60 / 75
第60話
しおりを挟む*
月子の偵察が始まった。
僕は、いつもどおり、月子と登校したり、帰ったりしている。
でも、怪しい行動は、なかった。
僕が《影》と戦っていたとしても、ヴィジョン・マインディングの存在は確認できなかった。
ピンチじゃないからだろうか……?
できるだけ月子と一緒に行動するようにしても、《機関》の望むものが手に入ることはなかった。
《機関》で相談してみるのだが。
「偶然、ということは考えられませんかね?」
「偶然だとしても、いつもどおり、布佐良月子と一緒に行動するだけでいい。ほかの動向は我々が探るから」
「はあ」
尼城さんは、なんらかの確信を月子に対して持っているようだった。
でも、僕は、まだ月子が《影の女王》であることを信じたくない。
月子と《影の女王》――ヴィジョン・マインディングは顔が違いすぎる。
髪の色が似ているくらいじゃないか。
「あまり彼女に疑いをかけるべきじゃないと思いますがね」
「……うーん、そうだな……そうだ。火花くんとも一緒に帰るようにすればいいのでは? そうしたらヴィジョン・マインディングの動向がつかめるかもしれないぞ」
「それって……」
萌瑠の死亡フラグじゃないのか……?
「やめたほうが……月子にしたら違和感がありすぎる。今まで、ふたりで帰っていたのに」
「綿里くんと帰ったときにヴィジョン・マインディングが現れただろう? だから、今回も同じように……」
「それが得策じゃないことは目に見えています。やめたほうがいいです」
「だったら、キミの能力で彼女を守れるようにするんだね」
「僕の、能力で……?」
「キミの能力は《習合》だろう? 今は日本神話の神々の能力しか使っていないが、ほかの神話の能力だって使えるはずだ」
「日本人である僕が、ほかの神話の能力を使う……?」
「《習合》とは、そういう能力のはずだ。ここでの時間は、いくらでも止めることができる。その間に考えておくことだな」
「僕に、もし月子がヴィジョン・マインディングだったとしても、彼女を止められる能力があると尼城さんは信じているのですか?」
「そのように信じているよ」
「じゃあ、やりますよ。もし、これで、なにもわからなかったとしても、なにも起こらなかったとしても、もし奇跡的にヴィジョン・マインディングが現れたとしても、どんな状況でもやりきってみせます!」
「わかったよ。同時に火花くんとほかのメンバーを鍛えておくから、キミは、キミのできることをしていこう!」
「わかりました」
こうして仮想敵――ヴィジョン・マインディングとの戦いにおける作戦を立てることを決定したのであった。
0
あなたにおすすめの小説
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件
暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』
まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。
朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。
「ご主人様の笑顔が見たいんです」
その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。
全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!?
甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる