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第3部
【8】因縁の再会③(~暁対緋色)
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【8ー③】
ーー『原石』ーー
ガヤガヤガヤーーー
「ああ、それは そっちに持っていってーーー」
「マスター、あと どれくらい必要ですかーーー」
「そうねぇーーー」
店内を従業員達と新郎新婦の関係者達が忙しなく動き回っている。そんな中、新郎新婦の二人と新婦の弟、そして二人の友人である周防 暁が電子ピアノの周りを囲んでいた。
「おいおい、桃華、マジか。本当に即席で用意するって冗談じゃなかったんだな」
暁が目の前の電子ピアノを見つめながら呆気に とられていると、桃華がニッコリと笑う。
「うふふ、忘れたの? 私は有言実行の女よ? 丁度 知り合いの家から眠っているピアノがあるって聞いていたから即行借りてきたの。
だって昨日タマちゃんと話していて思いついちゃったんだもん。ピアノの生演奏があったら素敵だな~って」
「だからって昨日の今日だぞ? それに誰がピアノを弾くんだよ」
鼻で小さく息をつく暁に桃華は隣にいる自分の弟の腕を引き寄せる。
「それは勿論、ウチの弟の緋色が弾いてくれるよ。ねー緋色?」
そんな姉に緋色は、むっすりとした表情だ。
「ーー桃華姉、俺の専攻はエレクトーンなんだけど?」
「あら、電子ピアノも同じ電気だからエレクトーンと一緒でしょ? 機能は同じよ同じ。大丈夫だって!」
「はあ………同じじゃないから。それでなくてもピアノは弾き方も違うんだって。しかも、なんで当日になってから言うんだよ。ぶっつけ本番なんて上手く弾ける自信無い」
緋色は俯きながらため息をつくと、姉がその背中を叩く。
「だいじょうーぶ! 緋色は器用だから出来る! それに元々5歳まではピアノ専攻だったじゃない。昔を思いだせばきっと弾けるって!」
すると それを聞いた義兄になった誠司が感心するように声を上げる。
「へぇ~ ひいろ君、ピアノも やってたんだ? 同じ姉弟なのに不器用な桃華と違ってヒロ君は習字も水泳もだけど色々出来てマジですごいな。桃華の自慢の弟だけある」
「うふふ、そうでしょ。しかもこんなイケメンに育っちゃってホントお姉ちゃんビックリ! 子供の頃の緋色からなら今の姿は想像もつかないよ。しかも昔はぽっちゃりさんだったからさ~ やっぱり水泳効果って絶大かも」
「桃華姉! いくら身内だからって人前でベラベラとヒトの事話すなよ。それ以上何か言ったら俺、今からでも家に帰るからな」
不機嫌な顔で緋色が その場を離れようとするので、桃華が慌てて引き留める。
「あ~ 待って待って! ゴメンゴメン! もう言わないから機嫌直して~ とにかく一曲でいいからさ、何か弾いて欲しいな。
折角ピアノも用意したし、今日は私達のお友達しか来ないし、音楽発表会ってわけでもないんだから気楽に弾いてくれるだけでいいんだよ」
そう言って拝むように手を合わせて お願いしてくる姉に、緋色は呆れ顔で肩を落とした。
「あのさ、簡単に言ってくれるけど、約10年間ピアノから離れているのに上手く弾けっこねーよ。それより今日の客達の中で誰かピアノを弾けるヤツいないの? 一人くらいなら誰かいるだろ? その人に頼めよ」
すると誠司がそんな緋色の肩をポンと叩く。
「ひいろ君、ゴメンな。ホント無理言って。だけど今日は桃華のお願いを聞いてやっては もらえないかな? 桃華がさ、どうしても、ひいろ君が演奏しているところを見たいらしいんだよ。
それに今はマンション暮らしだからエレクトーンも弾けないんだろ? それだから尚更 弾いて欲しいんだって」
「だって、緋色は昨年受験だったから定期演奏会にも出なかったでしょ? 私は緋色の演奏してる姿を見るのが好きだし、私も大学を卒業したら誠司のところに行っちゃうから、
そうしたら緋色の演奏も中々聞けなくなるじゃない。だから今日は私の為に何か弾いて欲しいな~なんて。緋色はやっぱり嫌?」
そうして懇願するように弟の顔を覗き込む姉の視線を避けるように顔を横に逸らしてため息をつく。
「はあぁ………分かったよ。でも本当に簡単な曲しか弾けないと思う。 しかも下手くそな演奏になっても責任持たないからな」
「きゃー ホントに!? 超嬉しい!! ありがとう! 緋色!!」
そんな満面の笑みで喜んでいる姉に緋色は壁に掛かっている時計を見て声を掛ける。
「ねえ、そんな事よりも、そろそろ桃華姉達も支度をしたほうがいいんじゃないの? 特に女の方は色々と時間も掛かるんだろ?」
弟の言葉に桃華も時計を見て「あっ」と声を上げる。
「ああ、そうだな。早めに来る客もいる事だし桃華、俺達もそろそろ準備しようか」
「うん、そうする。それじゃ、また後でね」
そんな新郎新婦の二人は片手を振ってから控え室の方へと向かっていった。そんな二人の後に続くようにして、その場を離れようとする緋色を暁が呼び止めた。
「なあ、柏木弟。ちょっと聞きたい事があるんだけどさ」
暁に呼び止められた緋色は怪訝そうな表情で足を止める。
「はい、なんですか?」
「昨日うちの珠に今日のパーティーの招待状を渡しただろ? なんで?」
「………橘先輩から聞いたんですか? 別に理由なんてありません」
淡々と無表情に語る緋色に暁が首を横に振る。
「そんなわけないだろ? なんか色々と珠とわけありっぽいじゃん。 しかもセクハラとかってさ。穏やかじゃねー感じたし。そもそも珠とは一体どういう知り合いなんだよ?」
「………こう言っては失礼かもしれませんが全く関係のない人に答える義務は無いと思います。それに本人が覚えていない人間の事を知り合いもなにも無いんじゃないでしょうか」
「全く関係ないって事は無いだろ? お前は俺のダチでもある桃華の弟だし、珠は俺の可愛い妹分だからな。 だから兄貴分として、たとえ間接的ではあっても気になるんだよ。
それに珠の知り合いだって言うんならさ、なんで隠す必要あるんだ? 説明して本人に思い出させればいいだけだろ。それをわざわざセクハラとか意味深に隠したりなんかして、どういうつもりだ?」
「………どういうつもりも何もないです。それに関しては もういいと本人にも言いました。彼女が覚えていないならいないで、それで構いませんし、あくまで俺個人の事なので他人には関係の無い事です。
ーーそれじゃ、俺も準備がありますのでこれで。本日は よろしくお願いします」
これ以上の質問は不問だとでも言うように、会釈をして場を去ろうとする緋色を#暁の声が留める。
「おい、柏木弟。過去に何があったか知らねーけど、珠に関しては悪気はなかったと思うぞ?
アイツは根っからの天然で輪を掛けた鈍感ニブ子だが、性格はすごくいいヤツだ。何かわだかまりがあるんなら本人にハッキリ話しておかないとニブ子なだけに伝わらないぜ?
それでもアイツに何かよからぬ事をしようもんなら、それが大事なダチの弟であっても絶対に許さないからな?」
暁は険しい表情で緋色を見据えるも、それに対して緋色の方は口許に小さな笑みが浮かぶ。
「フッ……姉から聞いていた通りのシスコンぶりですね。そんなに心配しなくても彼女に何かしようなんて全く考えてませんから安心して下さい。
それに、たいして深い恨みがあるわけでもないですし、そもそも姉の信頼を裏切るような真似はしませんので、俺の事を信用するかしないかの判断はそちらにお任せします。 ーー失礼します」
そして緋色は再び会釈をすると、今度は後ろを振り返る事もなくそのまま歩いて行ってしまった。
暁はその後ろ姿を見つめながら自分の頭を掻くと深いため息をつきながら大きく肩を竦めた。
「……桃華の言う通り気難しそうなヤツ。もしかして最近の10代は みんなあんな感じなのか? もう少し少年らしくしろっつーの。
はあぁ……ますます珠が可愛く思える。アイツは逆に感情豊かすぎるお子様だからなあ………」
【8ー続】
ーー『原石』ーー
ガヤガヤガヤーーー
「ああ、それは そっちに持っていってーーー」
「マスター、あと どれくらい必要ですかーーー」
「そうねぇーーー」
店内を従業員達と新郎新婦の関係者達が忙しなく動き回っている。そんな中、新郎新婦の二人と新婦の弟、そして二人の友人である周防 暁が電子ピアノの周りを囲んでいた。
「おいおい、桃華、マジか。本当に即席で用意するって冗談じゃなかったんだな」
暁が目の前の電子ピアノを見つめながら呆気に とられていると、桃華がニッコリと笑う。
「うふふ、忘れたの? 私は有言実行の女よ? 丁度 知り合いの家から眠っているピアノがあるって聞いていたから即行借りてきたの。
だって昨日タマちゃんと話していて思いついちゃったんだもん。ピアノの生演奏があったら素敵だな~って」
「だからって昨日の今日だぞ? それに誰がピアノを弾くんだよ」
鼻で小さく息をつく暁に桃華は隣にいる自分の弟の腕を引き寄せる。
「それは勿論、ウチの弟の緋色が弾いてくれるよ。ねー緋色?」
そんな姉に緋色は、むっすりとした表情だ。
「ーー桃華姉、俺の専攻はエレクトーンなんだけど?」
「あら、電子ピアノも同じ電気だからエレクトーンと一緒でしょ? 機能は同じよ同じ。大丈夫だって!」
「はあ………同じじゃないから。それでなくてもピアノは弾き方も違うんだって。しかも、なんで当日になってから言うんだよ。ぶっつけ本番なんて上手く弾ける自信無い」
緋色は俯きながらため息をつくと、姉がその背中を叩く。
「だいじょうーぶ! 緋色は器用だから出来る! それに元々5歳まではピアノ専攻だったじゃない。昔を思いだせばきっと弾けるって!」
すると それを聞いた義兄になった誠司が感心するように声を上げる。
「へぇ~ ひいろ君、ピアノも やってたんだ? 同じ姉弟なのに不器用な桃華と違ってヒロ君は習字も水泳もだけど色々出来てマジですごいな。桃華の自慢の弟だけある」
「うふふ、そうでしょ。しかもこんなイケメンに育っちゃってホントお姉ちゃんビックリ! 子供の頃の緋色からなら今の姿は想像もつかないよ。しかも昔はぽっちゃりさんだったからさ~ やっぱり水泳効果って絶大かも」
「桃華姉! いくら身内だからって人前でベラベラとヒトの事話すなよ。それ以上何か言ったら俺、今からでも家に帰るからな」
不機嫌な顔で緋色が その場を離れようとするので、桃華が慌てて引き留める。
「あ~ 待って待って! ゴメンゴメン! もう言わないから機嫌直して~ とにかく一曲でいいからさ、何か弾いて欲しいな。
折角ピアノも用意したし、今日は私達のお友達しか来ないし、音楽発表会ってわけでもないんだから気楽に弾いてくれるだけでいいんだよ」
そう言って拝むように手を合わせて お願いしてくる姉に、緋色は呆れ顔で肩を落とした。
「あのさ、簡単に言ってくれるけど、約10年間ピアノから離れているのに上手く弾けっこねーよ。それより今日の客達の中で誰かピアノを弾けるヤツいないの? 一人くらいなら誰かいるだろ? その人に頼めよ」
すると誠司がそんな緋色の肩をポンと叩く。
「ひいろ君、ゴメンな。ホント無理言って。だけど今日は桃華のお願いを聞いてやっては もらえないかな? 桃華がさ、どうしても、ひいろ君が演奏しているところを見たいらしいんだよ。
