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第23話
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――最初に来た子は筬屋真海奈だった。
「おまたせ! 待った?」
「ううん、待ってないよ。まだ予定より時間は余ってるし」
「そう、よかった」
僕は彼女を見て、初めてかわいいと思ってしまった。
学校での姿を見ているから、余計にそう感じるのだろうか?
僕だって少しは、おしゃれに気を遣ったほうだと思うのに、彼女は僕以上に気を遣っている。
爽やかさを感じさせる白のワンピースを着て、普段の地味っ子な感じがまるでしない。
白とベージュの色が入ったサンダルも爽やかさの要因だ。
ちょっと化粧をするだけでも映える顔だったのだ、彼女は。
どうして僕は、そのことに気づかなかったのだろう。
僕の目は今まで節穴だったのだ。
清純な、ひとりの女の子を今まで無下にしてきたことが恥ずかしくなった。
肌は化粧によって白くなっているが、もともとがその色だったんじゃないかってくらいマッチしている。
薄いピンクの口紅までして、なんて大人っぽくなったんだ。
「じゃあ、行きましょうか。今日のプランは、できてる?」
「えっと……」
頭のなかに入れているプランが緊張して、ぶっ飛んだ。
「そうだな……ショッピングモールでも行く?」
「ふふ、いいね。ちゃんとリードするんだよ」
「わかった」
手をつなぐほどの仲じゃないし、とりあえず、僕が彼女の前を歩こう。
どうして僕は、あのときの告白にイエスと言わなかったのか……それが今となっては悔やまれる。
「あのさ」
「うん?」
「かわいいよ」
「……ありがと」
彼女がそう言った瞬間、海のように青い髪がつややかに輝いた気がした。
なんだか、ムズムズする。
だが、僕らは、もうひとりを忘れるところだった。
「僕が案内するよ。行こうか……」
「ちょ、待てよーっ! ですよ!」
「へっ?」
「なに勝手にふたりでデートに行こうとしているのですか! あたしを忘れないでくださいーっ!」
「あ、ああ……」
炎のように赤い髪をした火花萌瑠が現れた。
――そうだった。今日は、いわゆるハーレムデート。三人で遊びに行く予定だったのに、どうして忘れてしまったんだ……。
「ごめん。そんなつもりじゃなかったんだ。火花さん……いや、萌瑠もかわいいよ」
「も、ってなんですか! あたしは、もとからかわいいですよ! あたしは唯一のかわいさを備えているのです! もっと崇めてください!」
ぷん、と顔を横に振った。
確かに真海奈もかわいいのだが、萌瑠も別のベクトルでかわいい。
真海奈とは対照的に黒のセーターに黒のミニスカートを着用している。
黒のローファーも、かわいらしいものだった……踏まれたい。
炎のような赤い髪が眩しく光る。
萌瑠の顔は小さく、バランスのとれた体格をしている。
赤の口紅は誘っているかのように感じてしまう。
「それじゃあ、メンバーも揃ったことですし、レッツゴーっ! ですよ!」
「ああ!」
「うん!」
萌瑠を先頭に僕と真海奈が返事をして、彼女についていった。
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