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第1部
【2】生意気な弟と可愛い弟②
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【2ー②】
「ーー奏。 えっと、その、ごめんね? なんというか康介との喧嘩はいつもの事なんだけれど、それでも庇ってくれたでしょ? ありがとうね」
幾重に醜態を晒した後なので私も何となく伐が悪くなって側にあった枕を必要以上に弄りながら奏に謝ると、そんな奏はニッコリと笑って首を横に振る。
「いえ、お礼なんていらないです。 康介ももう高校生だし、いくら自分のお姉さんだとはいえ、男が女性に手を上げるのは絶対に良くはないですから」
奏は そう言いながら私達姉弟が荒らした周辺を片付けてくれている。 私は そんな奏をぽりぽりと頭を掻きながら見つめる。
ーーああ、なんで、こんなに良い子なのよ。しかも、すごく落ち着いているし大人な対応だし。これが本当に我が弟と同い年かね?? 信じらんね~わ。
「まあ、そうなんだけどさ。でもね? ほら、私って あいつの言う通り正直、どうしようもないズボラ女子だしオタクだし? 自分でも『女』じゃねーな~って事は、一応、自覚はしてるんだよ?
しかも年下のあんた達に自分の部屋を片付けて貰っているなんて、どんだけ しょーもねー年上なんだよってね?
だから奏も呆れてくれても全然いいんだよ? 私みたいな女に気を遣かう必要なんか全く無いんだからね?」
私は気まずい雰囲気を払拭するようにヘラヘラと調子よく笑って見せると、
奏は予想外にも そんな私に呆れるでもなく子供の時から成長した今も、なんら変わる事のない屈託のない笑顔を私に向けてくる。
「大丈夫。俺がお姉さんに呆れるなんて事は絶対に無いです。お姉さんには昔から色々と、お世話になっているので逆に感謝しつくせないくらいです。
それに俺は珠里さんのようなお姉さんがいる康介がすごく羨ましいです。 本当にお姉さんと康介は昔から、すごく仲が良いですよね。
何でも言い合えて正面から喧嘩が出来る姉弟なんて、なんか格好良いです」
その言葉に私は、ぽかんと呆気に取られながらも直ぐに我に返ると、相変わらずヘラヘラとした締まりのない笑顔を奏に向ける。
「は、はははっ、確かにね。喧嘩するほど仲が良いとも言うし、周りからは そう見えるんだ? はは………あはは。
それにしても奏はさ、まだ若いのに出来た人間だよね。 いや~ほんと。 しかも、こんな私の醜態を見ても呆れないとは、う~ん、大人っすな。
私の方が二つも年上なのに、これじゃ、どっちが年上なのか分かんないよーーってね。いや~お姉さん、まいったなぁーーへへへ」
常に落ち着いていて大人な対応の年下の奏を見ていると、来年には就職して大人の仲間入りをする自分だというのに、いつまで経っても子供の域から抜けきれていない、
そんな自分が何だか急に恥ずかしくなってきて、恥の上塗りとは分かっていても、つい 照れ隠しもあり、ふざけているかのような、おどけた態度を取ってしまう。
ーーああ、ほんとに私って情けないよなあ………
思わず持っていた枕で そんな情けない自分の顔を隠すように埋めていると、奏が自分の横に移動してくる気配がした。
「お姉さん。もしよかったら、今日も お姉さんの髪を直させて貰ってもいいですか? 失礼だろうとは思ってはいるんですが、気になってしまってーーすいません」
奏は私のボサボサの頭を見て、申し訳なさそうに声しかし私は その言葉を『待ってました』と言わんばかりにパッと表情を輝かせる。
「え? ほんとに?? やったあ!! 超嬉しい!! ふふっ、実は その言葉、おねーさん、期待してました~
奏ってさ、本当に手先が器用だから、すっごく髪を結うのが上手だよね~ 妹の凛音ちゃんも いっつも可愛い髪型してるしさ。それって奏が結って上げてるんでしょ?
