5 / 16
第1章 魔の森編
005. 修行の日々(4)
しおりを挟む※
ところで、ラザンとゼンが森で野営をしている最初の日、ゼンはゴウセルに持たされた、二人用のテントを出して、てっきりラザンも一緒にそこで寝るのだとばかり思っていたのだが、ラザンはキッパリとそれを断った。
「“俺とじゃ”、お前は眠れんよ。俺も一人用のテントがあるから、そっちで寝るさ」
その理由は、その夜すぐに分かった。
ラザンは寝る前、いや夕食時から酒を飲んでいたのだが、寝る前も晩酌として酒を飲む。しかも恐ろしく大量に、だ。
その匂いはテントに籠り、テント内は酒蔵か何かの様に、アルコールの匂いで充満される。五感、鼻も耳も効くゼンでは、到底耐え切れないものであった。すでにテントその物にも匂いの残滓がしみついていた。まだ幼いゼンでは、匂いだけで酔ってしまうだろう。
しかもその後、ラザンは壮大なイビキと歯ぎしりを響かせて眠るのだ。
大き過ぎて、そのテント周辺はビリビリと震え、太鼓の様な打楽器を複数同時に目茶苦茶な組み合わせで鳴らし続けている様なものだった。
初日、それでゼンは一睡も出来なかった。
ゼンのその様子を見て、「スマン、スマン」とラザンは豪快に笑いながら謝り、自分のテントに遮音結界の魔具を設置するのを忘れていた事を説明した。
遮音結界は、その周囲に真空の膜を結界として作り出すもので、それを設置すれば同時に匂いも洩れなくなるのだ。(それも完全とは言えない事を、ゼンはその夜の内に知る…)
と、いう訳で、二人旅であるのに野営の時、二人は別々のテントで寝るのが基本となり、その後も最後までそれが変わる事はなかった。
その時のゼンはまだ知らないのだが、そうした環境は、ゼンにとっても好都合であった。
広めのテント内で、魔石や素材の整理、そして自主練と、“従魔の世話”が心おきなく出来るが為に……。
ラザンとゼンが昼間に倒した魔物は、ラザンが適当でいい、というので、数が膨大過ぎた事もあって、低級の物は魔石のみ、中級以上で食材としての肉が取れるものは、ある程度ゼンが解体して収納具に入れ、日々の食材として消費された。
夜中、別々になったのは、それらの魔石や素材の整理と、ゼンが一人でこなせる自主練、リュウ達が考えてくれた、上半身重視の強化鍛錬を行う時間となった。
旅の中盤、パラケスが合流するまでは、ゼンの収納具には時間遅延系の魔術はかかっていないので、普通の日持ちしない食材はどんどん消費していかなければ腐ってしまう。
だから、ゼンは勿体ない、と思いながらも解体して切り取る肉には、自分と師匠がすぐに食べ切れる分しか取れず、他は泣く泣く諦めるしかなかった。
干し肉として加工もしたい所なのだが、ラザンがそんな時間は無駄だと切り捨てる。必要であれば、村や街で買え、と。
ラザンにとってそれらは、ゴミ同然の価値しかないので、平気な顔で放置出来るのだが、下級冒険者のポーターをしていたゼンとしては、例え安くとも、売れる素材、食べられる食肉を諦めるのは、貧乏性で節約癖のついた彼には、断腸の思いであった。
ラザンは、解体すらしない、素材放置主義。やる気がまるでない怠け者冒険者だった。
それで今までどうしていたかと言うと、魔石ぐらいは刀でくり抜く。多少は高く売れそうな魔獣等は、大容量の収納具にそのまま入れ、ギルドに丸投げするか、闇業者に丸投げするか、なのであった。
そして、ギルドから高評価を受けたり、貢献度が高いと見なされたくないので、税金分、必要最小限の素材や魔石しか、冒険者ギルドには渡していなかった。
そのくせ、勝負事になると、負ける事を嫌い、闘技会でも上位の冒険者になってしまうので、ラザンは、強い癖に仕事をほとんどこなさない、問題児の冒険者として、ギルドマスターから毛虫の如く嫌われていた。
(冒険者の税金関連は、その国のギルドから全て支払われており、それは冒険者の報酬からキッチリと差し引かれている。なので冒険者は、その手の面倒な事は考えずに仕事が出来る仕組みになっていた。
期間内に規定の仕事をこなさない場合、それは税金も未払いとなってしまうので、その冒険者は冒険者資格を失い、ただの一般人となる)
小まめで几帳面で貧乏性なゼンは、この旅で、主に師匠が倒した素材、そして少量の自分の分、魔石の管理、整理、その売買まで全てを一手にこなす事となる。
まさに、優秀で真面目な得難い従者であり、有能な愛弟子となるのだった……。
※
どす黒い、緑の肌をした鬼の小人、攻撃的なに顔を醜悪に歪めるゴブリンだ。
ラザンにとってはどうでもいい、吹けば飛ぶ様な雑魚であったが、まだ幼く力の弱いゼンには、丁度いい相手だ。
普通の村人でも男なら、一対一で倒せなくもない魔物だが、奴等は基本、集団行動で活動する、群体動物の様な習性がある。
そして、すばしっこく、敏捷で狂暴、小柄な特性を生かして、とにかく手数と数の利で攻めて来る。余り頭は良くないが、普通の人間には充分に脅威となり得る相手だ。
メスが生まれない、という種族特性が、繁殖の為に他種族のメスをさらう、その悪辣さに輪をかけて、危険度を上げている。
見かけたら、即時殲滅対象だ。
そんなゴブリンも、この魔の森内では頻繁に見かける。何処かに大きな村でもあるのだろう。その内潰しに行くか、とラザンは、アリの巣でも壊す様な軽さで考える。
ラザンは適度にゴブリンの首を飛ばし、後ろにいるゼンの方に何匹か行くように調整している。
こんな小物、ラザンが威圧したら、硬直し、失禁して気絶してしまう。遠方なら、絶対に近づいては来ないだろう。今は“気”を抑えているので、人間に対する攻撃本能をむき出しで襲い掛かって来る。
ラザンはゼンの様子を見ながら、片手間でゴブリンを排除する。
腕の振り、身体の捻り、踏み込み、移動の速度に体重を乗せる工夫、今まではそれなりに手こずっていた複数のゴブリンを、首や腹等の弱い所を狙いつつ、巧みに威力のある一撃で攻撃している。
悪くない。満点、とまでは言い難いが、確実に上達し、成長している。
舌を巻く思いだ。やはり、自分よりも余程成長速度、上達速度が早い。
もし同い年の入門者として並んだら、嫉妬で目も眩まんばかりに胸を焦がすだろう。弟子で良かったぜ、等と密かに考えている。
ラザンとゼンが、総数三十体以上のゴブリンを無難に全滅させると、軽く一息つく。
ゼンはゴブリンの魔石を死体の山の中を速足で移動し、いちいち全部採取している。
ゴブリンの魔石なんぞ、二束三文にしかならんものを、とラザンは呆れ返る。
とにもかくにもその作業が終わったゼンに、ラザンは修行を次の段階に進める、と宣言した。
「じゃあ、いよいよ“気”の修行ですか?」
ゼンが意気込んで師匠に詰め寄る。リュウ達も使っていた闘気術を、自分も習えると心待ちにしていたのだ。
「あ~、いや、すまん。その前に、もうひとつやっておく事があった」
全然すまなそうな顔をせずに、ラザンは平気でゼンの希望を打ち砕く。
「……もうひとつ、ですか?この前もそう言ったような」
「だからスマン、と言ってるだろーが。
最後にやる技、型を教える。それも駆使して、お前さんの動きを完成させればいい」
「最後の、型、ですか?基本は一通りやったんじゃ?」
「一通り、ではあるが全部じゃない。いきなり全部覚えられる訳ねぇーつーの。基本の外殻をやったぐらいで、中身はまだまだあるからな。で、取り合えず、基本を覚えてからやる技術があるんだよ。それまでとはまるで違うからな。
それは、―――腕以外、剣以外の場所を使ってやる。その一例が、足技なんだが」
「足、ですか?」
ゼンが不思議そうな顔をする。前言っていた、“歩方”とは違うようだ。
「なんだ変な顔をして。剣術は、剣以外は使わないとか、つまらん常識、固定観念に捕らわれた事は言わんでくれよ。基本、この世界の武術は全て、人以外の、魔物、化物を相手にする為の技だ。
魔物は、腕が2本と決まったものばかりではない。基本、人外の化物達だ。尻尾だって使う奴もいる。こちらも使える部位は、全て使っていかにゃあ割に合わんのよ。
『流水』も、お上品に剣だけ使って綺麗に戦うだけの剣術じゃないって事だ。こっち(大陸)の流派でも、脚は多少は使う筈だぞ」
と、またラザンは人の悪い、ニヤニヤ笑いを浮かべる。
どうしてそう、皮肉気な笑いと言い方ばかりするのだろうか、とゼンは思うのだが、爽やかに笑うラザンも想像出来ない。
「そもそも、剣ってのは、人の上部についた腕を使って剣を持つ、が故に、下方に隙が多い。だからそれを、剣でいちいち防ぐんじゃなく、脚で防御し、更にやり返す事が出来る様にもするのが理想だ」
随分と乱暴な言いざまだが、内容は分からなくもない。
