30 / 75
第30話
しおりを挟む*
筬屋真海奈の葬儀がおこなわれた。
伝播高校で彼女の友達だった人、大友小・中学校で彼女の友達だった人が葬儀に参加した。
正直、あんな会話のすれ違いで自殺するとは思わなかった。
僕のあのときの発言は、そんなに対して、真に受けてほしくない会話であったが、こんなことになるなんて……どういう台詞に対してかは、よくわからないけど「普通は、こんなことで死なない」という確信があるのに、案外、人は脆くなって死んでしまうものなのかもしれない。
他人事みたいに心のなかで言っているけど、僕が原因なんじゃないか……。
僕はクズだ。
どうして僕は人の感情に冷酷でいられるのだろうか。
僕に恋してくれた彼女は、もうこの世には存在しないのに。
たとえ僕の感情を強制――外堀を埋めていたことを――させようとしても、彼女は僕がよかったのかもしれない。
それくらいの思いだった、のかもしれない。
だったら、なおさら、あのとき、ちゃんと会話をしておくべきだったのだ。
僕がバスを降りる前に話の決着をつけていれば、彼女がいなくなることもなかったのだから。
――棺のなかの彼女を見た。
安らかには見えなかった。
この世に未練を残したような顔だった。
(だったら…………)
――いや、何度も言っても変わらない。
過去は変えられない。
超能力者でない限りは。
僕は彼女の最期の顔を見届けて、この葬儀場を出た。
*
葬儀場を出た直後、彼女と再会する。
「……神憑先輩」
「萌瑠か」
火花萌瑠が僕の目の前に現れる。
「あのとき以来だな」
「あれから、そんなに時間は経ってないですけどね」
「そうだな」
「少し、やつれてますね」
「そうかな……」
「そう見えます。後悔しているのですね」
「そうかもしれない。彼女が僕のことで悩んで自殺するなんて思いもしなかったから」
「神憑先輩は本当に、そう思っているのですか?」
「えっ?」
――どういう意味だ?
「真海奈が自殺じゃないと言いたいのか?」
「あたしは、そういう筋道で今、動いています」
萌瑠は、なにかを知っている……?
「立ち話もなんですし、少し公園のブランコに座って話をしませんか?」
*
ふたつある公園のブランコで話をする僕ら。
「今回も《機関》による機密情報なので、時間を止めるアレを使います」
「アレって《機関》に支給された技術なのか?」
「人同士に簡易的な仮想空間を作成し、時間の経過を止める技術みたいなものです。いずれ、この世界でも発表されると思いますよ」
「そうなのか……じゃあ、早速、始めてくれ。萌瑠の話したいことを」
「はい、わかりました」
僕と萌瑠以外の時間が止まっていく。
萌瑠は僕に、なにを伝えたいのだろうか……。
0
あなたにおすすめの小説
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件
暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません
竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』
本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」
かつて、私は信じていた。
優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な──
そんな普通のお兄ちゃんを。
でも──
中学卒業の春、
帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、
私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった!
家では「戦利品だー!」と絶叫し、
年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、
さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!?
……ちがう。
こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない!
たとえ、世界中がオタクを称えたって、
私は、絶対に──
お兄ちゃんを“元に戻して”みせる!
これは、
ブラコン妹と
中二病オタク姫が、
一人の「兄」をめぐって
全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──!
そしていつしか、
誰も予想できなかった
本当の「大好き」のカタチを探す、
壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる