61 / 75
第61話
しおりを挟む*
今日は金曜日。
月子と一緒に帰る時間になった。
「神憑先輩、一緒に帰りましょ……です!」
萌瑠が一年A組の教室まで来た。
本当に月子が《影の女王》であるということが前提で作戦を進めていいんだな……?
「ああ、えっと……月子、この子は……」
「火花萌瑠ちゃんでしょ……知ってる。なにかと有名だよね」
「なにかとですか! 知ってもらっていて光栄です!」
「…………」
月子は沈黙するが。
「まあ、帰ろうよ。三人でいても会話はできるからさ」
「……そうですよ! 今日は神憑先輩の家でお泊りする予定です! よかったら布佐良さんもどうですか?」
「えっ? そんな約束を彼女としてたんだ……」
「ああ、えっと……」
してないけどなあ!
アドリブすんじゃねえよ!
「そうなんだよ! だから、よかったら月子も、どう?」
「……いいけど」
「じゃあ、帰ろうか」
伝播町から初凪町までの道をたどるバスへ乗る。
『…………』
三人とも黙ったままだ。
沈黙の時間が、ひたすら流れていく。
実は、この間に僕の脳内では《機関》のメンバーと会話をおこなっていた。
もちろん萌瑠を含む。
《影》が出現したときに僕だけが戦うのかを。
もし《影の女王》――ヴィジョン・マインディングが出現したら、《機関》のメンバーで戦うって方向でいくのかを。
まだ、だ。
まだ、そのときじゃない。
――初凪町のバス停についてしまったな。
僕の家まで行くルートになるが、月子は、いったん自分の家に戻ると言って、僕と萌瑠がいる場を離れた。
「ここから、どう展開していきますか?」
「とにかく《影》が出たら戦うだけだよ」
「待つしかないですかね」
「そうだね」
先に僕の家まで向かうことにした……僕の家についた。
「あとは月子を待つだけだな……」
「そうですね」
しばらくして私服を着た月子が僕の家まで来た。
清純そうな、その姿に僕は心をやられた。
白のワンピースだった。
それは春のときの、真海奈の私服を思い出すことになった。
彼女も白のワンピースを着ていたのだ。
「どう、かな……似合ってる?」
「うん、似合ってる。いいよ」
「あっー! あたしも、なにかオシャレしてくればよかったっー!」
萌瑠が、そう思ってないのは、僕には、お見通しだ。
「月子さん、すっごく似合ってますよっー!」
「ありがとう」
なんだか重い空気を感じる。
「……部屋に案内するね」
月子と萌瑠を僕の部屋に案内する。
「お茶を持ってくるから、ごゆっくり……」
僕の部屋に月子と萌瑠のふたりっきりにさせる。
仮想の監視カメラを設置する。
これで、どうなるんだ……?
緊張する空気を僕は肌で感じている。
0
あなたにおすすめの小説
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』
本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」
かつて、私は信じていた。
優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な──
そんな普通のお兄ちゃんを。
でも──
中学卒業の春、
帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、
私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった!
家では「戦利品だー!」と絶叫し、
年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、
さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!?
……ちがう。
こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない!
たとえ、世界中がオタクを称えたって、
私は、絶対に──
お兄ちゃんを“元に戻して”みせる!
これは、
ブラコン妹と
中二病オタク姫が、
一人の「兄」をめぐって
全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──!
そしていつしか、
誰も予想できなかった
本当の「大好き」のカタチを探す、
壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』
まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。
朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。
「ご主人様の笑顔が見たいんです」
その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。
全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!?
甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる