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第11章 −拗らせた想い−
66 貴方なりの優しさ
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現在レンデュラは、蒼い真珠の事を調べながら近隣を旅しているらしい。ただし、使用人のお供付き。いくら元気になったとはいえ、魔獣等と戦える腕は一朝一夕では身につかない。道中以外は1人で自由に過ごしているようだが。
海辺の町で宿をとり、ほぼ毎日治療院へ顔を出しにくる。ジゼの診察を受けた日が1回だけあったが、それ以外は全てカヤミ目的の来訪。カヤミの仕事が休みの日は滞在時間が長くなる。
ポーラがおり、カヤミとレンデュラ2人になる恐れがない時、ロティルは自室に籠るようになってしまった。
ダメだ
気分も調子も上がらない⋯⋯
1週間も こんな状態
日中だけだから夜は話せるけど⋯⋯短くて
俺は休業中でも カヤミは次の日 仕事あるし
⋯⋯右眼の治療以外で一緒にいる時間が減った
夜、シャワーを浴び終えたロティルが階段を登りきったところで、カヤミが部屋から出てきた。偶然ではなく、来るのを待っていたような頃合いで。
「最近、シャワーの時間遅めなんだな」
「あぁ⋯⋯うん、何か すぐ動けなくて」
カヤミはロティルよりだいぶ前にシャワーを終えており、今は寝る少し前くらいの時刻。
「調子、悪い⋯⋯?」
「⋯⋯右眼が痛い とかじゃないから平気だよ。
動かなきゃ って、決心が鈍いだけ」
案じ顔で尋ねるカヤミに、心配しないで と、でもいうように、少し眉を下げた緩い笑顔をロティルは返す。
しかし、カヤミと合った視線は すぐに横にそらされてしまった。
「⋯⋯⋯⋯」
「カヤミ⋯⋯どうしたの?」
「あのさ⋯⋯前に、ロティルが言ってた海岸の朝焼けと日の出⋯⋯ 明日の朝って見えるのか⋯⋯?」
「あ⋯⋯」
以前、月夜の晩に何気なく口にした話題。それをカヤミが覚えてくれていた事にロティルは驚いた。何だか遠回しな言い方で、見に行こう という話ではない可能性もあるが⋯⋯
「明日も天気も悪くなさそうだし、綺麗に見えると思うよ⋯⋯ 一緒に、行ってくれるの?」
「⋯⋯そう しようかな」
「ありがとう⋯⋯ じゃあ明日行こっか。朝だいぶ早いけど⋯⋯何時に出ればいいかなぁ」
行っても良いという流れに安堵し、明日の約束を取り付けた。まだ濡れている赤毛の頭をタオルでガシガシと拭きながら、ロティルは明朝の予定を考えて、自然と口角が上がっている。そこにカヤミが控えめな声で もうひとつ尋ねてきた。
「⋯⋯俺、起きられるか わからないから⋯⋯
そっちで寝てもいい⋯⋯?」
「えっ!!」
髪の毛を拭いていたタオルを落としそうになった。カヤミの申し出に、さっきよりも更にビックリしている。
「お 俺は、全然構わないけど⋯⋯?」
断るなんてあるわけないのに⋯⋯そんな気持ちと、若干上擦った声でロティルは了承すると口元をタオルで隠して、顔色等を見えないように誤魔化す。
口ごもり気味の説明、細い首筋やうなじ辺りを触って落ち着かない態度のカヤミ。
前にも こんな感じのカヤミを見たな⋯⋯?
あ 見送り してくれた時だ
早朝 ここで化膿止めの薬 俺に渡してくれて
ポーチに入れて ずっと持ってる
⋯⋯あの時は自覚してなかったけど
もう とっくに好きだったんだろうな⋯⋯
この提案もカヤミなりの俺への優しさってこと?
