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第二十一章 最強の竜騎士 その名は……

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「でもね、あのイケメンのリーダー、リューゴ君っていうのかな? 彼のことはまったく知らないわ。たぶんアタシが王宮から離れているうちに代替わりしたのでしょう。年齢はユウちゃんと同じくらいに見えるのに、えらい出世よね」

「ちょっと待ってください、つまり……」
 僕は数秒考えてから、男爵に言った。
“王の騎士団キングスナイツ”が、ロードラント王国トップの位置にある騎士団だとすると、そのリーダーであるリューゴは名実ともに王国で最強の竜騎士、ということですよね?」

「ま、そういう結論になるわね」

 それを聞いて、さらに絶望的な気分になった。
 自分にも白魔法というスキルがある分、現実世界よりはましかもしれない。
 が、それでもとてもリューゴにはとてもかなわないだろう。

 結局、この異世界でも、リナへの想いをとげることは無理なのか――

「そんな完璧な人がこんな間近にいるなんて、反則ですよ……」

「完璧な人? リューゴ君が?」
 と、男爵が首をかしげる。

「ええ、男爵様もそうは思えませんか? 強くて、顔も良くて、竜騎士の頂点に立っていて……すべて兼ね備えた完全無欠の人じゃないですか」

「うーん、それはどうかしら。いい? 神様じゃあるまいし、完璧な人間なんてこの世に存在しないのよ」

「え……?」

「だってもし仮にリューゴ君が神様に等しい存在なら、今回の戦争だって一瞬で勝てたはずでしょう? なんてったって彼の率いる最強の王の騎士団キングスナイツが参戦したんですから。
 でも実際は、戦いに勝つどころか恋人であるあの娘リナまで危険にさらす羽目になってしまったじゃない」

「……確かに」

「ま、個々の力がいくら優れていても、戦争って負ける時は負けるんもだけどね――ともかく、アタシはユウちゃんにもまだチャンスはあると思うわ。なにしろユウちゃんは、リューゴ君にはない魅力を持っているんですから」

「魅力? そんなのないと思いますけど……」

「なぁに、その自信なさげな顔!  ダメよ、自分を信じなきゃ。――でもって、老婆心ながらもう一つアドバイス」
 と、男爵は僕の顔を覗き込んだ。
「覚えといて。あんな娘リナに執着しなくても、この世にはイイ女がいーっぱい居るわよ」

「そんな! 彼女以上の人、僕にはいません!」

「えーそうからしら? たとえば名前に“ア”が付く女の子とかぁ」

「……!?」

「アタシのカンでは、その女の子は、もしかしたらあなたのことが好きになりかけているかもしれないわよ」

 この異世界で名前に“ア”が付く女の子。
 思い当たるのは一人しかいない。

 それはもちろん――

「ア、アリス王女様!?」

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