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第59話
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尼城さんも友代が《影》としての敵意が存在しないことを理解し、こう告げた。
「心野くんは、もう、この《機関》の仲間だ。だから、これからは心野くんも《影》と戦ってほしい。異能は覚醒したようだしね」
「えっ、友代も異能があるのですか?」
「そうだよ、神憑くん。彼女の能力は《霊化》だ」
「《霊化》……つまり、それは?」
「自身の霊化と周囲の人物の霊化をおこなうことができます」
友代が、いつの間にか現れた。
「この能力は《影》と戦うときに使えそうです。あたしでも役に立てる存在になれたことを《機関》の皆さまには感謝します」
「そっか。きっと友代なら、みんなを守れるよ」
「はい、そうなることを望んでいます」
「さて、じゃあ……本題に移ろうか」
尼城さんは《影の女王》であるヴィジョン・マインディングについて話していく。
「《影の女王》――ヴィジョン・マインディングは、おそらく伝播高校一年A組の布佐良月子だと思われる」
「それは、もう確定ですか?」
「確定であると断言はできないが、その可能性は高い。共通点としては黄色い髪をしているところだ」
「別に、それは大きな共通点ではないと思いますが……」
「ただ、彼女の黄色い髪は地毛なんだろう? 月のように輝く髪を持つのは布佐良月子とヴィジョン・マインディングしかいない」
「でも、容姿は和と洋くらい違いますよ」
「だが、神憑くんと綿里くんと布佐良月子が神憑くんの部屋にいたとき、《影》が現れたわけだろう?」
「それは、偶然では……」
「神憑くんが《影》のいる場所まで転移したとき、綿里くんも同時に転移した。《影》の気配を敏感に察知できるのは神憑くんの《機関》――《第三の組織》というわけだ」
「それが、なにか?」
「綿里くんは能力者なので神憑くんがいなくなったことを察知できる。だけど、その近くにいた布佐良月子は察知できるか? 普通は、できない」
「察知できなかったのでは?」
「いや、近くの場所まで転移できるのは、その場所にいる誰かなんだよ……」
「つまり、僕の部屋にいた、近くの人物が月子であるから、月子が怪しい、と……」
「そう断言できると思うのだが……ただ」
「ただ?」
「彼女が自覚を持ってヴィジョン・マインディングになっているとは、どうしても思えないんだよなあ……」
「それは僕も思います。月子に罪はないはずです。人殺しをするような人だったのなら、その……オーラとして現れると思うのです」
「要は二重人格的な、なにかである可能性が高いと我々は思っている」
「それなら月子のなかにあるであろう《影の女王》――ヴィジョン・マインディングをなんとかする、ということですね。それなら……」
「神憑くん、どうかしたのかい?」
「友代の能力を使いましょう」
「心野くんを?」
「友代が霊化して月子の精神に潜り込ませます。いいよな、友代?」
「はい…………あたしは大丈夫です」
「なら、作戦を組み立てよう。この《機関》に存在する能力者で布佐良月子の正体を暴いてみせよう」
『はい!』
《機関》のみんなで、やるしかないよな……でも、正直、月子は……なにもなければいいけど。
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