71 / 197
71話
しおりを挟む
次の日。慣れない旅行で疲れていたお陰で良く眠れたのか、一番最初に目を覚ましたのは珍しくも奏だった。
「ぅん……?」
「おや、奏が一番乗りじゃな」
「っ…お、はよ…」
なにやら気まずそうな奏の様子に、思わず瑠華が苦笑する。
「顔を洗って来ると良い。そろそろ朝餉も届くじゃろうしの」
「わ、分かった」
目線を下に向けて瑠華と目を合わせないようにしながら、奏が足早に洗面所へと消える。
「……ぎこちないですねぇ」
「起きておったのか」
「つい先程。痛た……」
奏が起きて少ししてから、紫乃もまた目を覚ましていた。昨日口にした酒の影響か、痛む頭を押さえて布団から起き上がる。
「水は要るかの?」
「…お願いします」
瑠華がグラスに注いだ常温の水を手渡し、ゆっくりと口に含む。
「うぅ……」
「舐めただけじゃろうに、重症じゃのぅ」
「……私、お酒はあまり強くないので」
「……珍しいのう?」
紫乃の鬼人という種族の元となっている鬼は、皆等しく酒豪であるという印象が強い。実際それは当たっているし、紫乃が珍しい方である。……まぁそれでも、度数七十超えの酒をストレートで飲む馬鹿は流石に居ないが。平然と飲める瑠華がおかしい。
瑠華が紫乃を介抱している間に、顔を洗いに行っていた奏が戻って来た。
「あれ? 紫乃ちゃん体調悪いの?」
「いや、少し休めば問題なかろう」
「そ、そっか」
「……奏。そうも余所余所しいのも却って見苦しいぞ」
「うぐっ…」
「…まぁ良かろう。今日の予定じゃが、このまま帰るというのも味気無いと思うての。この近くに水族館があるらしいのじゃが、そこに寄るのはどうじゃ?」
「え、水族館…?」
「嫌かの?」
「いやっ!? 全然ダイジョウブ!」
「……」
いきなり片言になった奏に疑問符しか浮かばないが、朝から調子がおかしいので放置する。
そして奏が何故そうも挙動不審になったかと言えば。
(水族館…デート? デートじゃん!?)
ガッツリ意識していたからだった。ついでに混乱もしている。取り敢えず落ち着け。
「おあよ~…」
「おはようじゃ。凪沙は三番目じゃのぅ」
続いて寝ぼけ眼で起きてきたのは凪沙である。のそのそと起き上がると、ボーッとした頭で座椅子に座る瑠華に近付き、その太腿に頭を乗せた。
「んー…」
「これ。妾で二度寝するでないわ」
「眠い…もうちょっと…」
グリグリと額を押し付けイヤイヤと駄々を捏ねる凪沙に、瑠華が溜息を吐きつつも頭を撫でて落ち着かせる。
「凪沙が妙に積極的…」
その光景に思わず奏が唖然とした表情を浮かべる。ここまで凪沙が積極的に瑠華にアピールするという状況は、今までに覚えがない。
そしてそんな声が聞こえた凪沙はと言うと…
「……ふっ」
「っ!?」
優越感を滲ませる笑みを奏へと向け、鼻で笑った。それで奏は、凪沙の寝ぼけが演技であった事を知る。
「紫乃。皆を起こしてくれるかの?」
「……かしこまりました」
瑠華からの頼みで紫乃が皆を起こしに掛かるその間、奏と凪沙は互いに睨み合い、バチバチと激しく火花を散らしていた。
当然それには瑠華も気付いていたが、口を挟むと対処が面倒そうだったので放置していた。触らぬ神に祟りなし。……瑠華はどちらかと言うと祟る側だが。
紫乃によって皆が起こされ朝の支度が終わったところで、丁度部屋に朝食が運び込まれる。その席で瑠華が水族館に行くのはどうかと話題に出せば、当然の事ながら反対意見は出なかった。
「班分けは?」
「今回は皆で回るのも良いかと思っておるのじゃが、どうじゃろうか?」
遊園地とは違い見て回るのが目的なのだから、わざわざ班分けを行う必要も無いだろうと瑠華は思っていた。これには昨日の午前で辛酸を舐めた奏も御満悦である。
「にしても水族館かぁ……どんな所なんだろ」
「遊園地も水族館も、共に未経験の場所じゃからのぅ」
「ん。楽しみ」
「確か友好的なモンスターの展示もあるんだっけ?」
ダンジョンという物が現れてからというもの、動物園や水族館、博物館等といった展示を行う場所の在り方は随分と変化していた。今回行く事にした水族館も例に漏れず、友好的なモンスターの展示が行われているそうだ。
