キミが存在しないラブコメ 〜病弱な僕が世界を変える唯一の方法〜

三浦るぴん

文字の大きさ
65 / 75

第65話

しおりを挟む
  *

《妄想具現症》――発症した患者に共通する症状は思考、行動、感情がまとまらなくなってしまうことであり、それは大脳の疲弊によって妄想が具現化するという病である。

 妄想の具現化――それは《妄想具現症》の患者にしか見えない幻のヴィジョンであったり、幻の音だったりが聞こえてしまうことだ。

 だが、その《妄想具現症》がどうだというのだ?

 ヴィジョン・マインディングは、なにが言いたいんだ?

 彼女らが作ったって、どういうことだ?

「選ばれし存在を隠匿するために作った病が《妄想具現症》という名称の病だった。このような神域を確認できる存在が《妄想具現症》の患者であるということを隠すために」

「隠す……だと?」

「本当は《妄想具現症》という病は神憑武尊という名も無き太陽神の転生した存在であることを隠すために作られたデタラメな病であることを――神憑武尊だけに知られないために作られた病であることを――このS市民だけは知っている」

「名も無き太陽神の転生した存在……なんのことだ?」

「キミが入院していた場所は伝播大学附属病院だ。その閉鎖空間にキミは隔離されていた。それを彼女らは知っている。特に、そこにいる椎菜爽芽は自らを《妄想具現症》患者であると嘘をつき、キミに近づいた」

「椎菜さんが患者じゃない……?」

「それは嘘だよ! 信じないで! 所詮《影》の言うことだ!」

 椎菜さんが必死に訴えるが。

「だとしても、じゃあ、なんのために僕たちは戦っているんだ?」

「《影》は、あたしたちの見えないところで人々を殺している! それを守るために、あたしたち《機関》の人間が存在しているのです!」

 萌瑠も必死に僕を説得しようとしているが。

「なんで《影の女王》であるヴィジョン・マインディングが僕のことを、そんなに……」

「それはキミの幼馴染だからに決まってるんじゃん!」

「幼馴染……!?」

 やっぱり――。

「《影の女王》だったのか!? 月子が!?」

「……そうでもあるし、そうでもない。キミの言う月子は布佐良月子のことだろう?」

「はっきり言えよ月子! どうして《影の女王》なんかになっているんだ!?」

「私は布佐良月子であって、布佐良月子ではない。なぜなら私は彼女の《影》だからだ」

「月子の《影》だって……?」

「そう、私は布佐良月子の無意識に存在する《影》なのさ。なにが言いたいか、わかるか?」

「つまり、月子は知らないってこと?」

「御名答! 月子は無意識で私に怒りのエネルギーをぶつけてくれる。だから、あのとき綿里未雪を消滅させようとした瞬間、自覚なく人殺しをしたのだ」

「どうすれば、月子は、もとに戻るんだ!?」

「どうもしない。もともと、そうだったんだ。私を倒すことは、私と月子のなにかを失うことになる」

「つまり、なにをすれば……」

「答えは見えているはずだ」

 彼女は笑って。

「私の死は月子の死だ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

クラスで1番の美少女のことが好きなのに、なぜかクラスで3番目に可愛い子に絡まれる

グミ食べたい
青春
高校一年生の高居宙は、クラスで一番の美少女・一ノ瀬雫に一目惚れし、片想い中。 彼女と仲良くなりたい一心で高校生活を送っていた……はずだった。 だが、なぜか隣の席の女子、三間坂雪が頻繁に絡んでくる。 容姿は良いが、距離感が近く、からかってくる厄介な存在――のはずだった。 「一ノ瀬さんのこと、好きなんでしょ? 手伝ってあげる」 そう言って始まったのは、恋の応援か、それとも別の何かか。 これは、一ノ瀬雫への恋をきっかけに始まる、 高居宙と三間坂雪の、少し騒がしくて少し甘い学園ラブコメディ。

処理中です...