それに今はマンション暮らしだからエレクトーンも弾けないんだろ? それだから尚更 弾いて欲しいんだって」
「だって、緋色は昨年受験だったから定期演奏会にも出なかったでしょ? 私は緋色の演奏してる姿を見るのが好きだし、私も大学を卒業したら誠司のところに行っちゃうから、
そうしたら緋色の演奏も中々聞けなくなるじゃない。だから今日は私の為に何か弾いて欲しいな~なんて。緋色はやっぱり嫌?」
そうして懇願するように弟の顔を覗き込む姉の視線を避けるように顔を横に逸らしてため息をつく。
「はあぁ………分かったよ。でも本当に簡単な曲しか弾けないと思う。 しかも下手くそな演奏になっても責任持たないからな」
「きゃー ホントに!? 超嬉しい!! ありがとう! 緋色!!」
そんな満面の笑みで喜んでいる姉に緋色は壁に掛かっている時計を見て声を掛ける。
「ねえ、そんな事よりも、そろそろ桃華姉達も支度をしたほうがいいんじゃないの? 特に女の方は色々と時間も掛かるんだろ?」
弟の言葉に桃華も時計を見て「あっ」と声を上げる。
「ああ、そうだな。早めに来る客もいる事だし桃華、俺達もそろそろ準備しようか」
「うん、そうする。それじゃ、また後でね」
そんな新郎新婦の二人は片手を振ってから控え室の方へと向かっていった。そんな二人の後に続くようにして、その場を離れようとする緋色を暁が呼び止めた。
「なあ、柏木弟。ちょっと聞きたい事があるんだけどさ」
暁に呼び止められた緋色は怪訝そうな表情で足を止める。
「はい、なんですか?」
「昨日うちの珠に今日のパーティーの招待状を渡しただろ? なんで?」
「………橘先輩から聞いたんですか? 別に理由なんてありません」
淡々と無表情に語る緋色に暁が首を横に振る。
「そんなわけないだろ? なんか色々と珠とわけありっぽいじゃん。 しかもセクハラとかってさ。穏やかじゃねー感じたし。そもそも珠とは一体どういう知り合いなんだよ?」
「………こう言っては失礼かもしれませんが全く関係のない人に答える義務は無いと思います。それに本人が覚えていない人間の事を知り合いもなにも無いんじゃないでしょうか」
「全く関係ないって事は無いだろ? お前は俺のダチでもある桃華の弟だし、珠は俺の可愛い妹分だからな。 だから兄貴分として、たとえ間接的ではあっても気になるんだよ。
それに珠の知り合いだって言うんならさ、なんで隠す必要あるんだ? 説明して本人に思い出させればいいだけだろ。それをわざわざセクハラとか意味深に隠したりなんかして、どういうつもりだ?」
「………どういうつもりも何もないです。それに関しては もういいと本人にも言いました。彼女が覚えていないならいないで、それで構いませんし、あくまで俺個人の事なので他人には関係の無い事です。
ーーそれじゃ、俺も準備がありますのでこれで。本日は よろしくお願いします」
これ以上の質問は不問だとでも言うように、会釈をして場を去ろうとする緋色を#暁の声が留める。
「おい、柏木弟。過去に何があったか知らねーけど、珠に関しては悪気はなかったと思うぞ?
アイツは根っからの天然で輪を掛けた鈍感ニブ子だが、性格はすごくいいヤツだ。何かわだかまりがあるんなら本人にハッキリ話しておかないとニブ子なだけに伝わらないぜ?
それでもアイツに何かよからぬ事をしようもんなら、それが大事なダチの弟であっても絶対に許さないからな?」
暁は険しい表情で緋色を見据えるも、それに対して緋色の方は口許に小さな笑みが浮かぶ。
「フッ……姉から聞いていた通りのシスコンぶりですね。そんなに心配しなくても彼女に何かしようなんて全く考えてませんから安心して下さい。
それに、たいして深い恨みがあるわけでもないですし、そもそも姉の信頼を裏切るような真似はしませんので、俺の事を信用するかしないかの判断はそちらにお任せします。 ーー失礼します」
そして緋色は再び会釈をすると、今度は後ろを振り返る事もなくそのまま歩いて行ってしまった。
暁はその後ろ姿を見つめながら自分の頭を掻くと深いため息をつきながら大きく肩を竦めた。
「……桃華の言う通り気難しそうなヤツ。もしかして最近の10代は みんなあんな感じなのか? もう少し少年らしくしろっつーの。
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