魔王様、仕事して下さい！

旧友との再会

　転移した先は、森の中。いつもの場所って言ってもここにきたの何年前だ…？随分と様変わりしてるなぁ……。

「お。いたいた。ちゃんと来てくれたか」

　そう言いながらガサガサと茂みを揺らし現れたのは……いい感じの年齢のエルフの男。わたしの友人にして、仲間の1人だ。

「わたしが約束破ると？」

　しかもついさっきの約束を。

「確認だ、確認。疑ってた訳じゃねぇよ」
「…まぁいいや。何年ぶりかな？」
「…とうとうボケたか？ぐほっ！？」
「確認だっつーの。ボケとらんわ！」
「うぅ…ちょっとした冗談だったのに…」

　わたしからしたら冗談に聞こえないんだよ！

「全く…80年くらい？」
「まぁ、そんなもんだな。にしてもお前変わんねぇなぁ…」
「そう言うディルも……いや、少し老けたね」
「分かるか。近頃腰痛くてなぁ」
「それは嘘だ」
「……ちっ。老人アピールだったのに」
「アピールしてどうするのよ…労いたわって欲しいの？」
「…いや、いい。お前から労わられるとか次の日死んでてもおかしくねぇわ」
「どういう意味だおい」
「おお怖ぇ。幼女の姿でその口調とか」
「幼女言うな」
「…幼い女」
「結局幼女だっ！」
「かはっ！？」

　直接殴るには身長差があるので、魔力の塊を腹にぶつけた。

「全く……行かないの？」
「わぁったよ。おぉ痛てぇ…」

　腹を擦りながら男…ディルヴァーが背を向けて歩き始めたので、わたしはその後ろをついて行った。


　少し歩くと、木の上に建つ家が見えてきた。

「ようこそ、俺の家へ」
「……大きくなった？」

　明らかに前来た時より家が大きくなっているような……

「そら、子供3人出来たからな」
「……そんなにできたのね」
「おう。お前も……いや、いい」
「ねぇ何言おうとしたの？！ねぇ！？」
「何でもねぇ！」

　そそくさと逃げるようにして家へと続く階段を駆け上がるディルヴァー。
　……後できっちり締め上げてやる。




「誰が結婚できないだぁぁ！！」
「ちょっと待て！？家吹き飛ばすな！？」