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第1章 アニマル☆サーカス
第15話 スペシャルサプライズ?
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「それではご紹介しましょう! お菓子におもちゃに動物に! どんな変化魔法も自在に操れる稀代のマジシャン――」
スポットライトと共に、一斉に視線がこっちに向けられて、歓声が上がる。
「――フィーさんと、アシスタントのうさぎさんです!」
そして、ステージ上のエゼル団長は嬉しそうにこう言った。
アニマルサーカスの、スペシャルゲストって……やっぱり、フィーのことだったんだ。
嫌な予感が当たった……って、ちょっと待って。どうして、どうしてわたしも一緒に呼ばれてるの??
「え、え……? ??」
当然フィーもこんな流れになるなんて知らなかったみたいで、完全に慌てている。いつも舞台に上がる前とは大違いだ。
「そ、それじゃあ、行こうね! うさぎさん!」
フィーがさっとトランクを右手で持って、それから左手でわたしの右手を繋いで。ステージに向かって歩き出した。あ、そうか、わたしもステージに行かなきゃいけないんだ……って、え、ええ……?!
歓声を受けながら、通路を歩いていくフィー。笑顔だけど、緊張でこわばっていて。一度スポットライトを浴びてしまった以上、もう後戻りはできそうになくて……。
「あ、本当だ、フィーさんだ!」「えっ、ほんとに?!」「ほら、あそこを歩いてるよ!」「フィーさん、すっごくかわいい!」「うさぎさんも、ふわふわでかわいいね……!」
パチパチパチと、沸き起こる拍手と歓声。
今まで実感無かったんだけど……フィーって、本当に、そこそこ有名だったらしい。どうやらファンの子も居るみたい。
いや、まあ、知らない人も混じってはいるんだろうけど……だけど、大歓迎の暖かい雰囲気で、余計に引き辛い、気まずい。それに……わたしのことも聞えてきて、何だか恥ずかしくなってくる。
ステージに設けられた階段を、フィーに続いて上がる。スポットライトがいつもよりも眩しい。
全然状況が掴み切れてないまま、ステージを踏んでしまう。
いつもフィーがショーを開いている様な場所とはまた違った、テントの丸いステージ。三百六十度周囲から見つめられているから、その分緊張が加速する。
だ、大丈夫、難しいことはフィーに任せて、わたしはただじっとして、時々お客さんに手を振っていたりすれば……。
「え、えっと……みんな、楽しんでくれた~?!」
フィーはかなり混乱しているらしくて、エゼル団長やロコちゃんに話を振られるよりも早く、観客席に元気に語りかけた。
……フィーのこういうところは、凄いと思う。一見すると、いつもと同じ調子だけど……。ステージに上がる前に気持ちの整理を付けていないから、当然声がちょっと高くなって上ずっている。
それを言ったらわたしなんて、ここに立っているだけでも頭がくらくらしていまいそうだった。どうか何事も無いようにやり過ごせますように……。
「「「はーい!」」」
そんな元気な声が、観客席から返って来る。一応、掴みはオッケーみたい。
「本当に凄いよね、アニマルサーカス! フィー、もう、どきどきしちゃった!」
これは本心だからか、比較的つっかえないで喋れている。この調子なら大丈夫そう……って、何でフィーの心配なんかしてるんだろ……。
「それとね、実は、ロコちゃんとわたしは魔法学校からの、一番の仲良しの友達なんだよ!」
「えっ? そうだったの、ロコ?」
エゼル団長がきょとんとして、ロコちゃんに尋ねる。
「そうですよ! 知らなかったんですか……?」
ロコちゃんが困った様にエゼル団長にこっそり耳打ちしている。
フィーがお客さんに語り掛ける。
「それで、ロコちゃんは動物変化魔法がとっても得意でね、色んな珍しい動物に変身させることができたんだ! ルカちゃんも、人間から変身したんだよね!」
「きゅいっ!」
するとルカちゃんが高く鳴いて、ロコちゃんのほっぺたをぺろっとなめた。そしてフィーも、ルカちゃんの頭を撫でてあげる。
「カーバンクルって、本当に珍しいんだよ! それにとってもかわいいの! やっぱり魔法って、不思議だね……!」
「きゅうっ!」
と、そこでルカちゃんは、フィーのほっぺたもぺろっとなめる。
「ひゃっ!」
「きゅきゅっ!」
「くすぐったいよ~もうっ!」
愉快そうにくすくすと笑うルカちゃん。ぷくっと、頬を膨らませるフィー。そんなほのぼのとしたやりとりに、お客さんからも微笑ましい笑い声が聞こえてくる。
「だけど、そんなところもかわいいね! ルカちゃん、大好き!」
そしてフィーはもう一回、ルカちゃんの頭を優しく撫でてあげる。
流石はフィー……一応話を繋いでいる。
それに、お客さんからの反応も良い。それに、フィー自身の緊張も、もうかなりほぐれている様に見えた。話し方も自然だし、楽しそうになっている。
「も、もしかして、ロコがゲストとして呼んでくれたんじゃなくて……」
「フィーちゃんは、ただ、会いに来てくれただけなんです……!」
「そ、そうだったのか……! それはすまない!」
一方エゼル団長とロコちゃんはそんな話をしていて。マズい事態だと気が付いたのか、エゼル団長の顔色が次第に青ざめていく。
「なるほど、そうだったんですか! フィーさん、それでは今日は本当にありが――」
ミスに気付いたエゼル団長がすぐに、フィーを解放してあげようとする。
けれど。
「あとは……変化魔法、変化魔法だから……」
フィーは話題が尽きたのか、また混乱し始めていて。エゼル団長の話が入ってきていないみたいで……。
「そうだ! それじゃあフィーも何か一つ、マジックを見せてあげる!」
と言ってフィーが、トランクを開けてピンクと白の縞模様の短いステッキを取り出した。
!
「「「えっ……」」」
と、ロコちゃんと、エゼル団長と、わたし……三人の声が重なる。
観客席の中からはどよめきが生まれて、すぐに拍手へと変わっていく。
フィーの横顔は、再び焦っている様にも見えて……。
ほ、本当に大丈夫? フィー……。
スポットライトと共に、一斉に視線がこっちに向けられて、歓声が上がる。
「――フィーさんと、アシスタントのうさぎさんです!」
そして、ステージ上のエゼル団長は嬉しそうにこう言った。
アニマルサーカスの、スペシャルゲストって……やっぱり、フィーのことだったんだ。
嫌な予感が当たった……って、ちょっと待って。どうして、どうしてわたしも一緒に呼ばれてるの??
「え、え……? ??」
当然フィーもこんな流れになるなんて知らなかったみたいで、完全に慌てている。いつも舞台に上がる前とは大違いだ。
「そ、それじゃあ、行こうね! うさぎさん!」
フィーがさっとトランクを右手で持って、それから左手でわたしの右手を繋いで。ステージに向かって歩き出した。あ、そうか、わたしもステージに行かなきゃいけないんだ……って、え、ええ……?!
歓声を受けながら、通路を歩いていくフィー。笑顔だけど、緊張でこわばっていて。一度スポットライトを浴びてしまった以上、もう後戻りはできそうになくて……。
「あ、本当だ、フィーさんだ!」「えっ、ほんとに?!」「ほら、あそこを歩いてるよ!」「フィーさん、すっごくかわいい!」「うさぎさんも、ふわふわでかわいいね……!」
パチパチパチと、沸き起こる拍手と歓声。
今まで実感無かったんだけど……フィーって、本当に、そこそこ有名だったらしい。どうやらファンの子も居るみたい。
いや、まあ、知らない人も混じってはいるんだろうけど……だけど、大歓迎の暖かい雰囲気で、余計に引き辛い、気まずい。それに……わたしのことも聞えてきて、何だか恥ずかしくなってくる。
ステージに設けられた階段を、フィーに続いて上がる。スポットライトがいつもよりも眩しい。
全然状況が掴み切れてないまま、ステージを踏んでしまう。
いつもフィーがショーを開いている様な場所とはまた違った、テントの丸いステージ。三百六十度周囲から見つめられているから、その分緊張が加速する。
だ、大丈夫、難しいことはフィーに任せて、わたしはただじっとして、時々お客さんに手を振っていたりすれば……。
「え、えっと……みんな、楽しんでくれた~?!」
フィーはかなり混乱しているらしくて、エゼル団長やロコちゃんに話を振られるよりも早く、観客席に元気に語りかけた。
……フィーのこういうところは、凄いと思う。一見すると、いつもと同じ調子だけど……。ステージに上がる前に気持ちの整理を付けていないから、当然声がちょっと高くなって上ずっている。
それを言ったらわたしなんて、ここに立っているだけでも頭がくらくらしていまいそうだった。どうか何事も無いようにやり過ごせますように……。
「「「はーい!」」」
そんな元気な声が、観客席から返って来る。一応、掴みはオッケーみたい。
「本当に凄いよね、アニマルサーカス! フィー、もう、どきどきしちゃった!」
これは本心だからか、比較的つっかえないで喋れている。この調子なら大丈夫そう……って、何でフィーの心配なんかしてるんだろ……。
「それとね、実は、ロコちゃんとわたしは魔法学校からの、一番の仲良しの友達なんだよ!」
「えっ? そうだったの、ロコ?」
エゼル団長がきょとんとして、ロコちゃんに尋ねる。
「そうですよ! 知らなかったんですか……?」
ロコちゃんが困った様にエゼル団長にこっそり耳打ちしている。
フィーがお客さんに語り掛ける。
「それで、ロコちゃんは動物変化魔法がとっても得意でね、色んな珍しい動物に変身させることができたんだ! ルカちゃんも、人間から変身したんだよね!」
「きゅいっ!」
するとルカちゃんが高く鳴いて、ロコちゃんのほっぺたをぺろっとなめた。そしてフィーも、ルカちゃんの頭を撫でてあげる。
「カーバンクルって、本当に珍しいんだよ! それにとってもかわいいの! やっぱり魔法って、不思議だね……!」
「きゅうっ!」
と、そこでルカちゃんは、フィーのほっぺたもぺろっとなめる。
「ひゃっ!」
「きゅきゅっ!」
「くすぐったいよ~もうっ!」
愉快そうにくすくすと笑うルカちゃん。ぷくっと、頬を膨らませるフィー。そんなほのぼのとしたやりとりに、お客さんからも微笑ましい笑い声が聞こえてくる。
「だけど、そんなところもかわいいね! ルカちゃん、大好き!」
そしてフィーはもう一回、ルカちゃんの頭を優しく撫でてあげる。
流石はフィー……一応話を繋いでいる。
それに、お客さんからの反応も良い。それに、フィー自身の緊張も、もうかなりほぐれている様に見えた。話し方も自然だし、楽しそうになっている。
「も、もしかして、ロコがゲストとして呼んでくれたんじゃなくて……」
「フィーちゃんは、ただ、会いに来てくれただけなんです……!」
「そ、そうだったのか……! それはすまない!」
一方エゼル団長とロコちゃんはそんな話をしていて。マズい事態だと気が付いたのか、エゼル団長の顔色が次第に青ざめていく。
「なるほど、そうだったんですか! フィーさん、それでは今日は本当にありが――」
ミスに気付いたエゼル団長がすぐに、フィーを解放してあげようとする。
けれど。
「あとは……変化魔法、変化魔法だから……」
フィーは話題が尽きたのか、また混乱し始めていて。エゼル団長の話が入ってきていないみたいで……。
「そうだ! それじゃあフィーも何か一つ、マジックを見せてあげる!」
と言ってフィーが、トランクを開けてピンクと白の縞模様の短いステッキを取り出した。
!
「「「えっ……」」」
と、ロコちゃんと、エゼル団長と、わたし……三人の声が重なる。
観客席の中からはどよめきが生まれて、すぐに拍手へと変わっていく。
フィーの横顔は、再び焦っている様にも見えて……。
ほ、本当に大丈夫? フィー……。
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