キミが存在しないラブコメ 〜病弱な僕が世界を変える唯一の方法〜

三浦るぴん

文字の大きさ
69 / 75

第69話

しおりを挟む

  *

 伝播大学附属病院に入院していた。

 世界改変の影響だろうか?

 僕は隔離された部屋で、ひとり閉じ込められている。

「どういうこと?」

「どういうこと、なのでしょうね……」

 なぜか僕のいる牢屋みたいな部屋には桜舞がいた。

「結局、二回目の入院ですか」

「二回目……?」

「もう、高校を中退するしかないですね」

「こう、何度も入院されると、あとがありません。どうしますか?」

「どうするって……どうすればいいんだ?」

「もう、わたしは……家族ごっこをやめようかなって」

「家族、ごっこ……? なに言ってんだよ? 僕たちは家族じゃないか」

「わたしが、あなたによって、つくられた存在だとしても、ですか?」

「僕によって、つくられた存在だって……? なにを言って……」

「神憑桜舞という存在は、この世界にはいません」

 桜舞は告白する。

「神憑武尊という存在が現実顕現リアルリビールした架空の妹であり、誰にも存在を認知されない……わたしが誰かと会話している場面がありましたか?」

「確かに今まで、誰かと一緒にいる場面を見たことがなかった。月子と帰っているところとか、なんで一緒にいないのかと思っていた」

「わたしだけではないのです」

「どういう、ことだ……?」

「いずれ、わかります。この世界の仕組みが……」

「この世界の仕組みって……」

「もう、わたしは存在できないでしょう。薬を摂取しすぎた体では現実顕現リアルリビールできないからですね」

「なら、薬の摂取をやめればいいだけだろ! 桜舞を失ってしまったら僕は、ひとりぼっちになってしまう……」

「いえ……わたしは、あなたによって、つくられた神憑桜舞のコピーにすぎない。本物の神憑桜舞は、この世界のどこかにいます」

「どこかって、どこにだよ?」

「それは、あなたが一番わかっているはずです」

「もともとキミは僕の妹じゃなかったんだ……」

「ええ」

「だったらキミは僕の願いを叶えてくれるか?」

「そんな、よこしまな考えも、あなたらしいですね」

 僕はキミとキスをした。

 存在しないキミと。

 恋していたキミと。

 愛していたキミと。

 もともと、この物語は存在していなかった。

 そんな存在しない物語をキミとつくっていたんだ。

 だから、きっと一生しないであろうキスをキミとした。

 僕の妄想で具現化されたキミを抱きしめながらキスをした。

 たとえ存在しなくたっていい。

 ほかの人からしたらキミは存在しないけど、僕のなかでは存在しているんだ。

 僕の現実は、僕のものだ。

 誰にも理解されないかもしれないけど、これは僕の物語なのだ。

 だから、いけないことをしようと思う。

「桜舞、愛している」

「わたしは、あなたが愛する妹なのです。だから、いくらでも応じますよ。だって――」

 桜舞は僕が、もう悟っていることを言ってくれる。

「――あなたの世界に存在する物語の登場人物は、もともと存在しないのですから」

 僕とキミは、この世界では存在しないような、いけないことをした。

 牢屋みたいな部屋の監視カメラには、ばっちりと映っているだろう。

 だけど、後悔はない。

 僕は一生、忘れられない男女の行為をしたのだから。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

クラスで1番の美少女のことが好きなのに、なぜかクラスで3番目に可愛い子に絡まれる

グミ食べたい
青春
高校一年生の高居宙は、クラスで一番の美少女・一ノ瀬雫に一目惚れし、片想い中。 彼女と仲良くなりたい一心で高校生活を送っていた……はずだった。 だが、なぜか隣の席の女子、三間坂雪が頻繁に絡んでくる。 容姿は良いが、距離感が近く、からかってくる厄介な存在――のはずだった。 「一ノ瀬さんのこと、好きなんでしょ? 手伝ってあげる」 そう言って始まったのは、恋の応援か、それとも別の何かか。 これは、一ノ瀬雫への恋をきっかけに始まる、 高居宙と三間坂雪の、少し騒がしくて少し甘い学園ラブコメディ。

『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』

本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」 かつて、私は信じていた。 優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な── そんな普通のお兄ちゃんを。 でも── 中学卒業の春、 帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、 私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった! 家では「戦利品だー!」と絶叫し、 年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、 さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!? ……ちがう。 こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない! たとえ、世界中がオタクを称えたって、 私は、絶対に── お兄ちゃんを“元に戻して”みせる! これは、 ブラコン妹と 中二病オタク姫が、 一人の「兄」をめぐって 全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──! そしていつしか、 誰も予想できなかった 本当の「大好き」のカタチを探す、 壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...