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第16話
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「――で、その続きは?」
メタ的な表現だが《過去の過去》から《過去》の場面に切り替わる。
目の前の彼女――椎菜爽芽は僕に問う。
「彼女――綿里さんとは、今、文通している」
「えっ? 今、手紙でつながっているの?」
「うん。今、僕から二通目を送ろうかと思ってる」
「二通目……そんなにしてないんだね」
「この文通が続くかどうかは綿里さんにかかってるな」
「返してくれるといいね」
「だが、彼女の状況は危険だ」
「危険? なぜ?」
「僕のせいで命を狙われているかもしれない」
「は?」
椎菜さんは意味不明だと言わんばかりの顔をする。
「なにが、どうなったら、その綿里さんという人物が命の危険にさらされるということになるの?」
「僕が悪かったんだ。伝播町の人たちは僕をストーカーしているから。その情報は僕の目と耳で感じたことだから確かなんだ」
「どういうことか説明をお願いしたいくらいだわ」
「ああ。これはオフレコで頼みたいんだけど……」
*
――あのとき、僕は綿里さんにトークアプリでメッセージを送ったんだ。
『最近の調子は、どうですか?』
――というような、どうでもいい内容のメッセージだった。
僕は返事が来ないことを憂いでいた。
*
――夢を見た。
いや、夢なのかも疑わしいくらいに現実の感覚だった。
黒い蛇が僕の周りにまとわりついている。
蛇はルービックキューブの亜種であるルービックスネークのような形をしていた。
直角二等辺三角柱が連なっている形をした蛇は僕の目の前で暴れだす。
僕に襲ってくるように感じてしまう、それは怖かった。
この感覚は、いったい、なんなのだろう?
蛇は、だんだん大きな球体になっていき、僕を襲うかのような動きをしてくる。
球は僕の周りをひたすらうろつく。
まるでストーカーだ。
そんな感覚から目覚めた瞬間、僕はスマホにメッセージが届いているのを確認する。
『元気だよ』
このメッセージが届いたことにより、僕の体は回復の兆しが芽生えた。
それくらい、このメッセージが与えた影響は大きかった。
この瞬間、時間は午前二時を回っていた。
*
僕は綿里さんにメッセージを送信する。
『最近、身の回りで変なことが起きてたりするかな?』
『起きていないよ。一体どうしたの?』
この返事を見て、僕は安心した。
彼女の周りでは、なにも起きていないんだ。
でも、どうして僕のいる場所には彼女の情報が流れているんだろう?
僕は返事を出す。
『そうか、ならよかった』
返事は返ってこない。
それもそうか。
彼女の周りでは異常は感じられないのだから。
僕は対抗できる策を探っていくのだが、それが全部ムダだと気づかされるのは、そんなに遠くない未来である。
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