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第1章 アニマル☆サーカス
第16話 共鳴
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「そうだ! それじゃあフィーも何か一つ、マジックを見せてあげる!」
ピンク色の長い髪の毛の、十才ぐらいの女の子――マジシャンのフィーは、トランクを開けてステッキを取り出した。ピンクと白の縞模様の、短めのステッキを……。
「「「えっ……」」」
と、ステージに立つ他の三人の驚きの声が重なる。エゼル団長と、ロコちゃんと……それから、わたし。
あ、あれ? フィーとわたしはただ、客席でサーカスを見ていただけだったのに。
どうして、どうしてこんなことに……???
「い、いえ、お構いなく、フィーさん……!」
フィーとわたしをステージに呼んだエゼル団長も慌てている。きっとゲストと言っても、マジックまで頼むつもりは無くて、ステージの上で少しだけ話してもらうだけのつもりだったんだ。
……でも。フィーはもうお客さんに、マジックをするって言っちゃった。
これと言って、準備もしていない、ぶっつけ本番なのに……。
「えへへ、大丈夫です! フィーはマジシャンだから!」
と、フィーは明るく返事をするけれど。
大丈夫……じゃない。
普段のマジックショーの時よりもずっと緊張していることが声音から伝わってくる。
「だ、大丈夫? フィーちゃん……」
「う、うん。平気だよ!」
心配そうなロコちゃんにもフィーはただ小さく首を縦に振るだけ。
平気じゃないのは明らかだけど……。わたしはちらっと、ステージを囲むお客さんを見た。期待に満ちた沢山のお客さんの表情と歓声。
どうやらフィーの変化魔法はやっぱり、どこか特別な物みたいで……お客さんの盛り上がりがびりびりと伝わって、毛が逆立った。
「それじゃ、始めるね! えいっ!」
フィーは魔法のステッキを振るって、縄で縛られた女の子――七才ぐらいから十四才ぐらいと年齢はばらばらな女の子たちを15人ほど、舞台に登場させる。
だけどこれも、失敗……だよね?
いや、向こうの世界から、女の子を無理矢理連れてくるまでは、一緒なんだけど……フィーがマジックで、こんなに沢山の女の子を一斉に変化させることって、今までなかったはず……。
「えっと……」
フィーもここでようやくミスに気付いたみたいで、ステッキを握ったまま固まっている。
そのまま十秒ぐらいが過ぎても、マジックはまだ始まらない。
だけど、お客さんは特に異変に気付いてないみたいで……むしろフィーが力を溜めていると思っているらしく。更に期待の眼差しがフィーに向けられてるって分かる。
「……」
だけどフィーはステッキと、縛られた女の子達に視線を行ったり来たりさせていて……。応援がプレッシャーになってますます緊張して、何も出来ない状態になっているんだ。
そんな様子を、一緒にステージに立っているわたしは今、ただ見つめている。
ちょっとだけ、気の毒かな……とは思うけど。
でも……まあ、良い気味、だよ。こんな時に心の中で仕返ししたって、構わない、よね。
だって、こんなうさぎのお化けにされたことは、今のフィーが味わってることよりもずっとずっとひどいことなんだから。
いつもやられっぱなしだから、たまにはフィーも痛い目を見れば良い。
フィーももっとひどい目に遭っちゃえばいい。
「フィーちゃん」
そんなことを考えていると不意に、ロコちゃんの声がする。見ればロコちゃんは右手で、フィーの空いた左手とそっと繋いであげていた。
ロコちゃんは、フィーを助けてあげようとしているんだ。
「ありがとう、ロコちゃん」
それでフィーはちょっと落ち着いたらしい。すー、はー、と、深呼吸をして、目を閉じて女の子たちにステッキを向ける。ロコちゃんも、目を閉じて何か想っているみたい。
だけど……女の子たちの姿は少しも変わらないで。ただ、自分たちの置かれている奇妙な状況にきょとんとしているばかり。
その一方でフィーの緊張はますますひどくなる一方らしく……横顔からも、焦りが伝わってくる。
「ど、どうすれば……」
エゼル団長も完全に戸惑っていて、あんまり頼りになるとは言い難い、かも……。
「マジック! フィーさんのマジックだって!」「すごいサプライズだね、驚いちゃった!」「ほら、フィーさんはあのステッキでマジックをするんだよ!」「ほんとだ……! 女の子をいっぱい出したね……!」「すごいすごい! 次は何をするんだろう?」「楽しみだね~わくわくする!」「きっと、見たことの無い様な変身魔法だよ!」
お客さんは、待ち続けてくれている。客席からは全く不満も聞こえてこない。だからこそ余計にプレッシャーが掛ってるんだ。
縄で縛られた女の子たちを見る。マジック……きっと、いつも通り、この女の子たちを、他の物に変えてしまう、変身魔法を使うつもりなんだ。
……マジックが失敗すれば、この子たちは変身することは無い。
なら、それで良いんだ、フィーが、失敗すれば良い。恥をかけばいい。
……だけど。
不安そうな表情をしている、ロコちゃん、エゼル団長。
そして……。
フィー。
……ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、かわいそう……かな……。
……マジック、マジック。
動物変身魔法、じゃないはずだ。
だって、動物変身魔法はロコちゃんの方が上手だから……わざわざフィーもしようと思わない、はずだ。
おもちゃか、ぬいぐるみ、それとも、お菓子とか、かな……?
……お菓子。このサーカスに、似合うお菓子……?
この子達は、どんなおかしに変えられちゃうんだろう。
フィーは、どんな、お菓子にしたいんだろう……?
ここはアニマルサーカスで、それでお菓子って……?
……。…………。
……あっ。
そっか、アニマルサーカスだから――。
「うさぎさん!」
声が響く。……ロコちゃんの声!
すぐにロコちゃんが左手で、ぎゅっとわたしの右手を握る。
「――!!!」
フィーが目を開ける。
そして、思いっ切り魔法のステッキを振り上げて。
「それっ!」
振り下ろす。
その瞬間。
!
!!!!!
ピンク色の長い髪の毛の、十才ぐらいの女の子――マジシャンのフィーは、トランクを開けてステッキを取り出した。ピンクと白の縞模様の、短めのステッキを……。
「「「えっ……」」」
と、ステージに立つ他の三人の驚きの声が重なる。エゼル団長と、ロコちゃんと……それから、わたし。
あ、あれ? フィーとわたしはただ、客席でサーカスを見ていただけだったのに。
どうして、どうしてこんなことに……???
「い、いえ、お構いなく、フィーさん……!」
フィーとわたしをステージに呼んだエゼル団長も慌てている。きっとゲストと言っても、マジックまで頼むつもりは無くて、ステージの上で少しだけ話してもらうだけのつもりだったんだ。
……でも。フィーはもうお客さんに、マジックをするって言っちゃった。
これと言って、準備もしていない、ぶっつけ本番なのに……。
「えへへ、大丈夫です! フィーはマジシャンだから!」
と、フィーは明るく返事をするけれど。
大丈夫……じゃない。
普段のマジックショーの時よりもずっと緊張していることが声音から伝わってくる。
「だ、大丈夫? フィーちゃん……」
「う、うん。平気だよ!」
心配そうなロコちゃんにもフィーはただ小さく首を縦に振るだけ。
平気じゃないのは明らかだけど……。わたしはちらっと、ステージを囲むお客さんを見た。期待に満ちた沢山のお客さんの表情と歓声。
どうやらフィーの変化魔法はやっぱり、どこか特別な物みたいで……お客さんの盛り上がりがびりびりと伝わって、毛が逆立った。
「それじゃ、始めるね! えいっ!」
フィーは魔法のステッキを振るって、縄で縛られた女の子――七才ぐらいから十四才ぐらいと年齢はばらばらな女の子たちを15人ほど、舞台に登場させる。
だけどこれも、失敗……だよね?
いや、向こうの世界から、女の子を無理矢理連れてくるまでは、一緒なんだけど……フィーがマジックで、こんなに沢山の女の子を一斉に変化させることって、今までなかったはず……。
「えっと……」
フィーもここでようやくミスに気付いたみたいで、ステッキを握ったまま固まっている。
そのまま十秒ぐらいが過ぎても、マジックはまだ始まらない。
だけど、お客さんは特に異変に気付いてないみたいで……むしろフィーが力を溜めていると思っているらしく。更に期待の眼差しがフィーに向けられてるって分かる。
「……」
だけどフィーはステッキと、縛られた女の子達に視線を行ったり来たりさせていて……。応援がプレッシャーになってますます緊張して、何も出来ない状態になっているんだ。
そんな様子を、一緒にステージに立っているわたしは今、ただ見つめている。
ちょっとだけ、気の毒かな……とは思うけど。
でも……まあ、良い気味、だよ。こんな時に心の中で仕返ししたって、構わない、よね。
だって、こんなうさぎのお化けにされたことは、今のフィーが味わってることよりもずっとずっとひどいことなんだから。
いつもやられっぱなしだから、たまにはフィーも痛い目を見れば良い。
フィーももっとひどい目に遭っちゃえばいい。
「フィーちゃん」
そんなことを考えていると不意に、ロコちゃんの声がする。見ればロコちゃんは右手で、フィーの空いた左手とそっと繋いであげていた。
ロコちゃんは、フィーを助けてあげようとしているんだ。
「ありがとう、ロコちゃん」
それでフィーはちょっと落ち着いたらしい。すー、はー、と、深呼吸をして、目を閉じて女の子たちにステッキを向ける。ロコちゃんも、目を閉じて何か想っているみたい。
だけど……女の子たちの姿は少しも変わらないで。ただ、自分たちの置かれている奇妙な状況にきょとんとしているばかり。
その一方でフィーの緊張はますますひどくなる一方らしく……横顔からも、焦りが伝わってくる。
「ど、どうすれば……」
エゼル団長も完全に戸惑っていて、あんまり頼りになるとは言い難い、かも……。
「マジック! フィーさんのマジックだって!」「すごいサプライズだね、驚いちゃった!」「ほら、フィーさんはあのステッキでマジックをするんだよ!」「ほんとだ……! 女の子をいっぱい出したね……!」「すごいすごい! 次は何をするんだろう?」「楽しみだね~わくわくする!」「きっと、見たことの無い様な変身魔法だよ!」
お客さんは、待ち続けてくれている。客席からは全く不満も聞こえてこない。だからこそ余計にプレッシャーが掛ってるんだ。
縄で縛られた女の子たちを見る。マジック……きっと、いつも通り、この女の子たちを、他の物に変えてしまう、変身魔法を使うつもりなんだ。
……マジックが失敗すれば、この子たちは変身することは無い。
なら、それで良いんだ、フィーが、失敗すれば良い。恥をかけばいい。
……だけど。
不安そうな表情をしている、ロコちゃん、エゼル団長。
そして……。
フィー。
……ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、かわいそう……かな……。
……マジック、マジック。
動物変身魔法、じゃないはずだ。
だって、動物変身魔法はロコちゃんの方が上手だから……わざわざフィーもしようと思わない、はずだ。
おもちゃか、ぬいぐるみ、それとも、お菓子とか、かな……?
……お菓子。このサーカスに、似合うお菓子……?
この子達は、どんなおかしに変えられちゃうんだろう。
フィーは、どんな、お菓子にしたいんだろう……?
ここはアニマルサーカスで、それでお菓子って……?
……。…………。
……あっ。
そっか、アニマルサーカスだから――。
「うさぎさん!」
声が響く。……ロコちゃんの声!
すぐにロコちゃんが左手で、ぎゅっとわたしの右手を握る。
「――!!!」
フィーが目を開ける。
そして、思いっ切り魔法のステッキを振り上げて。
「それっ!」
振り下ろす。
その瞬間。
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