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クイーンズアンバランス
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「さて、なんだっけ?」
やめたのは随分前の事。
IDやパスワードを書いた紙の所在なんて、はるか昔の記憶だ。
どこへやったか、もしかしたら捨ててしまったのかもしれない。
もしかしたら時間が経ちすぎてアカウントが消えているのかもしれない。
全てを忘れて新しく始めるのも悪くないな、なんて思っていた矢先に画面に現れた
【ログインに成功しました。】
の文字。
キャラクターは何体か作ることができるスロットがあるのに1体のみ。
苦笑いをしながら選ぶ必要などないがキャラクターを選択するを押した。
「うわ、懐かし…。」
そこにいるのはかつての私の全て。
そして置き去りにした私。
支援を得意とし主なロールはヒーラー、バッファーのジョブを選んだ。
…選んだ?
語弊がある。選ばざるを得なかった。
誰かの為なんて動機、好意と耳障りのよくした言葉なだけでほぼ強制だ。
まあ、長くやっていなかったとはいえ長くもやっていたんだ。
それなりに装備も揃っている。
今の環境で使えるかはさておき、おそらく不便はなさそうだ。
辺りを見渡してみる。
私がやっていた頃には存在しなかった小竜のようなモンスターを連れたジョブが増えていた。
ここは多分メインストリートだと思う。
前回…と言ってもはるか昔にログアウトした場所とは違っている。
アップデートの影響…?
まぁ、どうだっていい。
そもそも、だ。
支援ジョブはなにからやり始めたらいいのか分からない。
戦闘ジョブとパーティーを組むことでしか冒険にくり出す術はないのだ。
しかし再ブレイクとあって、なかなか上級ジョブのプレイヤーは見当たらない。
ありとあらゆる変化があって、あてもなく右往左往している出戻り初心者の私は最上級ジョブなのに、だ。
「やりすぎたなぁ。」
こうなれば最早出来ることは新しいキャラクターの作成だろう。
そう思ってはみたものの、私の財産は、辞める時のそのままだ。
買い物などをして、現環境に合わせてから新しいキャラクターを作ろうとしたその時だと思う。
あまりに急なことで、多分とかそういう言葉でしか表現できないほど急だった。
突然メインストリートから山ほどいたNPCやプレイヤーが消えた。
「え…?えぇ…?」
残ったのは私含めお互い数歩の距離にいた数名のプレイヤーのみ。
画面には少し遅れて 特殊イベント発生! の文字が現れた。
おそらく条件を達成したプレイヤーの付近にいたプレイヤーが挑戦権を持つのだろう。
中心にいたのは亜人種の男性キャラプレイヤーだった。
良く言えば同時遭遇できた、悪く言えば巻き込まれたプレイヤー達は動揺からか、何も出来ずただ立ち尽くす。
下級ジョブ2名、中級ジョブ3名、上級ジョブ不在、最上級ジョブが2。
…2?
亜人種のキャラクター、最上級ジョブじゃないか。
おそらくこのプレイヤーが知ってか知らずか条件を達成してしまったのだろう。
冷静になった次の瞬間、メインストリートは暗転し、明るい球体が画面に映る。
【アンデッド族エネミーが発生しました。】
その文字の出現とともに先程までNPCであった者がすべてのプレイヤーに襲いかかる。
「とらあえずにいげ」
中級ジョブプレイヤーが焦って打ったであろう文字がチャットに出た。
そうだ、なにかしないと。
でも何を…?
でも、うん、そうだ。
私は、こういう無茶をずっとやってきたじゃないか。
誰かの為の誰か対象が変わるだけ。
「じゃあ、なんとかなるかな。」
「みんなで生きよう。」
チャットを入力する時間はなかったが、私が置き去りにした私が役に立てるなら。
そうして私は、無茶を無茶とも思わなかった時代を、今ここにいる全員の為に奮うことにした。
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