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最終章EX 星の英雄
エピローグ2
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届かない筈の星に、手を伸ばした記憶が、ずっとある。
何故か、一瞬だけ届いた様な、あり得ない記憶もある。子供心に夢でも見たのだろうか?
今日、なんと転校生がやって来た。
学校も、街も、住む人皆が顔見知りのような、付き合いのある者達ばかりなので、これは大騒ぎな一大イベントだった。
かくゆうボクも、心が浮き立つのを抑え切れなかったが、それは他の子とは理由が違った。
転校生は、黒髪の男の子だったのだ。
その上、何故かその子は、抜き身の刀の様な、冷たくも研ぎ澄まされた、鋭い印象のする子で、転校生を囲んでの質問攻め、というよくある光景を、はなっから拒絶して、頑な性格に思えた。
でもボクは、その転校生と、是が非でも友達になりたかった。
だって、その、母星のある島国にある、東洋系の顔立ちや名前は、きっとシノビかサムライに縁(ゆかり)のある血筋に違いないからだ!
後、休み時間ごとに、彼の所に「お兄ちゃ~ん」と呼んで押し掛けて来ていた、これまた下級生の転校生らしき、見た事のない顔の少女は、輝かんばかりの白銀(プラチナブロンド)の髪をした、とびっきりの美少女だったのだ。
髪の色の違いや、顔立ちの違いから、腹違いの妹だったりするのだろうか、とか想像したりしていた。
実はボクにも、まるで似ていない妹がいるので、そこら辺もとっかかりとして会話が出来て、友達になれるのでは、とか考えたのだ。
ボクが放課後、まだ学校の手続きとかで帰りの遅い彼を待ち伏せして、引っ込み思案な自分を褒めてやりたいぐらいの勇気を動員して話しかけたのは、そういう訳だった。
でも、そのほとんどが空振りだったけど……
まだ舗装の完全じゃない、土道を並んで歩く。
「じゃ、じゃあ、その黒髪とかは……」
「先祖にそちらの地方の人はいたらしいけど、両親とも黒髪じゃない、隔世遺伝だね。シノビとかサムライは、まだそれらを継承している一族とかいるらしいけど、僕の家は関係ないよ」
「その名前も、“禅”や“善”ではなく?」
「うん。少なくとも、それらの字ではないと思うよ。父さんなりに考えたらしいけど」
「そっかぁ……」
ボクの声色には、あからさまに落胆の響きが出ていたのだろう。
「期待にそえず、悪いね」
と申し訳なそうにする、彼が思った程人付き合いの悪い子ではなかったのが、せめてもの救いだろうか。
「いいんだ。勝手な思い込みだったし。あ、でも、その耳も単なる形だけなのかな?」
「いや、耳は、エルフの血筋らしいよ。母さんの方。山岳民ではなく、森の民だけど、お偉い系統の人もいたらしい、とか言ってたかな」
「へぇー!凄いじゃないか!」
「……でも僕は、魔術も精霊術もからっきしだけどね」
むう、これも悪い事を聞いただろうか?見た目に色々な形質上の特質があるせいで、ついついそれらがあると思ってしまうのは、ボクみたいな単純な頭だと、そう思いがちなのだ。
「で、でもさ、妹さんなんて、凄い美少女だったし、さぞかしお母さんは―――」
「妹?僕は一人っ子だよ。……ああ、そうか、ルナの事か」
彼は顔をしかめて、手を乱暴に、否定する為に振った。
「あの子は、一緒の移民船に乗って来た、月で初めて知り合った子だよ。彼女自身は月世界人(ルナリアン)で、僕とは親戚でも何でもないんだ」
「そうなの?でも、その割に、随分と慕っているみたいだったけど……」
「それも謎なんだ。なんだか、恩返しがどうの、とか言って、要領を得ないんだ」
あんな美少女に慕われるなら、どんな理由でもいいように思えるけど、彼には、はた迷惑でしかないみたいだ。
どころでボクは、その「恩返し」という単語がツボで、ついつい笑ってしまった。
「……そんなに笑いごとかな」
「あ、ごめん。多分、君が思っているような事じゃないよ。ボクの妹も、似たような事を言って、昔、ちまたを騒がせたものだから」
「妹?妹がいたのか。……その子も、君みたいな赤毛の子なのかい?」
「?うん、まあ。双子の妹なんだ。今日は運悪く熱を出して、学校には来ていなかったけど。
でも、全然ボクと似てないし、赤毛も、まるで違う色だよ。妹のは、緋色っていうのかな。炎の様にに輝く、ボクとはまるで違う綺麗な色だよ」
それを聞いて、何故か彼は増々顔を曇らせる。
「なんだい?赤毛の女の子が嫌いなの?」
「あ~、うん。なんでかな、昔から苦手なんだ」
「トラウマ?赤毛の子に、昔いじめられたとか?」
「……そんな記憶はないんだけどね」
なんだろう。彼の話も要領を得ない。
ともかく、ボクが一方的に聞くばかりだったので、ボクは妹の話を続けた。クセはあるけど、自慢の妹なんだ。不思議な逸話の多い。
「会わない内から嫌われたら可哀想だし、話だけでも聞いてくれよ。自慢の妹なんだ」