紗菜さん意外にも、そういうの不器用だからな~ 料理の腕は完璧なのにねぇ。
でも いいなぁ~ 手先が器用って。 私なんて女のくせに いまだに自分の髪の毛なんか一本に纏めて結ぶことしか出来ないしさ。 恥ずかしいよ、ほんと」
私は そう言いながらベッドの縁に座ると奏は「お借りします」と鏡台から櫛と整髪料を持ってきて私の隣に立つ。
「人には誰しも得手、不得手がありますから必ずしも、こうだから出来なくてはならないという事は無いと思います。だから、そんなに気にする事は無いですよ。
それに俺の場合は妹の凛音が年頃なので、特に お洒落には敏感になってきて、最近では色々と髪型の注文も細かくて煩いんです。
だから結構、駄目出しもされてて、それで自然に自分も上達しざるを得ないというかーーはぁ………女の子というのは本当に難しいですね」
そんな奏は小さくため息をつきつつも優しげな口調でニコニコと笑いながら、まるでプロの美容師のように私の髪を丁寧に解して綺麗に整えると、それから今度は手慣れた調子で私の髪を上手に編み込んでいく。
こうして奏が我が家に来た時は、いつも決まって私の部屋の片付けを手伝ってくれるのだが、
ここ最近では私がいつも家にいる時はボサボサの頭をしたままなので、それを見かねていたのか奏は部屋の片付けと一緒に私の髪の毛も直してくれるようになった。
最初の内は、いくら子供の頃から知っている間柄とはいえ、男の子に自分の髪を弄らせるというのも一応女としては幾分かの抵抗があったものの、
妹の凛音ちゃんの髪を結う為に私の髪で練習させて欲しいという事でもあったので、まあ、そういう事ならば遠慮はいらないかな?と思い、奏の申し入れを快諾した。
すると奏は意外にも、まるで男の子の手とは思えないほどに髪を弄るのが上手で、そんな奏に髪を結って貰うと驚いた事に雑誌に載っているようなお洒落な髪型になっている。
だから、たまに私の母も休日などで仕事がない時は、奏をわざわざ家に呼び寄せて自分も、ちゃっかり髪を結って貰っている次第だ。
「あはは、凛音ちゃんって結構、手厳しいもんね~ お兄ちゃんも大変だねぇ。
それに比らべて お姉ちゃんは気楽なもんだよ~ 条件こそあるけど、弟なんて いくらでも遠慮なく、こき使えるしさ~ しかもその友達にでさえ、こうやって部屋を片付けて貰ったり、今だって髪まで結って貰っちゃってるもんねぇ。
いや~極楽、極楽。しかもお嬢様気分、半端ねえっす! あはは、やっぱ年下最高だわ!」
ケタケタと笑う私に合わせて、そんな奏も一緒に笑う。
「お気に召して頂けて光栄です。 珠里お嬢様。他に御用がおありでしたら 何なりとお申し付け下さい。 そして、もしお気に召して頂けましたなら是非とも私を珠里お嬢様の髪結いの『専属』にしては頂けないでしょうか?」
そう言って奏は普段の姿からは信じられないほどに、まるで本物の執事を彷彿とさせるような優雅で上品な礼をし、私に恭しく頭を下げる。
「あははは、奏それマジで?? しかも執事役すっごいハマってるよ。 それで執事服着てさ~眼鏡かければ、もう超完璧!! うっわ、想像しただけで興奮しそう。マジでやっべーーわ。
奏くん。頼むから、これ以上、お姉さんの妄想を刺激せんでくれたまえよ。じゃないと今すぐ『向こうの世界』に行っちゃいそう!」
そう言いながらも私の脳内は既に『妄想世界』に半分足を突っ込んでいる。
もし今ここに我が弟がいれば、また私の「悪い病気が出た」と言って確実に奏を私から隔離する事だろう。
「そうだね。俺、お姉さんには“こっちの世界”にいて貰いたいから もう言わない。
だけど、お姉さんの髪を結う『専属』になりたいと言うのは本当だよ。 だから俺が『専属』になってもいい?」
そんな不安げな子犬のような目で小首を傾げて私の返事を待っている奏に私の表情は笑顔のままではあったが、実のところ頭の中では、まさに富士山が大噴火を起こしていた。
ーーううっ、ヤバいって! ほんっとマジでヤバイ!! 奏がすっげーー可愛い!!
外見は大人なんだけれど、そんなんじゃなくて、柴犬の子犬? ーーいや、今、話題の子パンダに匹敵するかもしれない。とにもかくにも可愛い!!
「専属になってもいい?」だと!? しかも そんな健気な可愛い表情で小首を傾げるたあ、こぉら! 奏!! どこで そんな小技を習得してきた!? あんた、年上のお姉さん達からマジで襲われんぞ??
………ああ、駄目だ。奏は私の可愛い弟。 おねーさんは、すっご~く君が心配だ!! だから後で康介に言って、奏の身の回りには十分注意するよう本人に促して貰おう。
「………お姉さん?」
私が心の中でそんな事を叫んでいる事など勿論、知る由もない奏は、私が笑顔を貼り付けたまま、ずっと無言でいるので不安げに声を掛けてくる。
その声に私はハッと我に返ると、そんな私を見つめる奏に慌てて答える。
「ああ、ゴメン。ちょっとトリップしてた。うん、いいよ? 奏が嫌じゃないのなら是非ともお願いしようかな? でも、ほんとにいいの? 迷惑じゃない??」
すると奏はそんな私の返事に安心したのか、心底ホッとした表情で晴れやかに微笑む。
「迷惑だなんて、こちらからお願いしているのに、そんな事あるわけがないよ。ありがとう、お姉さん。俺、すごく嬉しい」
そんな嬉しそうな奏の満面の笑顔を容赦なく向けられている私はーーー
どこまでも可愛すぎる奏に私の理性が吹っ飛んで、今にも力一杯奏に抱きついて目茶苦茶に、こねくり回したくなる衝動を必死で抑制しながら心の中で叫んでいた。
ーーもう一人の生意気な弟の名前を。
こおぉぉすけぇぇぇーーー!!
【2ー続】
「ーー奏。 えっと、その、ごめんね? なんというか康介との喧嘩はいつもの事なんだけれど、それでも庇ってくれたでしょ? ありがとうね」
幾重に醜態を晒した後なので私も何となく伐が悪くなって側にあった枕を必要以上に弄りながら奏に謝ると、そんな奏はニッコリと笑って首を横に振る。
「いえ、お礼なんていらないです。 康介ももう高校生だし、いくら自分のお姉さんだとはいえ、男が女性に手を上げるのは絶対に良くはないですから」
奏は そう言いながら私達姉弟が荒らした周辺を片付けてくれている。 私は そんな奏をぽりぽりと頭を掻きながら見つめる。
ーーああ、なんで、こんなに良い子なのよ。しかも、すごく落ち着いているし大人な対応だし。これが本当に我が弟と同い年かね?? 信じらんね~わ。
「まあ、そうなんだけどさ。でもね? ほら、私って あいつの言う通り正直、どうしようもないズボラ女子だしオタクだし? 自分でも『女』じゃねーな~って事は、一応、自覚はしてるんだよ?
しかも年下のあんた達に自分の部屋を片付けて貰っているなんて、どんだけ しょーもねー年上なんだよってね?
だから奏も呆れてくれても全然いいんだよ? 私みたいな女に気を遣かう必要なんか全く無いんだからね?」
私は気まずい雰囲気を払拭するようにヘラヘラと調子よく笑って見せると、
奏は予想外にも そんな私に呆れるでもなく子供の時から成長した今も、なんら変わる事のない屈託のない笑顔を私に向けてくる。
「大丈夫。俺がお姉さんに呆れるなんて事は絶対に無いです。お姉さんには昔から色々と、お世話になっているので逆に感謝しつくせないくらいです。
それに俺は珠里さんのようなお姉さんがいる康介がすごく羨ましいです。 本当にお姉さんと康介は昔から、すごく仲が良いですよね。
何でも言い合えて正面から喧嘩が出来る姉弟なんて、なんか格好良いです」
その言葉に私は、ぽかんと呆気に取られながらも直ぐに我に返ると、相変わらずヘラヘラとした締まりのない笑顔を奏に向ける。
「は、はははっ、確かにね。喧嘩するほど仲が良いとも言うし、周りからは そう見えるんだ? はは………あはは。
それにしても奏はさ、まだ若いのに出来た人間だよね。 いや~ほんと。 しかも、こんな私の醜態を見ても呆れないとは、う~ん、大人っすな。
私の方が二つも年上なのに、これじゃ、どっちが年上なのか分かんないよーーってね。いや~お姉さん、まいったなぁーーへへへ」
常に落ち着いていて大人な対応の年下の奏を見ていると、来年には就職して大人の仲間入りをする自分だというのに、いつまで経っても子供の域から抜けきれていない、
そんな自分が何だか急に恥ずかしくなってきて、恥の上塗りとは分かっていても、つい 照れ隠しもあり、ふざけているかのような、おどけた態度を取ってしまう。
ーーああ、ほんとに私って情けないよなあ………
思わず持っていた枕で そんな情けない自分の顔を隠すように埋めていると、奏が自分の横に移動してくる気配がした。
「お姉さん。もしよかったら、今日も お姉さんの髪を直させて貰ってもいいですか? 失礼だろうとは思ってはいるんですが、気になってしまってーーすいません」
奏は私のボサボサの頭を見て、申し訳なさそうに声しかし私は その言葉を『待ってました』と言わんばかりにパッと表情を輝かせる。
「え? ほんとに?? やったあ!! 超嬉しい!! ふふっ、実は その言葉、おねーさん、期待してました~
奏ってさ、本当に手先が器用だから、すっごく髪を結うのが上手だよね~ 妹の凛音ちゃんも いっつも可愛い髪型してるしさ。それって奏が結って上げてるんでしょ?
紗菜さん意外にも、そういうの不器用だからな~ 料理の腕は完璧なのにねぇ。
でも いいなぁ~ 手先が器用って。 私なんて女のくせに いまだに自分の髪の毛なんか一本に纏めて結ぶことしか出来ないしさ。 恥ずかしいよ、ほんと」
私は そう言いながらベッドの縁に座ると奏は「お借りします」と鏡台から櫛と整髪料を持ってきて私の隣に立つ。
「人には誰しも得手、不得手がありますから必ずしも、こうだから出来なくてはならないという事は無いと思います。だから、そんなに気にする事は無いですよ。
それに俺の場合は妹の凛音が年頃なので、特に お洒落には敏感になってきて、最近では色々と髪型の注文も細かくて煩いんです。
だから結構、駄目出しもされてて、それで自然に自分も上達しざるを得ないというかーーはぁ………女の子というのは本当に難しいですね」
そんな奏は小さくため息をつきつつも優しげな口調でニコニコと笑いながら、まるでプロの美容師のように私の髪を丁寧に解して綺麗に整えると、それから今度は手慣れた調子で私の髪を上手に編み込んでいく。
こうして奏が我が家に来た時は、いつも決まって私の部屋の片付けを手伝ってくれるのだが、
ここ最近では私がいつも家にいる時はボサボサの頭をしたままなので、それを見かねていたのか奏は部屋の片付けと一緒に私の髪の毛も直してくれるようになった。
最初の内は、いくら子供の頃から知っている間柄とはいえ、男の子に自分の髪を弄らせるというのも一応女としては幾分かの抵抗があったものの、
妹の凛音ちゃんの髪を結う為に私の髪で練習させて欲しいという事でもあったので、まあ、そういう事ならば遠慮はいらないかな?と思い、奏の申し入れを快諾した。
すると奏は意外にも、まるで男の子の手とは思えないほどに髪を弄るのが上手で、そんな奏に髪を結って貰うと驚いた事に雑誌に載っているようなお洒落な髪型になっている。
だから、たまに私の母も休日などで仕事がない時は、奏をわざわざ家に呼び寄せて自分も、ちゃっかり髪を結って貰っている次第だ。
「あはは、凛音ちゃんって結構、手厳しいもんね~ お兄ちゃんも大変だねぇ。
それに比らべて お姉ちゃんは気楽なもんだよ~ 条件こそあるけど、弟なんて いくらでも遠慮なく、こき使えるしさ~ しかもその友達にでさえ、こうやって部屋を片付けて貰ったり、今だって髪まで結って貰っちゃってるもんねぇ。
いや~極楽、極楽。しかもお嬢様気分、半端ねえっす! あはは、やっぱ年下最高だわ!」
ケタケタと笑う私に合わせて、そんな奏も一緒に笑う。
「お気に召して頂けて光栄です。 珠里お嬢様。他に御用がおありでしたら 何なりとお申し付け下さい。 そして、もしお気に召して頂けましたなら是非とも私を珠里お嬢様の髪結いの『専属』にしては頂けないでしょうか?」
そう言って奏は普段の姿からは信じられないほどに、まるで本物の執事を彷彿とさせるような優雅で上品な礼をし、私に恭しく頭を下げる。
「あははは、奏それマジで?? しかも執事役すっごいハマってるよ。 それで執事服着てさ~眼鏡かければ、もう超完璧!! うっわ、想像しただけで興奮しそう。マジでやっべーーわ。
奏くん。頼むから、これ以上、お姉さんの妄想を刺激せんでくれたまえよ。じゃないと今すぐ『向こうの世界』に行っちゃいそう!」
そう言いながらも私の脳内は既に『妄想世界』に半分足を突っ込んでいる。
もし今ここに我が弟がいれば、また私の「悪い病気が出た」と言って確実に奏を私から隔離する事だろう。
「そうだね。俺、お姉さんには“こっちの世界”にいて貰いたいから もう言わない。
だけど、お姉さんの髪を結う『専属』になりたいと言うのは本当だよ。 だから俺が『専属』になってもいい?」
そんな不安げな子犬のような目で小首を傾げて私の返事を待っている奏に私の表情は笑顔のままではあったが、実のところ頭の中では、まさに富士山が大噴火を起こしていた。
ーーううっ、ヤバいって! ほんっとマジでヤバイ!! 奏がすっげーー可愛い!!
外見は大人なんだけれど、そんなんじゃなくて、柴犬の子犬? ーーいや、今、話題の子パンダに匹敵するかもしれない。とにもかくにも可愛い!!
「専属になってもいい?」だと!? しかも そんな健気な可愛い表情で小首を傾げるたあ、こぉら! 奏!! どこで そんな小技を習得してきた!? あんた、年上のお姉さん達からマジで襲われんぞ??
………ああ、駄目だ。奏は私の可愛い弟。 おねーさんは、すっご~く君が心配だ!! だから後で康介に言って、奏の身の回りには十分注意するよう本人に促して貰おう。
「………お姉さん?」
私が心の中でそんな事を叫んでいる事など勿論、知る由もない奏は、私が笑顔を貼り付けたまま、ずっと無言でいるので不安げに声を掛けてくる。
その声に私はハッと我に返ると、そんな私を見つめる奏に慌てて答える。
「ああ、ゴメン。ちょっとトリップしてた。うん、いいよ? 奏が嫌じゃないのなら是非ともお願いしようかな? でも、ほんとにいいの? 迷惑じゃない??」
すると奏はそんな私の返事に安心したのか、心底ホッとした表情で晴れやかに微笑む。
「迷惑だなんて、こちらからお願いしているのに、そんな事あるわけがないよ。ありがとう、お姉さん。俺、すごく嬉しい」
そんな嬉しそうな奏の満面の笑顔を容赦なく向けられている私はーーー
どこまでも可愛すぎる奏に私の理性が吹っ飛んで、今にも力一杯奏に抱きついて目茶苦茶に、こねくり回したくなる衝動を必死で抑制しながら心の中で叫んでいた。
ーーもう一人の生意気な弟の名前を。
こおぉぉすけぇぇぇーーー!!
【2ー続】
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