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第29話
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あれから二日が経過した。
早朝、伝播高校へ向かうために桜舞と準備をして家を出る。
《あのこと》を知ったのは、そんなに時間がかからなかった。
*
一年A組の教室に入り、周囲の、同級生の様子が、どこか、おかしいことに気づいた。
(……なんだ、いったい? 僕の顔ばかりジロジロ見て……)
「……武尊! あんた、いったい、なにしたのよ!」
月子が一週間ぶりに話しかけてきた。
ちょっとだけ、うれしい部分はあるけど、なんだか彼女の様子も変だ。
「なにした、って……どういうことさ」
「この前の土曜日に武尊と真海奈と、もうひとりの女の子で出かけているのを見たって人たちがいるって言ってたのよ」
そんなことまで噂になっていたのか……田舎と都会が混在する町ゆえに、そのへん面倒だな……。
「もうひとりの女の子は無事だからいいとして、真海奈は……」
「真海奈が、どうかしたのか?」
「死んだのよ」
「えっ?」
「真海奈は自分の家に帰宅する前に海で亡くなったの。水死体になってね」
「……どういうこと?」
「だから、武尊が一番、その状況について詳しいんじゃないかって思ってる。みんな聞きたいのよ、なにがあったのかって」
「僕は、ただ普通に遊んでいた、だけ……だけど」
もし、あのときの言葉を真に受けて、彼女が自殺したんだとしたら……いや、そんなはずはない!
彼女は、そんなことで死ぬような人間じゃないって思うのだけど、実際のところ、どうだ?
僕の、あのとき言ったことに対してショックを受けて自殺したという線は、ありえるのか……?
そこまでの想いがあるなら、どうして、あのとき本音を言ってくれなかったんだよ!
「……もしかして、なにか心当たりがあるの?」
「違う! 僕じゃない!」
「僕じゃない? どういう意味よ、それ?」
「どういう意味もないよ! 僕は関係ない!」
情けない台詞しか出てこない。
僕が悪いのに弁明ばかりして……どうして僕は、そうなんだ。
彼女――筬屋真海奈に、ひどいことを言っておいて、それで彼女が死を選ぶなんて思いもしなかったから。
僕は結局、クズだった。
彼女の想いに答えていれば、こんなことにならなかったはずなのに。
どうして僕は、あのとき、あんなことを言ってしまったのだろう。
今さら後悔したって、もう彼女には会えない。
彼女は死んだのだから。
「とにかく、この件に関して僕から言えることはないよ」
「本当は、なにか思い当たることがあるんじゃないの?」
「いや、言えることなんて、一切ないよ。この話は、これで、おしまいだ」
「……そう」
月子は、さすがに黙ってしまった。
僕だって心が持ちそうにない。
なんで、こんなことになってしまったんだ……。
*
一年A組の教室でも朝礼で彼女――筬屋真海奈のことが話された。
自殺である、と先生は言っていた。
まだ、信じられない。
僕は彼女に「イエス」と言えたら、よかったのだろうか?
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