「鍛錬だが、木剣は使わない。徒手空拳でやるぞ」
「何も持たない?それって、武術ですか?」
「いや、剣なしで『流水』もやる。お前はまだ、表面的な動きのみだが。あれは、別に剣がなくても出来る。それに、手以外の動きを覚えるには―――お、いい教材が丁度来たな。お前は運がいい」
ゴブリンの血の匂いでも嗅ぎつけたのか、そこに重い足音を響かせながら現れたのは、血色の良い肌の色をした、大き目のオークだった。森の木々をかき分け、重そうな巨体を震わす。
身の丈2メートルは軽く超えている。普通のオークよりも大きいのは、戦士級なのか、オークの上位種なのかはゼンには分からない。
「迷宮(ダンジョン)のDオークより弱いんだが、まあ仕方ない。見ていろ」
ラザンもゆっくりとオークの方に歩み寄る。
ゼンに見本を見せる為で、身体強化も完全に解いた。それでも大した相手ではない。
オークは鼻息荒く、獲物でしかない人間に、持っていた大型の戦斧(バトル・アックス)を叩きつける。
ラザンは余裕でそれを大太刀を持った片手で受け止めた。
「こうして、相手と互角のつばぜり合い、押し合いになったりした時に……」
脚で蹴るのだろうか、と思ったゼンの考えとは違い、ラザンはヒョイと剣を引いて、その意表をつかれつんのめったオークに頭突きを喰らわせた。
鼻面をへし折られ、オークが攻撃された部位を片手で押さえ、身を引くそこで鞭のような下蹴りが、左右一回ずつ、放たれた。威力があり過ぎて、オークの両足、ふくらはぎ部分が砕けた。
鼻面を押さえたまま、立っていられなくなったオークは後方に倒れ込む。
「かぁーっ、なんつう弱い骨してんだ!カルシウム不足してんじぇねぇーのか?」
手本を少ししか見せられず、ラザンは不満げに顔をしかめる。
「役立たずが……」
ラザンは容赦なく、倒れて苦痛に呻くオークの胸骨を踏み潰してとどめを刺した。
「一応はこんな感じだ。腕が塞がれば、頭、脚、腕だって、肘打ちをしてもいい。“何でも”していいんだぜ。とにかく、空いている四肢で攻撃しろ」
実例と、それをこれから習う自分との格差があり過ぎて、ゼンは困るしかないが、もうそれは最初からなので仕方がない。
黙って頷くゼンを見て、ラザンも満足気に頷く。
「よし。ここだと又他の邪魔が入るかもしれん。野営している場所まで戻るか」
丁度いい見本、と喜んだ癖にいざ終るともう邪魔者扱いだ。
師匠の気紛れで破天荒、無茶苦茶な発言にも、ゼンは慣れつつあった……。
*******
オマケ劇場
ミ「新キャラって、出せばいいもんじゃないと思うですの」
リ「……女性キャラらしいわよ」
ミ「安易!〇ね!遅筆者!ですの!」
リ「……これって自虐よね」
ミ「意味ないですの」
リ「それはそれとして、幕間的な、番外の話も書いてるらしいわ」
ミ「本編進めてミンシャ出せ、ですの!」
リ「……そっちで出る可能性もあるわよ」
ミ「?なんでですの?」
リ「主様と、その……の、イチャイチャを書くらしいから」
ミ「え……?」
リ「感想に準じて、って訳でもないけど、そういうのが少ない、まだそこまで話が進んでないキャラのも書いていくらしいから。始めはザラ様ね」
ミ「……本編でそこまでいってない、あたし達も?」
リ「そう。可能性はあるわ。ただ、EXで私達はその…確定したから、後回しではあると思うの」
ミ「…もしかしてここ、予告変わりに使われてるですの?」
リ「そういう事みたいね」(ため息)
ル「お?じゃあ、まだなにもない、るーに、かのうせい、あるお!」
リ「それは否定しないわ」
ミ「なんでですの~~~!」
(忠犬の雄叫び)
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜
まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、
専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活
現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。
しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。
彼は大陸一の富を誇る名門貴族――
ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。
カイルに与えられたのは
・世界一とも言える圧倒的な財力
・財力に比例して増大する規格外の魔力
そして何より彼を驚かせたのは――
彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。
献身的なエルフのメイド長リリア。
護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。
さらに個性豊かな巨乳メイドたち。
カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。
すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――
「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」
領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、
時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、
最強の御曹司カイルは
世界一幸せなハーレムを築いていく。
最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく
かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。
ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!?
俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。
第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。
「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」
信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。
賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。
様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する!
異世界ざわつき転生譚、ここに開幕!
※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。
※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。
ポンコツと蔑まれた冒険者は最強クランをつくる
ぽとりひょん
ファンタジー
エアハルトは、幼なじみのエルメンヒルトを追ってダンジョンの町「ゴルドベルク」で冒険者になろうとする。しかし、彼のアビリティを見た人たちは冒険者を諦め村へ帰るように説得する。彼には魔力がなかった。魔力がなければ深層で魔物と戦うことが出来ないのだ。エアハルトは諦めきれずエルメンヒルトと肩を並べて冒険するため、冒険者となってポンコツと蔑まれながら、ソロでダンジョンに挑み始める。
最弱スライムに転生した俺、捕食スキルで無限進化していたら魔王軍すら支配してました
チー牛Y
ファンタジー
残業中に倒れた俺が次に目を覚ました時、なぜか異世界で最弱モンスターのスライムになっていた。
完全に詰んだ、戦う力もない。そう思っていた時、俺には一つだけ、とんでもないスキルがあった。
【捕食】
それは、倒した相手を取り込み、能力・スキル・力のすべてを奪うチート能力だった。
ゴブリンを食べれば腕力を獲得。
魔物を食べれば新スキルを習得。
レベルは爆速で上がり、進化は止まらない。
森の魔物を支配し、ダンジョンを制圧し、気づけば俺は魔物たちの王になっていた。
やがてその力は魔王軍すら飲み込み、世界の勢力図を塗り替えていく。
これは――
最弱スライムから始まる、無限進化の成り上がり無双譚。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる