やめたと思いたかっただけ

ルティエ

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クイーンズアンバランス

帰郷

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「クイーンズアンバランス!!」

 情報番組の狭間、テレビコマーシャルでかわいらしい声とかっこいい声が重なり聞こえ、ふと思い出す。

人気オンラインゲームと2度呼ばれたこのゲームを、1度目の人気と呼ばれた時に当時付き合っていた彼氏の為に始めたんだった。
でも結果的に言えばするべきではなかった。
元々ゲームに縁遠かった私が、想いだけでそれまでずっとプレイしてきた彼に追いつけるはずもなかった。

無茶なプレイング。
無茶な時間配分。
無茶な要求。

寝る間も惜しんで、息つく暇もなく、生活の為の金銭もそちらにだいぶつぎ込んでしまった。

「ほんと、どうかしてたな。」

呟きつつ思い出せば彼と別れてから随分経つ。
コマーシャルでは過去も現在も絶対に楽しめるとか、ええと。なんだっけ。

私がいた場所はとても寒かった。
部屋の温度とか外の気温とかそういう類いの事ではない。
ただひたすらにフィールドで待つのだ。
彼から声がかかるまで、一緒に行こうと言ってもらえるのを。

時にくる彼と仲のよい女性プレイヤーから嫉妬を買い、暴言を受けようとも待つのだ。

そうして私はひとつため息を落とした。

「どうしようもない事だってあった。」
「私、下手だったしさ。」
「ひとりぼっちでも楽しいこともあったじゃん。」

全部、嘘。
でも、でも、でも、でも。
心の中では全てに"でも"が付く。

気分転換にパソコンの電源を付ける。
流石、人気オンラインゲームだ。バナー広告が鬱陶しい。

「目障りだなぁ。いっそ…」

誰に向けた言葉でもない。
しかしそこまで発して驚いた。
私、今なんて続けようとした…?

いっそ、戻ってみるか。

気の迷いか一時の気まぐれか。
どういうわけだか私にも分からない。
捨てたモノを拾うというのは中々に違和感がある行動だとは思った。
インストールし、起動するとそこには覚えのある 楽しそうな愉快忌々しい不愉快 な文字と音楽が踊るのであった。
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