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第58話
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友代の検査が終わったようだ。
萌瑠が検査の結果を僕らに伝える。
「結果としては《現実顕現》している影響なのか、普通の人間と大差がないことがわかりました。つまり、あたしたちが思う《影》ではない、という判定になるのでしょうか……」
「結局のところ、私たちに被害をもたらす《影》ではないということですか?」
……と、御琴が言った。
「それは言い切れません。《現実顕現》しなかった場合は検査できないですからね」
「じゃあ完全に人間とも言い切れないわけか」
……と、僕は言った。
「霊体……幽霊のときは《影》なのかもしれませんね」
ですが……と、萌瑠は話を続ける。
「友代さんの脳には封印されているようなヘッドギアでも確認できないようになっている箇所があるようで、そこは読み取れませんでした」
「封印されている箇所……というと?」
「《影》と人間の両方の性質を持つ彼女ならではの、なにかがあるのかもしれません」
『…………』
僕と御琴は黙ってしまったが、萌瑠は続けて。
「でも、彼女が危害を加えることがない存在だということがわかりました。これだけでも上出来です。しかし、そう考えると、あのとき、綿里さんの命を失ったのは残念です」
「そう、だね……」
僕は納得していない。
綿里さんは、あそこで亡くなるような人間ではなかった。
でも、後悔したところで過去は戻ってこない。
前に進むしか、ないのだ。
「でも、これから、どうしたらいいんだろうね。《影の女王》は、また現れるのかな?」
御琴の言葉に萌瑠が。
「《影の女王》が現れる条件ですけど、やっぱり神憑先輩が関係しているのではないでしょうか?」
「僕が?」
「ヴィジョン・マインディングは綿里さんに嫉妬して憤怒の感情で彼女を消滅させた。ということは神憑先輩に好意を持っているということになりませんか?」
「《影の女王》が、僕に?」
僕には、よく、わからないことだ。
「そもそも接点が、ないんだけど」
「あるかもしれません。意外と神憑先輩の身近な人物だったりして」
「身近な人物……?」
桜舞と……月子?
「いや、それは、ないと思うけど。ヴィジョン・マインディングは、その思いつく人物と容姿が重ならない。それに僕の周囲に殺人を犯すような、そんな人物は、いない……」
「まあ、監視してみようではありませんか……布佐良月子さんをね」
「彼女を監視しても、なにも得られないとは思うけど」
それにしても、どうして桜舞の名前が挙がらないのだろうか……?
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