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第66話
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伝え忘れていたことだが……《影》たちと《影の女王》――ヴィジョン・マインディングが現れる前の時間に、実は友代に月子の精神に探りを入れていたのだが、有益な情報は見当たらなかったのだけど、もう、その理由がはっきりと理解できる。
それは《影》の上位存在である《影の女王》――ヴィジョン・マインディングだからこそ、筬屋真海奈をコピーした《影》である心野友代が、月子の精神に潜ったくらいで、月子のなかにいる《影》であるヴィジョンの精神を読み取ることができなかったのだ。
つまり、わざわざ自白してまで、僕をどうにかしたいらしい。
ここから《機関》のメンバーと協力して《影》一派を倒していくのか、《影》一派と協力して《機関》のメンバーを倒していくのか……。
ヴィジョン・マインディングの死は布佐良月子の死を意味する。
今、好きな女の子を守れないで、なにがヒーローだって話だ。
だけど、《機関》のみんなとも協力したい気持ちだってある。
僕は今、双方のどちらに傾くべきなのかを考えなくてはいけない。
友代は僕の特別だった女の子の命を奪った。
萌瑠は僕に、なにかを隠して近づいた。
椎菜さんは僕を病人にして、自身も病人であるかのように演技していた。
御琴は、おそらく、なにもかも知っていた状態で僕に取材と言いながら近寄ってきた。
ヴィジョンは綿里さんをこの世界から消滅させた。
どちらにつくか、なんて問題じゃない。
全員、僕を騙している。
この世界に信頼できる人なんているのか?
答えは否だ。
なにかを隠している人たちを信頼なんて、できるはずがない。
だけど、どうしてヴィジョンは僕に知っている情報を教えたのだろうか?
「ヴィジョン、名も無き太陽神って、なんだ?」
「名も無き太陽神は古代の時代に存在していた民が崇めた、それを示す名前が無い太陽神のことさ。その太陽神の正体は男性の神だった。今はアマテラスという名の有る太陽神が日本の最高神になっているけどね」
「なぜ、この世界は僕を隠蔽なんかしようとする? 《機関》は本来、なんの目的で動く組織なんだ?」
「地球が太陽に飲み込まれる終末を迎える未来を回避するのが目的なのさ。名も無き太陽神とは言ったが、その正体はヒルコに近いものであると言える」
「ヒルコって、あの……僕の《習合》能力の一部の……」
「そう。ヒルコはアマテラスに神格を吸収されたことで神話から追放された存在だ。そんな未熟で不完全な神は神格を吸収し、神格を放出する……それが名も無き太陽神の特徴なのさ。つまり、キミは太陽であり、名も無き神の転生した存在であるということになる」
「なぜ、それがわかる?」
「僕はキミと対極の月神だからだよ」
「月神……?」
「太陽神と対になる神のことさ。単刀直入に言うと、《影》がいる時間は太陽に飲み込まれない。要は地球の保護になる時間と空間が同時に存在するようになるってことなのさ」
だからさ……と、彼女は言って。
「私と一緒に世界を変えないかい? 最愛の人が手に入るよ。そもそも私たちは太陽と月の関係にある運命共同体なんだよ。このまま戦っても月子が死ぬことになるだけだよ。力の使い方って奴を教えてあげる」
「僕は…………」
決意を込めて、言う。
「どっちにも、つかないよ」
これが僕の決断だった。
「僕は、僕のやるべきことを、やるだけさ」
「どうするの?」
「戻るだけさ。《第三の組織》に……また、やり直しだ」
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