キミが存在しないラブコメ 〜病弱な僕が世界を変える唯一の方法〜

三浦るぴん

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第60話

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  *

 月子の偵察が始まった。

 僕は、いつもどおり、月子と登校したり、帰ったりしている。

 でも、怪しい行動は、なかった。

 僕が《影》と戦っていたとしても、ヴィジョン・マインディングの存在は確認できなかった。

 ピンチじゃないからだろうか……?

 できるだけ月子と一緒に行動するようにしても、《機関》の望むものが手に入ることはなかった。

《機関》で相談してみるのだが。

「偶然、ということは考えられませんかね?」

「偶然だとしても、いつもどおり、布佐良月子と一緒に行動するだけでいい。ほかの動向は我々が探るから」

「はあ」

 尼城さんは、なんらかの確信を月子に対して持っているようだった。

 でも、僕は、まだ月子が《影の女王》であることを信じたくない。

 月子と《影の女王》――ヴィジョン・マインディングは顔が違いすぎる。

 髪の色が似ているくらいじゃないか。

「あまり彼女に疑いをかけるべきじゃないと思いますがね」

「……うーん、そうだな……そうだ。火花くんとも一緒に帰るようにすればいいのでは? そうしたらヴィジョン・マインディングの動向がつかめるかもしれないぞ」

「それって……」

 萌瑠の死亡フラグじゃないのか……?

「やめたほうが……月子にしたら違和感がありすぎる。今まで、ふたりで帰っていたのに」

「綿里くんと帰ったときにヴィジョン・マインディングが現れただろう? だから、今回も同じように……」

「それが得策じゃないことは目に見えています。やめたほうがいいです」

「だったら、キミの能力で彼女を守れるようにするんだね」

「僕の、能力で……?」

「キミの能力は《習合》だろう? 今は日本神話の神々の能力しか使っていないが、ほかの神話の能力だって使えるはずだ」

「日本人である僕が、ほかの神話の能力を使う……?」

「《習合》とは、そういう能力のはずだ。ここでの時間は、いくらでも止めることができる。その間に考えておくことだな」

「僕に、もし月子がヴィジョン・マインディングだったとしても、彼女を止められる能力があると尼城さんは信じているのですか?」

「そのように信じているよ」

「じゃあ、やりますよ。もし、これで、なにもわからなかったとしても、なにも起こらなかったとしても、もし奇跡的にヴィジョン・マインディングが現れたとしても、どんな状況でもやりきってみせます!」

「わかったよ。同時に火花くんとほかのメンバーを鍛えておくから、キミは、キミのできることをしていこう!」

「わかりました」

 こうして仮想敵――ヴィジョン・マインディングとの戦いにおける作戦を立てることを決定したのであった。
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