「友好的、のぅ…?」
その謳い文句に違和感を覚えるのは、瑠華にとっては当然だった。魔物とは屈伏させて初めて意思の疎通が出来るようになるのが当たり前だからだ。
(契約しているのであればそれで良いが……まぁ妾が首を突っ込む必要も無い事じゃな)
レギノルカであったのならば少々口を挟む事もあろうが、今はただの瑠華である。身に掛かる火の粉は払うが、対岸の火事をわざわざ鎮火する理由は無い。……目に入ったら流石に放置はしないだろうが。
「大丈夫なのでしょうか…?」
「これまで問題が起きていないのであれば、大丈夫じゃろう。それにもし何があったとしても妾がおるからの」
「…その言葉の安心感が凄いですね」
思わず苦笑いを浮かべるも、その言葉に偽りが無い事は紫乃が一番良く理解していた。
(龍人形態の瑠華様は凄まじかったですからね……)
瑠華と出会った時には欲に呑まれていた紫乃だったが、何もその時の記憶が無い訳では無い。その絶望的なまでの純粋な暴力を味わった感覚は、この先決して消える事は無いだろうと紫乃は思う。
「そんなに危険かな?」
「危険はそう無いじゃろうが…普段問題が無いからと言って、今日も問題が起きないとは限らんからの」
「そういうもの?」
「心配するに越したことはないというだけじゃよ。もし問題が起きたとしても妾が対処する故、安心して楽しむが良い」
「……瑠華ちゃんそれで楽しめる?」
「おや、妾を心配出来る立場かえ?」
「ぅ…」
クスクスと笑う瑠華に、奏は言葉を詰まらせる。瑠華を心配出来るほどの実力が無いのは、ついこの前に身を持って実感したばかりである。
「少し言葉がキツかったのぅ」
「あ…」
瑠華が眉を下げて奏の頭を撫でる。それだけで萎んだ気分が持ち直すのだから、現金なものだと内心奏が苦笑する。
「まぁ心配する必要は無い。妾は皆が楽しく過ごしている様子を見るだけで十分じゃからの」
「…うん」
「瑠華お姉ちゃん。私も私も」
奏の事を羨ましそうな眼差しで見詰めていた凪沙が、自分の頭を瑠華へと差し出す。
「珍しく甘えん坊じゃの?」
「……ん。これくらいしないと無理だと思った」
「何が無理なのか分からんのじゃが…」
「瑠華お姉ちゃんは知らなくていい。かな姉との戦いだから」
「………まぁ深くは聞かないでおこうかの」
「ぅん……?」
「おや、奏が一番乗りじゃな」
「っ…お、はよ…」
なにやら気まずそうな奏の様子に、思わず瑠華が苦笑する。
「顔を洗って来ると良い。そろそろ朝餉も届くじゃろうしの」
「わ、分かった」
目線を下に向けて瑠華と目を合わせないようにしながら、奏が足早に洗面所へと消える。
「……ぎこちないですねぇ」
「起きておったのか」
「つい先程。痛た……」
奏が起きて少ししてから、紫乃もまた目を覚ましていた。昨日口にした酒の影響か、痛む頭を押さえて布団から起き上がる。
「水は要るかの?」
「…お願いします」
瑠華がグラスに注いだ常温の水を手渡し、ゆっくりと口に含む。
「うぅ……」
「舐めただけじゃろうに、重症じゃのぅ」
「……私、お酒はあまり強くないので」
「……珍しいのう?」
紫乃の鬼人という種族の元となっている鬼は、皆等しく酒豪であるという印象が強い。実際それは当たっているし、紫乃が珍しい方である。……まぁそれでも、度数七十超えの酒をストレートで飲む馬鹿は流石に居ないが。平然と飲める瑠華がおかしい。
瑠華が紫乃を介抱している間に、顔を洗いに行っていた奏が戻って来た。
「あれ? 紫乃ちゃん体調悪いの?」
「いや、少し休めば問題なかろう」
「そ、そっか」
「……奏。そうも余所余所しいのも却って見苦しいぞ」
「うぐっ…」
「…まぁ良かろう。今日の予定じゃが、このまま帰るというのも味気無いと思うての。この近くに水族館があるらしいのじゃが、そこに寄るのはどうじゃ?」
「え、水族館…?」
「嫌かの?」
「いやっ!? 全然ダイジョウブ!」
「……」
いきなり片言になった奏に疑問符しか浮かばないが、朝から調子がおかしいので放置する。
そして奏が何故そうも挙動不審になったかと言えば。
(水族館…デート? デートじゃん!?)
ガッツリ意識していたからだった。ついでに混乱もしている。取り敢えず落ち着け。
「おあよ~…」
「おはようじゃ。凪沙は三番目じゃのぅ」
続いて寝ぼけ眼で起きてきたのは凪沙である。のそのそと起き上がると、ボーッとした頭で座椅子に座る瑠華に近付き、その太腿に頭を乗せた。
「んー…」
「これ。妾で二度寝するでないわ」
「眠い…もうちょっと…」
グリグリと額を押し付けイヤイヤと駄々を捏ねる凪沙に、瑠華が溜息を吐きつつも頭を撫でて落ち着かせる。
「凪沙が妙に積極的…」
その光景に思わず奏が唖然とした表情を浮かべる。ここまで凪沙が積極的に瑠華にアピールするという状況は、今までに覚えがない。
そしてそんな声が聞こえた凪沙はと言うと…
「……ふっ」
「っ!?」
優越感を滲ませる笑みを奏へと向け、鼻で笑った。それで奏は、凪沙の寝ぼけが演技であった事を知る。
「紫乃。皆を起こしてくれるかの?」
「……かしこまりました」
瑠華からの頼みで紫乃が皆を起こしに掛かるその間、奏と凪沙は互いに睨み合い、バチバチと激しく火花を散らしていた。
当然それには瑠華も気付いていたが、口を挟むと対処が面倒そうだったので放置していた。触らぬ神に祟りなし。……瑠華はどちらかと言うと祟る側だが。
紫乃によって皆が起こされ朝の支度が終わったところで、丁度部屋に朝食が運び込まれる。その席で瑠華が水族館に行くのはどうかと話題に出せば、当然の事ながら反対意見は出なかった。
「班分けは?」
「今回は皆で回るのも良いかと思っておるのじゃが、どうじゃろうか?」
遊園地とは違い見て回るのが目的なのだから、わざわざ班分けを行う必要も無いだろうと瑠華は思っていた。これには昨日の午前で辛酸を舐めた奏も御満悦である。
「にしても水族館かぁ……どんな所なんだろ」
「遊園地も水族館も、共に未経験の場所じゃからのぅ」
「ん。楽しみ」
「確か友好的なモンスターの展示もあるんだっけ?」
ダンジョンという物が現れてからというもの、動物園や水族館、博物館等といった展示を行う場所の在り方は随分と変化していた。今回行く事にした水族館も例に漏れず、友好的なモンスターの展示が行われているそうだ。
「友好的、のぅ…?」
その謳い文句に違和感を覚えるのは、瑠華にとっては当然だった。魔物とは屈伏させて初めて意思の疎通が出来るようになるのが当たり前だからだ。
(契約しているのであればそれで良いが……まぁ妾が首を突っ込む必要も無い事じゃな)
レギノルカであったのならば少々口を挟む事もあろうが、今はただの瑠華である。身に掛かる火の粉は払うが、対岸の火事をわざわざ鎮火する理由は無い。……目に入ったら流石に放置はしないだろうが。
「大丈夫なのでしょうか…?」
「これまで問題が起きていないのであれば、大丈夫じゃろう。それにもし何があったとしても妾がおるからの」
「…その言葉の安心感が凄いですね」
思わず苦笑いを浮かべるも、その言葉に偽りが無い事は紫乃が一番良く理解していた。
(龍人形態の瑠華様は凄まじかったですからね……)
瑠華と出会った時には欲に呑まれていた紫乃だったが、何もその時の記憶が無い訳では無い。その絶望的なまでの純粋な暴力を味わった感覚は、この先決して消える事は無いだろうと紫乃は思う。
「そんなに危険かな?」
「危険はそう無いじゃろうが…普段問題が無いからと言って、今日も問題が起きないとは限らんからの」
「そういうもの?」
「心配するに越したことはないというだけじゃよ。もし問題が起きたとしても妾が対処する故、安心して楽しむが良い」
「……瑠華ちゃんそれで楽しめる?」
「おや、妾を心配出来る立場かえ?」
「ぅ…」
クスクスと笑う瑠華に、奏は言葉を詰まらせる。瑠華を心配出来るほどの実力が無いのは、ついこの前に身を持って実感したばかりである。
「少し言葉がキツかったのぅ」
「あ…」
瑠華が眉を下げて奏の頭を撫でる。それだけで萎んだ気分が持ち直すのだから、現金なものだと内心奏が苦笑する。
「まぁ心配する必要は無い。妾は皆が楽しく過ごしている様子を見るだけで十分じゃからの」
「…うん」
「瑠華お姉ちゃん。私も私も」
奏の事を羨ましそうな眼差しで見詰めていた凪沙が、自分の頭を瑠華へと差し出す。
「珍しく甘えん坊じゃの?」
「……ん。これくらいしないと無理だと思った」
「何が無理なのか分からんのじゃが…」
「瑠華お姉ちゃんは知らなくていい。かな姉との戦いだから」
「………まぁ深くは聞かないでおこうかの」
25
あなたにおすすめの小説
異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!
枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕
タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】
3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる