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第3部
【8】因縁の再会⑦(~新婦の友人達)
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【8ー⑦】
「ちょっと! 緋色!! いくらなんでも女の子に対して そんな言い方は無いんじゃないの?
それにタマちゃんが一体あんたに何したっていうのよ。いつまでも些細な事をウジウジ引きずっているなんて男らしくないよ?」
「桃華姉には関係ない」
「緋色!!」
ーーうっ、なんだか姉弟喧嘩が始まりそうな雰囲気に………いや、同じく弟を持つ姉という立場からいえば、桃華さんの気持ちは手に取る様によく分かるんだけど、今日は桃華さんにとって特別な日。
そんな大事な日にいきなり姉弟喧嘩って、おいおい。しかもその『原因』が他人の私。
ーーああ、罪悪感。桃華さん! ホントに申し訳ない。やっぱり私、来るんじゃなかった! 取り敢えず今は二人の喧嘩をやめさせないとーーー
そう思って声を掛けようとすると、桃華さんの後ろにいた二人の女の人が近付いてきて桃華さんの肩を叩く。
「ちょっと~桃華。いい加減 私達を無視して姉弟で盛り上がんないでよね。しかも何やら面白そうな話じゃないの。そろそろ私達も仲間に入れてくれない?」
ショートカットの女性が笑いながら声を掛けると、もう一人の ゆるふわパーマをかけた女性が同じく桃華さんの腕に手を回して自分の方に引き寄せる。
「ほ~んと。リアルな学生の恋バナほど聞いて楽しいものはないものね。だけど、さすがにいくらリアルでも大人のドロドロは大学でも聞き飽きたから、ここは昔に戻ってまだ純粋な青春を謳歌する高校生の恋愛事情を私も聞きたい!
ーーねえねえ、桃華。まずはこの超可愛いモデルさんのような女の子はだぁれ? もしかして桃華の弟クンの『彼女』?」
「そうだったら私もすごく嬉しいんだけど、残念ながら実はそうじゃないのよね~ 彼女は『タマちゃん』といって弟と同じ高校の二こ上の先輩で、
ふふ~ん、なんと驚くなかれ、この『原石』の唯一の女子従業員にして、あの暁が可愛がっているウワサの『妹』ちゃんよ」
ーーう、ウワサって、暁さん私の事、一体何話してんの??
するとショートカットの女性がズイッと私の前に出てくる。
「へえぇぇ~ この子がウワサの暁の『妹』ちゃんかあ~ 想像してたイメージとは全然違うなあ。
“天然癒し系”とか言ってたから、もっとちっちゃくてフワフワした感じの可愛い小動物系を想像してたけど、こんなモデル系のスレンダー美人さんとはね。
でもこれヤバくない? まさか暁のヤツ、手ぇ~出してないよね?」
そんなショートカットの女性の隣に ゆるふわパーマの女性が並ぶ。
「こらこら『早智』。そこは友達信じないと駄目でしょ? 暁は一見チャラそうに見えても中身はしっかりしてるからさ。それに『彼女』がいるのに浮気なんてするタイプじゃないよ」
「まあね~『綾乃』の言う通りなんだけどさ、でも最近倦怠期だって噂あるじゃん。暁も『彼女』の事はあまり話題に出したくない感じだし、
ま、その分『妹』ちゃんの自慢話ばっかしてるから尚更どんな子なのか気にはなっていたんだけど、なるほどねぇ。
暁が必死で隠したがるわけだわ。 この子、超可愛いもんね。 手足長くてスタイル良いし、それでいて顔も ちっちゃくて和風バービー人形っていうの?
ーーねぇ、『タマちゃん』だっけ? もしかしてモデルさん?」
「え? あ、あの、普通の一般人です………」
『早智』さんと呼ばれたショートカットの女性から観察されるようにグイグイと迫られ、その気迫に怖じ気づいて思わず後ずさると、そんな早智さんの肩をゆるふわパーマの『綾乃』さんと呼ばれていた女性が掴む。
「ちょっと~早智、初対面で迫りすぎ。タマちゃん怖がってるから。 ごめんね~タマちゃん? このお姉さん好奇心が強い上、可愛い子には特に目がないの」
「えっ!?」
………マジですか? この お姉さんはそっち『方面』の………
私は慌てて隣にいる緋色くんを盾にして その背後に隠れたが、しかし悲しいかな………私の方が彼より背が高いので完全には隠れきれていない。
「ご、ごめんなさい! 私、そういう趣味はなくって、その、お姉さんの お相手は絶対ムリですっつ!!」
「………先輩。だからって、どうして俺を盾にするんですか」
そんな緋色くんの呆れた声にも私は首をブンブンと横に振る。
「だって、そのテの人なら『男の子』は安全圏じゃん。それでなくても私、基本グイグイ来られるのはスッゴい苦手なんだよ」
「………それ、先輩が言っても説得力ないから。先輩も結構グイグイ来るタイプだし、しかも、しつこいーーー」
「えっ、そうなの? 私、そんなにしつこかった?」
私が緋色くんのブレザーを掴んで詰め寄るせいか、今度は緋色くんが私を引き離そうと身を捩る。
「本人自覚なしですかーーって、それよりも離れて下さい。上着が皺になる」
「あっ、と」
ハッと自分が緋色くんのブレザーの上着を強く握っていた事に気付きパッと手を離すと、彼の背中には握った皺がバッチリとついていた。
ーーうっ、ど~しよ。やっぱ皺になってる。
すかさず その皺を直す為に彼の背中を撫でると、緋色くんの体がビクッと大きく動いて上着を押さえながら私から距離を取る。
「なっ! あんた、いきなり何してるんだ!?」
「へ? 何って、背中がちょっとだけ皺になっちゃったから、手で伸ばして直そうと思って
ーーあ、もしかして、くすぐったかった? ごめんごめん」
怒る緋色くんに私はヘラヘラと調子よく笑いながら片手を振ると、緋色くんは眉間に皺を寄せながら俯き加減に深いため息をつく。
「………もう、いいです。先輩が『天然』というのがよく分かりました。 ーーなんか怒るのも馬鹿馬鹿しくなってきた」
そんな緋色くんの呆れている様子に、私が彼を馬鹿にしていると思われたのだと焦って釈明する。
「ああ、違うから! 私、緋色くんを馬鹿にしたわけじゃないんだよ。 だって本当に皺になっちゃってて申し訳ないと思って、手で伸ばせば直るかな~って。
だからくすぐるつもりは全く無くて、決して悪戯心からじゃなく本当に純粋に直そうとしてただけなんだけど、先に言えばよかったね?」
私は両手を合わせて拝むように謝る仕草をとるも緋色くんは再びため息をついて、私から視線を逸らしたまま首を横に振る。
「はあ………先輩、そこ勘違いだから。別に くすぐったいとかそういう事じゃなくて、そこに至る一連の動作っていうのが理解できないんだけど」
「一連の動作? ええっと、もしかして緋色くんを勝手に盾にした事を怒ってるとか?
あ~そっか、ごめんごめん。でも人身御供にするつもりはなくって、たまたま隣にいたのが緋色くんだったから、とっさの緊急回避で壁にしちゃったけど、でも悪気は無いんだよ。うん、ホント」
「それも違う。はあ………先輩、一応忠告するけど、もう少し警戒心を養った方がいいんじゃない?
しかも、むやみやたらに男に触らないほうがいいよ。先輩にその気が無くても勘違いするヤツが出てくるかもしれないから」
「勘違い?」
そんな緋色くんの言わんとしている事を理解する間もなく、いきなり早智さんが私にガバッと抱きついてくる。
「うふふ、こういう事よ」
「うっひゃあああああ!!」
突然の事に驚いて私が大きな悲鳴を上げると突如、喫茶店内に暁さんが勢いよく飛び込んできた。
「おい!! 今の悲鳴は珠かっ!!?」
ああ~暁さんだ! 天のお助け!!
【8ー続】
「ちょっと! 緋色!! いくらなんでも女の子に対して そんな言い方は無いんじゃないの?
それにタマちゃんが一体あんたに何したっていうのよ。いつまでも些細な事をウジウジ引きずっているなんて男らしくないよ?」
「桃華姉には関係ない」
「緋色!!」
ーーうっ、なんだか姉弟喧嘩が始まりそうな雰囲気に………いや、同じく弟を持つ姉という立場からいえば、桃華さんの気持ちは手に取る様によく分かるんだけど、今日は桃華さんにとって特別な日。
そんな大事な日にいきなり姉弟喧嘩って、おいおい。しかもその『原因』が他人の私。
ーーああ、罪悪感。桃華さん! ホントに申し訳ない。やっぱり私、来るんじゃなかった! 取り敢えず今は二人の喧嘩をやめさせないとーーー
そう思って声を掛けようとすると、桃華さんの後ろにいた二人の女の人が近付いてきて桃華さんの肩を叩く。
「ちょっと~桃華。いい加減 私達を無視して姉弟で盛り上がんないでよね。しかも何やら面白そうな話じゃないの。そろそろ私達も仲間に入れてくれない?」
ショートカットの女性が笑いながら声を掛けると、もう一人の ゆるふわパーマをかけた女性が同じく桃華さんの腕に手を回して自分の方に引き寄せる。
「ほ~んと。リアルな学生の恋バナほど聞いて楽しいものはないものね。だけど、さすがにいくらリアルでも大人のドロドロは大学でも聞き飽きたから、ここは昔に戻ってまだ純粋な青春を謳歌する高校生の恋愛事情を私も聞きたい!
ーーねえねえ、桃華。まずはこの超可愛いモデルさんのような女の子はだぁれ? もしかして桃華の弟クンの『彼女』?」
「そうだったら私もすごく嬉しいんだけど、残念ながら実はそうじゃないのよね~ 彼女は『タマちゃん』といって弟と同じ高校の二こ上の先輩で、
ふふ~ん、なんと驚くなかれ、この『原石』の唯一の女子従業員にして、あの暁が可愛がっているウワサの『妹』ちゃんよ」
ーーう、ウワサって、暁さん私の事、一体何話してんの??
するとショートカットの女性がズイッと私の前に出てくる。
「へえぇぇ~ この子がウワサの暁の『妹』ちゃんかあ~ 想像してたイメージとは全然違うなあ。
“天然癒し系”とか言ってたから、もっとちっちゃくてフワフワした感じの可愛い小動物系を想像してたけど、こんなモデル系のスレンダー美人さんとはね。
でもこれヤバくない? まさか暁のヤツ、手ぇ~出してないよね?」
そんなショートカットの女性の隣に ゆるふわパーマの女性が並ぶ。
「こらこら『早智』。そこは友達信じないと駄目でしょ? 暁は一見チャラそうに見えても中身はしっかりしてるからさ。それに『彼女』がいるのに浮気なんてするタイプじゃないよ」
「まあね~『綾乃』の言う通りなんだけどさ、でも最近倦怠期だって噂あるじゃん。暁も『彼女』の事はあまり話題に出したくない感じだし、
ま、その分『妹』ちゃんの自慢話ばっかしてるから尚更どんな子なのか気にはなっていたんだけど、なるほどねぇ。
暁が必死で隠したがるわけだわ。 この子、超可愛いもんね。 手足長くてスタイル良いし、それでいて顔も ちっちゃくて和風バービー人形っていうの?
ーーねぇ、『タマちゃん』だっけ? もしかしてモデルさん?」
「え? あ、あの、普通の一般人です………」
『早智』さんと呼ばれたショートカットの女性から観察されるようにグイグイと迫られ、その気迫に怖じ気づいて思わず後ずさると、そんな早智さんの肩をゆるふわパーマの『綾乃』さんと呼ばれていた女性が掴む。
「ちょっと~早智、初対面で迫りすぎ。タマちゃん怖がってるから。 ごめんね~タマちゃん? このお姉さん好奇心が強い上、可愛い子には特に目がないの」
「えっ!?」
………マジですか? この お姉さんはそっち『方面』の………
私は慌てて隣にいる緋色くんを盾にして その背後に隠れたが、しかし悲しいかな………私の方が彼より背が高いので完全には隠れきれていない。
「ご、ごめんなさい! 私、そういう趣味はなくって、その、お姉さんの お相手は絶対ムリですっつ!!」
「………先輩。だからって、どうして俺を盾にするんですか」
そんな緋色くんの呆れた声にも私は首をブンブンと横に振る。
「だって、そのテの人なら『男の子』は安全圏じゃん。それでなくても私、基本グイグイ来られるのはスッゴい苦手なんだよ」
「………それ、先輩が言っても説得力ないから。先輩も結構グイグイ来るタイプだし、しかも、しつこいーーー」
「えっ、そうなの? 私、そんなにしつこかった?」
私が緋色くんのブレザーを掴んで詰め寄るせいか、今度は緋色くんが私を引き離そうと身を捩る。
「本人自覚なしですかーーって、それよりも離れて下さい。上着が皺になる」
「あっ、と」
ハッと自分が緋色くんのブレザーの上着を強く握っていた事に気付きパッと手を離すと、彼の背中には握った皺がバッチリとついていた。
ーーうっ、ど~しよ。やっぱ皺になってる。
すかさず その皺を直す為に彼の背中を撫でると、緋色くんの体がビクッと大きく動いて上着を押さえながら私から距離を取る。
「なっ! あんた、いきなり何してるんだ!?」
「へ? 何って、背中がちょっとだけ皺になっちゃったから、手で伸ばして直そうと思って
ーーあ、もしかして、くすぐったかった? ごめんごめん」
怒る緋色くんに私はヘラヘラと調子よく笑いながら片手を振ると、緋色くんは眉間に皺を寄せながら俯き加減に深いため息をつく。
「………もう、いいです。先輩が『天然』というのがよく分かりました。 ーーなんか怒るのも馬鹿馬鹿しくなってきた」
そんな緋色くんの呆れている様子に、私が彼を馬鹿にしていると思われたのだと焦って釈明する。
「ああ、違うから! 私、緋色くんを馬鹿にしたわけじゃないんだよ。 だって本当に皺になっちゃってて申し訳ないと思って、手で伸ばせば直るかな~って。
だからくすぐるつもりは全く無くて、決して悪戯心からじゃなく本当に純粋に直そうとしてただけなんだけど、先に言えばよかったね?」
私は両手を合わせて拝むように謝る仕草をとるも緋色くんは再びため息をついて、私から視線を逸らしたまま首を横に振る。
「はあ………先輩、そこ勘違いだから。別に くすぐったいとかそういう事じゃなくて、そこに至る一連の動作っていうのが理解できないんだけど」
「一連の動作? ええっと、もしかして緋色くんを勝手に盾にした事を怒ってるとか?
あ~そっか、ごめんごめん。でも人身御供にするつもりはなくって、たまたま隣にいたのが緋色くんだったから、とっさの緊急回避で壁にしちゃったけど、でも悪気は無いんだよ。うん、ホント」
「それも違う。はあ………先輩、一応忠告するけど、もう少し警戒心を養った方がいいんじゃない?
しかも、むやみやたらに男に触らないほうがいいよ。先輩にその気が無くても勘違いするヤツが出てくるかもしれないから」
「勘違い?」
そんな緋色くんの言わんとしている事を理解する間もなく、いきなり早智さんが私にガバッと抱きついてくる。
「うふふ、こういう事よ」
「うっひゃあああああ!!」
突然の事に驚いて私が大きな悲鳴を上げると突如、喫茶店内に暁さんが勢いよく飛び込んできた。
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