「じゃあ、枕持ってくる⋯⋯」
「うん⋯⋯」
初めての時ほどの緊張感はないが、何も感じないわけはなく⋯⋯ランプの灯りだけがついた薄暗い部屋。枕を並べて2人でベッドに入っている。触れているのは繋がれた手のみ。
「⋯⋯カヤミ なんで?」
「なんで⋯⋯って 何?」
「だって⋯⋯俺の右眼がよっぽど悪い時じゃなきゃカヤミから、こっちで寝る なんて ないでしょ⋯⋯」
理由がない限りはカヤミからは来ない。一緒に慣れすぎると1人がしんどくなるから、とも言っていた。ロティルは出来るだけカヤミと一緒が良いという単純明快さ。
「最近あんまり構ってない というか さ、レンデュラが俺の所に来てるし」
「ん⋯⋯」
「⋯⋯ロティルが大人しい時は、大抵いいことじゃない」
「! フッ⋯⋯ あぁ そっか⋯⋯確かに」
なるほど と、思ってロティルは自分で吹き出してしまった。体調不良や塞ぎ込んでいる時は通常時に比べると、かなり静かになる。カヤミは そんな様子をちゃんと気にかけ、配慮や思いやりで、こうして近くに来ようとする。あとは⋯⋯
「⋯⋯話せる時間少ないなって⋯⋯俺も思ってたから」
「⋯⋯!」
そうこぼしたカヤミの方を見ると背中を向けてしまっていて顔は見えない。繋いでいる手に僅かに力が込められる。
ロティルが体勢を変えてカヤミの方へ寄り添うと背中側から片腕を回した。握り続けている手はカヤミの身体の前にくる。
「後ろからギュ~ってしてもいい⋯⋯?」
「⋯⋯もう、してるだろ」
「カヤミが来てくれるなら、大人しくしてる方が俺、得かも」
「ロティルの嘘は、すぐバレる」
「嘘って わかっても渋々来てくれそうだけどね」
特に抵抗されることもなく、くっつき続け以前のように他愛のない会話をする就寝前。
「枕持ってこなくても良かったのに」
「⋯⋯腕まくらは、この前したから今日はナシ」
「⋯⋯カヤミ、こっち向かないの?」
「ロティルが寝たらな⋯⋯」
カヤミが小さく笑った声が聞こえると、ロティルの密着度が増して首元に吐息があたった。
「んっ⋯⋯ なぁ 早く寝てほしいんだけど」
「今日は寝たら もったいないって⋯⋯いつもより思ってる ⋯⋯ありがと」
「うん⋯⋯」
カヤミは⋯⋯俺と こんな風にしてる時
何を考えているんだろう
海辺の町で宿をとり、ほぼ毎日治療院へ顔を出しにくる。ジゼの診察を受けた日が1回だけあったが、それ以外は全てカヤミ目的の来訪。カヤミの仕事が休みの日は滞在時間が長くなる。
ポーラがおり、カヤミとレンデュラ2人になる恐れがない時、ロティルは自室に籠るようになってしまった。
ダメだ
気分も調子も上がらない⋯⋯
1週間も こんな状態
日中だけだから夜は話せるけど⋯⋯短くて
俺は休業中でも カヤミは次の日 仕事あるし
⋯⋯右眼の治療以外で一緒にいる時間が減った
夜、シャワーを浴び終えたロティルが階段を登りきったところで、カヤミが部屋から出てきた。偶然ではなく、来るのを待っていたような頃合いで。
「最近、シャワーの時間遅めなんだな」
「あぁ⋯⋯うん、何か すぐ動けなくて」
カヤミはロティルよりだいぶ前にシャワーを終えており、今は寝る少し前くらいの時刻。
「調子、悪い⋯⋯?」
「⋯⋯右眼が痛い とかじゃないから平気だよ。
動かなきゃ って、決心が鈍いだけ」
案じ顔で尋ねるカヤミに、心配しないで と、でもいうように、少し眉を下げた緩い笑顔をロティルは返す。
しかし、カヤミと合った視線は すぐに横にそらされてしまった。
「⋯⋯⋯⋯」
「カヤミ⋯⋯どうしたの?」
「あのさ⋯⋯前に、ロティルが言ってた海岸の朝焼けと日の出⋯⋯ 明日の朝って見えるのか⋯⋯?」
「あ⋯⋯」
以前、月夜の晩に何気なく口にした話題。それをカヤミが覚えてくれていた事にロティルは驚いた。何だか遠回しな言い方で、見に行こう という話ではない可能性もあるが⋯⋯
「明日も天気も悪くなさそうだし、綺麗に見えると思うよ⋯⋯ 一緒に、行ってくれるの?」
「⋯⋯そう しようかな」
「ありがとう⋯⋯ じゃあ明日行こっか。朝だいぶ早いけど⋯⋯何時に出ればいいかなぁ」
行っても良いという流れに安堵し、明日の約束を取り付けた。まだ濡れている赤毛の頭をタオルでガシガシと拭きながら、ロティルは明朝の予定を考えて、自然と口角が上がっている。そこにカヤミが控えめな声で もうひとつ尋ねてきた。
「⋯⋯俺、起きられるか わからないから⋯⋯
そっちで寝てもいい⋯⋯?」
「えっ!!」
髪の毛を拭いていたタオルを落としそうになった。カヤミの申し出に、さっきよりも更にビックリしている。
「お 俺は、全然構わないけど⋯⋯?」
断るなんてあるわけないのに⋯⋯そんな気持ちと、若干上擦った声でロティルは了承すると口元をタオルで隠して、顔色等を見えないように誤魔化す。
口ごもり気味の説明、細い首筋やうなじ辺りを触って落ち着かない態度のカヤミ。
前にも こんな感じのカヤミを見たな⋯⋯?
あ 見送り してくれた時だ
早朝 ここで化膿止めの薬 俺に渡してくれて
ポーチに入れて ずっと持ってる
⋯⋯あの時は自覚してなかったけど
もう とっくに好きだったんだろうな⋯⋯
この提案もカヤミなりの俺への優しさってこと?
「じゃあ、枕持ってくる⋯⋯」
「うん⋯⋯」
初めての時ほどの緊張感はないが、何も感じないわけはなく⋯⋯ランプの灯りだけがついた薄暗い部屋。枕を並べて2人でベッドに入っている。触れているのは繋がれた手のみ。
「⋯⋯カヤミ なんで?」
「なんで⋯⋯って 何?」
「だって⋯⋯俺の右眼がよっぽど悪い時じゃなきゃカヤミから、こっちで寝る なんて ないでしょ⋯⋯」
理由がない限りはカヤミからは来ない。一緒に慣れすぎると1人がしんどくなるから、とも言っていた。ロティルは出来るだけカヤミと一緒が良いという単純明快さ。
「最近あんまり構ってない というか さ、レンデュラが俺の所に来てるし」
「ん⋯⋯」
「⋯⋯ロティルが大人しい時は、大抵いいことじゃない」
「! フッ⋯⋯ あぁ そっか⋯⋯確かに」
なるほど と、思ってロティルは自分で吹き出してしまった。体調不良や塞ぎ込んでいる時は通常時に比べると、かなり静かになる。カヤミは そんな様子をちゃんと気にかけ、配慮や思いやりで、こうして近くに来ようとする。あとは⋯⋯
「⋯⋯話せる時間少ないなって⋯⋯俺も思ってたから」
「⋯⋯!」
そうこぼしたカヤミの方を見ると背中を向けてしまっていて顔は見えない。繋いでいる手に僅かに力が込められる。
ロティルが体勢を変えてカヤミの方へ寄り添うと背中側から片腕を回した。握り続けている手はカヤミの身体の前にくる。
「後ろからギュ~ってしてもいい⋯⋯?」
「⋯⋯もう、してるだろ」
「カヤミが来てくれるなら、大人しくしてる方が俺、得かも」
「ロティルの嘘は、すぐバレる」
「嘘って わかっても渋々来てくれそうだけどね」
特に抵抗されることもなく、くっつき続け以前のように他愛のない会話をする就寝前。
「枕持ってこなくても良かったのに」
「⋯⋯腕まくらは、この前したから今日はナシ」
「⋯⋯カヤミ、こっち向かないの?」
「ロティルが寝たらな⋯⋯」
カヤミが小さく笑った声が聞こえると、ロティルの密着度が増して首元に吐息があたった。
「んっ⋯⋯ なぁ 早く寝てほしいんだけど」
「今日は寝たら もったいないって⋯⋯いつもより思ってる ⋯⋯ありがと」
「うん⋯⋯」
カヤミは⋯⋯俺と こんな風にしてる時
何を考えているんだろう
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