけ」
僕が息を整えていると、彼はそっと僕の首筋に口づけた。
僕は彼の胸に手を伸ばした。
固く、熱く、弾力があった。つい何度も触ってしまう。
「本当に、久しぶりだったんだろう」
「うん。最近、ずっと忙しくて」
帰るころ、外はまだ小雨が降っていた。
歩くのが面倒で、彼の家のすぐ近くにあった豚骨ラーメン屋で、ラーメンを食べた。
食べながら、僕たちはまたGrindrでやりとりをした。
まるで初対面みたいに、スタンプを送り合った。
数日後、別のアプリで彼を見つけた。
挨拶をすると、彼は返してきた。
そこから、ようやくlineを交換した。
でも、今でも僕は彼の名前を知らないんだ。
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