【ふたなり百合】月イチ生える牛型巨女が魅了バフ持ち受付ヒーラーと協力してレベルアップ素材(童貞喪失精子)ゲットする【ゲーム系異世界】

春Q

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急・異種獣人同士で子づくり!?ノァズァークのヒミツ編

42.壺の中には

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「……ん?」

 はっと気がつくと、ゴズメルは頬を風になぶられていた。まるで外にいるかのように。

(あたし、キースに言われるがまま壺の口に手を伸ばして……ってことは、ここは……)

 壺の中ということになる。

 ゴズメルは「えっ。えぇっ」と声を上げながら、あたりを見回した。

 暗い。夜だ。なぜそんなことがわかるかというと、星が瞬いているからだ。

 それも、空にだけじゃない。前にも後ろにも、右にも左にも。

 ナイフで削った鉛筆の粉みたいに銀色の星々が散らばっている。

『なんでも世界まるごとこの壺の中に入ってるらしいぜ』

 キースは物のたとえだと言っていたが、それは間違っていた。

 ゴズメルは巨大な船の上にいた。

(星の海をいくデカい船って、それじゃ、ここは)

 まるで昔話の世界だ。

 ゴズメルは頭がくらくらした。

 ジーニョは、ノァズァークは、プレイヤーとアジリニの見ている夢だと言った。

 その夢の中に天中之壺があり、夢の外の世界とつながっている。

(合わせ鏡みたいに世界が何重にも重なっているんだ。うおお、変な感じだな……キースのやつ、こんなところにメダルを貯めてたのか……)

 冒険者協会が関知しないわけだ、とゴズメルは思った。実質、ここはノァズァークの世界の外なのだ。

 とすると、甲板で寝ているというアジリニや、プレイヤーの本体も乗っているということになる。

 ゴズメルはがぜん興味が沸いてきた。

 せっかくなのだから自分の本体やアジリニ神を見てみたい気がする。それに、こういう謎の空間には宝箱があると冒険者のカンが告げている。

 ゴズメルは甲板をぐるっと回ってみた。まったく奇妙な船だった。マストも操舵室もない代わりに、金属製の大きな立方体が船首に設置してある。

「なんだこの箱」

 何かギミックのヒントがないかと、ゴズメルはべたべたと箱を触った。と、何か文字が彫ってあることに気づく。

「ア……ジ……リ、ニ……」

 ゴズメルはギョッとして箱から飛びのいた。

 箱は、ぴくりともしない。信仰心などかけらもないゴズメルも、これには驚かずにはいられなかった。

(マジかよ。これが、アジリニ神だっていうのか)

 だが、鐵刑の塔の最上階のモニターに映っていた映像も、確かにそうだった。プレイヤーの本体は箱の中にあるのだ。だとしたら、アジリニも箱の中にいたとしても不思議ではない。

(こんなデカいサイコロが、祈願を受け付けたり、あたしの童貞喪失精子だのを欲しがったりしてるって……?)

 神様らしい神様を想像していたゴズメルはがっかりした。が、ものは考えようだ。

 アジリニ神が本当に昔話みたいにひとの形をして寝ていたら、うっかり起こしてしまうかもしれない。夢から覚めて、帰る世界がなくなるのは困る!

 それに、文字のヒントを得られたことは有難かった。ゴズメルは手足であちこちを探って、床板に船室への入り口を発見した。

 金属製のプレートに『ポータル(入口)』と刻んであるところを見ると、ひとが歩き回ることを想定したつくりらしい。

 ゴズメルはフンフンと宝探しのテーマを口ずさみながら、ハシゴで船室へ降りて行った。暗い中、魔物バグも出てこないほどのひとりぼっちで、だんだん心細くなってきたのだ。

「なんにも考えないで飛び込んじまったけど、この壺って付属の匙で掬わないと外に出られないわけだろ」

 大きな声でひとりごとを言うくらいだ。

「キースは特急便で出してくれるって言ったけど、配達中に事故でもあったら、あたし一生このまんまってことか。ひえ~~コエ~~~~~」

 気持ちを落ち着かせようとしゃべっているのに、むしろ不安になってきた。餓死したらどうしよう。

 いやいやアイテムボックスには水や食料がたっぷり入っているはずだ。落ち着いてメニュー画面を開こうとしたゴズメルは、叫んだ。

「どうなってんだ、メニュー画面が開かないじゃないか!」

 いつものように念じても、メニュー画面が開かない。当然、アイテムボックスにアクセスできず、武器も装備できない。なんて恐ろしい世界だろう。ゴズメルはまったくの丸腰なのだ。

「これで宝箱の一つでもなきゃ、マジでやってらんないな!」

 ゴズメルは大きな声を出して、なんとか気分を盛り上げようとした。箱は箱でも船室に並んでいるのは棺桶じみた金属製の箱ばかりだが・・・。

 どれも緑のランプが点いているところを見ると、本体はみんな元気らしい。中は覗けないが、中央に金属製のプレートが貼られていて、名前が彫られている。

 ゴズメルは指でなぞりながら、ひとつひとつの箱を見て回った。単に暇を持て余していたからではない。何かしていないと、押し寄せてくる不安に気が狂いそうだったからだ。

 そのうち、一台の箱の前で立ち止まった。

「……リリィ?」

 プレートに、そう書いてある。まさか、本当にリリィなのだろうか。

 だが、緑色のランプの点き方が妙だった。小刻みに点滅している。

 まるで箱の中身が異常を来たしていると伝えるかのように。

「おいリリィ、しっかりしろ、リリィ! 大丈夫か!」

 目の前にいるのに叫ぶしかできない。ゴズメルは箱に縋りついた。

「気をしっかり持つんだ、いいか、もうすぐ絶対に助けに行くからな! 言ったじゃないか、あんたはあたしの恋人なんだから、死んだりなんかしちゃダメだって」

 まくしたてる言葉は、自分に言い聞かせているようなものだった。

(もう一度、この腕にあの子を抱くんだ。めちゃくちゃにキスして、リリィをあたしだけのお嫁さんにする)

 アジリニ神がただの金属製の箱だったと知った今でも、ゴズメルはそうならなければおかしいと思った。こんなに愛しているのに、世界や運命に引き裂かれるなんて、ありえない。

「うわああん!」

 こんなに強く抱きついているのに、箱が腕から離れていく。ゴズメルは泣き叫んだ。

 なにか強い力に背中をつまみあげられて――ドスン。

 次の瞬間、ゴズメルは明るい台所に尻もちをついていた。

 目の前に、猫族のメイドがいる。右手に匙を、左手に天中之壺を持っていて……ゴズメル以上に驚いていた。

「あっ、あぁ、ゴズメル様……まさか本当にこの中に入っているなんて」

 そこはブランカの屋敷だった。

 キッチンテーブルにコーヒー酒の瓶や菓子の箱が置いてあるところを見ると、キースは本当に土産物と一緒に送ったらしい。

「あ、あの、体調は大丈夫ですか。この壺は本来、ひとが入るようなものではないのです」

「あたし、行かなきゃ」

「えっ、どこへ」

 立ち上がるゴズメルに、メイドのシオンは戸惑ったような声を上げた。アルティカにも医者は色々といるが、冒険者協会と提携している者は少ない。担ぎ込まれたとしたら、あそこだろうという目算はあった。

 キースが約束を守ったからには、ゴズメルはやり遂げなければならない。

 手遅れになる前に、リリィを助けに行くのだ!
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