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第十章 スランプ
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食事が終わり、片づけを済ませたところで、彩香は、勉強を行う。数学の課題が出ていたからだ。
そしてそれを終えてから、隣の机に座り、パソコンの本体に手を伸ばして、パソコンを起動させた。
高性能なパソコンはすぐにウィンドウズを立ち上げさせ、デスクトップ画面が表示される。
そこで彩香は、クリップスタジオを起動した。クリップスタジオはイラストや漫画を描くのに適したソフトウェアだ。彩香はこれを使い、漫画を描いている。
その漫画のジャンルとは――。
画面にキャンパスウィンドウが表示された。キャンパスウィンドウは自由に書き込みができるスケッチブックのような場所だ。
そこに創作途中の漫画が映し出されている。
裸の男同士が絡み合っている絵であった。
現在描いているのは、社会人男性同士の恋愛を描いたボーイズラブの漫画だ。
引っ込み思案な上司と、積極的な部下。上司は立場も年も上でありながら、立場も年も下である部下に迫られ、戸惑いながらも受け入れていく。
やがて、紆余曲折を経て、二人はようやく結ばれるのだ。だが、その肝心の性交のシーンが上手く描けないでいた。
何度も手直しを行いながら、タブレットの上で、電子ペンを走らせる。時にはネットで検索を行い、参考になりそうな画像を引っ張り出す。しかし、一向に先へと進まなかった。
彩香は大きな溜息をついて、やや乱暴に電子ペンを置いた。上手く創作活動が進まないことほど、フラストレーションが溜まることはない。
イライラが募り始めたところで、背後でユーリーが動く気配がした。
振り向くと、ユーリは着替えを行っていた。部屋着から、ニットカーディガンとジーパンを組み合わせたカジュアルな服装に変わっている。服自体は安物だが、素体がいいので、ファッション雑誌の少年モデルのような様相を呈していた。
彩香はユーリーに話しかける。
「今日も『食事』?」
ユーリーは首肯した。
「うん。すぐに戻ってくるよ」
ユーリーは、楽しそうに答える。陶器のような白い肌が、かすかに上気していた。
これからユーリーは、人間の男性を襲いにいくのだ。
ユーリは淫魔であるため、人間と性交やスキンシップを行い、精を吸う必要があった。淫魔にとって、精は人間で言うと栄養みたいなものである。摂取しないと次第に弱っていく。通常の人間の食事でも僅かに補給はできるものの、それではとても足りないらしい。
ふとある思考が、彩香の頭をよぎった。
ユーリーの鼻筋の通った美麗な顔を見つめながら、彩香は訊く。
「ねえ、私も付いて行っていい?」
彩香の突然の申し出に、ユーリーは驚いた表情をした
。
「いいけど、どうして?」
彩香は、自身の漫画の行き詰まりについて説明を行った。そして、最後にこうリクエストする。
「だから社会人の男の人を犯して。それも二人。一人は四十代くらいで、大人しそうな人、もう一人は、その人よりも若くて、やんちゃな感じの人」
「条件多いなぁ。でも」
ユーリーは、華奢ながら、スタイルのいい己の体をかき抱いた。やがて、目が獲物を狙う肉食獣のように、鋭く光る。
「社会人のおじさん相手というのもいいかもね。たまには。いつものようにイカせまくっていいんでしょ?」
「もちろん!」
彩香の心は躍った。
上手くいけば、これでスランプを脱出できるかもしれない。それにさらなるアイディアが生まれる可能性だってある。その上、男同士の生の性交をこの目で見られるのだ。
今回、思い切って頼んだのは正解だったようだ。以前からお願いしようとは考えていたものの、機会がなかった。今回を契機に頼みやすくなる。スランプが故の僥倖とも言えた。
彩香は、これから行われるBL的展開を思い描き、期待で胸を膨らませた。
そしてそれを終えてから、隣の机に座り、パソコンの本体に手を伸ばして、パソコンを起動させた。
高性能なパソコンはすぐにウィンドウズを立ち上げさせ、デスクトップ画面が表示される。
そこで彩香は、クリップスタジオを起動した。クリップスタジオはイラストや漫画を描くのに適したソフトウェアだ。彩香はこれを使い、漫画を描いている。
その漫画のジャンルとは――。
画面にキャンパスウィンドウが表示された。キャンパスウィンドウは自由に書き込みができるスケッチブックのような場所だ。
そこに創作途中の漫画が映し出されている。
裸の男同士が絡み合っている絵であった。
現在描いているのは、社会人男性同士の恋愛を描いたボーイズラブの漫画だ。
引っ込み思案な上司と、積極的な部下。上司は立場も年も上でありながら、立場も年も下である部下に迫られ、戸惑いながらも受け入れていく。
やがて、紆余曲折を経て、二人はようやく結ばれるのだ。だが、その肝心の性交のシーンが上手く描けないでいた。
何度も手直しを行いながら、タブレットの上で、電子ペンを走らせる。時にはネットで検索を行い、参考になりそうな画像を引っ張り出す。しかし、一向に先へと進まなかった。
彩香は大きな溜息をついて、やや乱暴に電子ペンを置いた。上手く創作活動が進まないことほど、フラストレーションが溜まることはない。
イライラが募り始めたところで、背後でユーリーが動く気配がした。
振り向くと、ユーリは着替えを行っていた。部屋着から、ニットカーディガンとジーパンを組み合わせたカジュアルな服装に変わっている。服自体は安物だが、素体がいいので、ファッション雑誌の少年モデルのような様相を呈していた。
彩香はユーリーに話しかける。
「今日も『食事』?」
ユーリーは首肯した。
「うん。すぐに戻ってくるよ」
ユーリーは、楽しそうに答える。陶器のような白い肌が、かすかに上気していた。
これからユーリーは、人間の男性を襲いにいくのだ。
ユーリは淫魔であるため、人間と性交やスキンシップを行い、精を吸う必要があった。淫魔にとって、精は人間で言うと栄養みたいなものである。摂取しないと次第に弱っていく。通常の人間の食事でも僅かに補給はできるものの、それではとても足りないらしい。
ふとある思考が、彩香の頭をよぎった。
ユーリーの鼻筋の通った美麗な顔を見つめながら、彩香は訊く。
「ねえ、私も付いて行っていい?」
彩香の突然の申し出に、ユーリーは驚いた表情をした
。
「いいけど、どうして?」
彩香は、自身の漫画の行き詰まりについて説明を行った。そして、最後にこうリクエストする。
「だから社会人の男の人を犯して。それも二人。一人は四十代くらいで、大人しそうな人、もう一人は、その人よりも若くて、やんちゃな感じの人」
「条件多いなぁ。でも」
ユーリーは、華奢ながら、スタイルのいい己の体をかき抱いた。やがて、目が獲物を狙う肉食獣のように、鋭く光る。
「社会人のおじさん相手というのもいいかもね。たまには。いつものようにイカせまくっていいんでしょ?」
「もちろん!」
彩香の心は躍った。
上手くいけば、これでスランプを脱出できるかもしれない。それにさらなるアイディアが生まれる可能性だってある。その上、男同士の生の性交をこの目で見られるのだ。
今回、思い切って頼んだのは正解だったようだ。以前からお願いしようとは考えていたものの、機会がなかった。今回を契機に頼みやすくなる。スランプが故の僥倖とも言えた。
彩香は、これから行われるBL的展開を思い描き、期待で胸を膨らませた。
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