「……まあ、話を聞くだけなら」
彼は不承不承頷く。
「まず、ボクが産まれる前の検査では、ボクは一人だった。産まれる前に、性別を知って、名前を考えたりするだろう?その検査で」
「??双子が一人って、どういう冗談?」
「普通そう思うよね。でも本当なんだ。で、ボクが産まれたら、何故か一緒に、妹もいたんだってさ」
「どんなオカルトなんだか」
「医者は言い訳に苦労した様だけど、ともかく産まれたからには仕方ない。ボクには、マルスなんて、火星の男の子にはありふれた、「石を投げればマルスに当たる」なんてことわざが火星にはあるぐらい、ありふれた名前だけど、女の子用の名前は用意していなかった両親は困って、「マリー」って無難な名前にしたんだ」
「ふーん。言葉の響きは、なんとなくいいね」
彼は、何か懐かしいものを思い出すみたいな、柔らかな表情をしている。
「マルスよりいいよ。人に間違われない。でもとにかく、マリーは元気過ぎるくらい元気に、ボクよりも活発で困るぐらいに成長したんだけど」
「けど?」
「五歳の時に、熱を出して寝込んだんだ。で、それが治って起きたら、急に「自分は恩返しの為に生まれた」とか言い出したんだ」
「……なんかもう、先が聞きたくない感じだよ」
「それからが大変。恩返しする人は、母星にいるからと、うちは引っ越さないのか、と両親に迫ったり、それが駄目だと分かると、アースティア行きの船に密航しようとしたり……」
「五歳児が?」
「五歳児が。一度は飛び立って、戻って来た船もあった。そんなのを、数年ごとに繰り返すんだ」
「かなりな問題児だね」
「うん。でも、マリーは頭もよく、運動も出来る。しかも凄い美人だ。その奇行と、やたら勝気で攻撃的なのを除けば、とてもいい、自慢の妹なんだよ」
「……君の妹思いは分かったけど、僕はむしろ、その妹さんには絶対会いたくなくなったよ。赤毛の他に、勝気で攻撃的な子なんて、ピンポイントに苦手なんだ」
「大人しい子が好みなのかい?大和撫子的な」
「いや、別に大人しいのが好き、とかじゃなく、乱暴なのとか、男勝りとか、そういうのが駄目なんだと思う」
まだ小学生なのに、女の子の好みがうるさいみたいだ。
ボクとしては、話をしている内に、彼とは気が合う感じがしたので、出来れば妹とも仲良くして欲しかったのだけど……。
その時―――
「ゼン!」
と、ボクらの向かう前方から、聞きなれた声の呼びかけに視線をやると、なんと話題の張本人、ボクの妹のマリーがいた。
あれ?でも、今、彼の名前を呼ばなかった?マリーは今日、学校に来てないのになんで……
「やっと……やっと来てくれた!待ちくたびれたんだから!」
意味不明な呟きと共に、マリーは全速力で駆けて来た。
同年代の子の、誰も追いつけないその健脚ぶりを発揮して。
そして、兄には目もくれずに、隣りにいた転校生目がけて抱き着こうとして、そこに白銀の光が一閃した。
マリーは、その直前で踏みとどまり、回避していた。って、え?え?
ボク等の目の前には、白いワンピースが眩しい、白銀の髪の少女が、ゼンの前に立ちふさがる様に、いつのまにか存在していた。
と、いうか、この子、今、マリーに素手で殴りかかった?
マリーもそれが分っているからか、両の拳を握り、ファイティングポーズを取っている。
「ちょ、ちょっと待って、マリー!年下と、いきなり喧嘩しないでくれよ!」
「マルスは黙ってて。これは女の戦いなんだから」
「お兄ちゃんに近づかないで下さい、火星のじゃじゃ馬!」
??なんでこの二人は、初対面なのに、こんなにやる気満々なんだ?
「……なんだか全然経緯が不明なんだけど、僕等は帰っていいかな?」
ゼンは、なんでかもう他人事で、関わりたくないオーラ全開だ。
「駄目よ!」
「駄目です!」
それが、なんだかんだで長い付き合いになる、ボク等の出会いだったんだけど、ゼンがすたこらと二人の脇を抜け、速足で歩み去るので、ボクも慌ててそれを追いかけた―――
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オマケ
マ「だから、あなた充分近くにいたでしょう?私の方が切実なの!」
ル「私だって、距離なんて関係ありません!管理者に邪魔されて、全然なんですからね!」
マ「分からない子ね!これは私の運命、あなたはお邪魔虫!」
ル「はあ?でも、お兄ちゃんは、貴方みたいな性格も見た目も、苦手みたいですけど?」
マ「そんな筈ないわ!少なくとも、性格はこれでいいのよ!私、見たんだから!」
ル「でも~、実際面と向かって言われたじゃないですか」
マ「絶対に、何かの間違いなんだから~~」
ゼ「なんでだろう。こういうやり取り、、見飽きたって言うか、お腹いっぱいだよ」
マ「なんとか止めてよ。君の事で争ってるんだし……」
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