23 / 26
第二章【神社の神様?白トカゲVS黒トカゲ】
【10ー②】誘惑
しおりを挟む
【10ー②】
****
天気予報通り、夕方から降ってきた雨が、初めの内は小ぶりなものが徐々に強い降りになってきた。
私は仕事を定時の少し過ぎまで残って片付け、このくらいの雨ならとスポーツジムに足を運んでいた。
こんな天気のせいか、ジムは意外にも空いていて、初回で若干緊張しつつ出向いた私は受付のお姉さんの親切丁寧な対応を受け、早速、初心者向けのエアロバイクを漕いでいる。
普段、移動する際は車を使うので歩くことをあまりしないせいか、こういう所で運動不足が顕著に証明されて、初心者向けの運動であっても結構、足腰にきて額や首筋から汗がじんわりと滲んでくる。
(う~ん。普段の運動不足をスッゴく実感するわ~ でも これで今日は ぐっすり快眠できるかも。
しかもダイエット効果も期待出来て美味しいところ満載だし、スタッフの対応も良いから、これを機に私もジムに通ってみようかな)
ぼんやりとそんな事を考えていると、外からゴロゴロと雷鳴が聞こえ、急に激しい雨のアスファルトを打ち付ける音が建物内に響いた。
「うわっ!降ってきたか~」と他のお客さんから声が上がる。
そんな私も窓を見つつ大きな雨音を聞いて、これ以上酷くなっても困るので、まだ来たばかりではあったが早々に帰ることにした。
実質15分くらいの運動量だったけど、それでも結構、体は疲れているので結果はオーライとしよう。
帰り際、借りていた運動用の服を受付で返すと、受付のお姉さんから、またご利用下さいと、五回分の半額回数券を頂いた。
さすがは商売上手といったところか。こうやって顧客を増やしているんだろうなと感心してしまう。
帰宅途中の車の中で、フロントガラスの忙しなく動くワイパーを見つめながら、なんとなくまだ家に帰りたくない気分がモヤモヤと湧き起こる。
家では『黒』が待っているのに、だから早く帰らなきゃいけないのに。
なのに、その『黒』のことを考えると、帰宅しようとする足がどうしても遅くなってしまう。
ここ最近は自分の調子が本当に変だ。体調のバランスが崩れているのもそうだが、『黒』に対しての自分の中の何かが変わってきている。
しかも、その何かは私を常に不安にさせた。私の何かが『黒』を側に置いてはいけないと訴えているような気さえする。
ーーそして思い立つかのように、こんな悪天候にもかかわらず、家とは反対方向にある大型スーパーへ行く先を変更する。
(……そういえば、お弁当用の冷食残り少なかったから、そろそろ補充しないと。それに『黒』のご飯も出来るだけ新鮮なものを食べさせたいし。
それと天候の悪い日は お惣菜とかの割引シールが早く貼られるから、今から行けば半額になってるかもしれない)
そんな自分の行動に理由をつけて、帰宅の足をまた遅らせてしまう。
(……まだ、帰りたくない)
自分の中の囁きを理性で覆い隠すかのように。
****
その夜ーー就寝時は雷雨でバケツをひっくり返したような雨が降りだした。
正直、明日の天気が心配だ。明日も朝からこんな大雨だったらと思うと、一層憂ウツさが増す。
明日はまだ金曜日。なので、どんなに天候が悪かろうが会社に出勤しなければならない。
「あ~あ。なんで、こんな大雨なのに、明日が金曜日なんだろ。これが土曜日なら会社も休みで、大雨だろうと何の問題もないのに。
天気も一日くらい待ってくれたっていいじゃない! それでなくても明日は銀行回りの日なのに。もうっ!最悪」
窓の外の様子を窺いながら、ブツブツと不満を漏らす。そんな天気に文句をつけたところで無意味なのは分かってはいても、やはり文句は言いたくなるものだ。
「はあぁ~お願いだから明日は雨止んでてよね」
しかめっ面で ぽそりと呟きながら窓から離れると、ベッドに横たわる。外は雷雨の音が煩く折角ジムで運動したのに、とても眠れる気がしない。
まあ、ジムの半額券を貰っているから、また行けばいいか。と思いながら、なにげに『黒』のいるダンボールを見つめる。
今日の『黒』は少し大人しい感じだった。帰宅してから ご飯を入れ替えようと覗くと、『黒』はこちらをチラッと見ただけでクルリと体を反転してソッポを向いてしまった。
あ、もしかして帰宅が遅かったから怒ってるのかな?とか、そもそも爬虫類にそんな感情があるのかは分からないが、少なくとも この『黒』にはそれがあった。
私はゴメンゴメン、と謝りながら「今日は美味しいドライフルーツを買ってきたから、機嫌なおして?」と大型スーパーで購入してきたドライフルーツのマンゴーを『黒』の前に差し出す。
トカゲを飼育するにあたり、餌の問題で、やはり虫系は自分には かなり抵抗があったので、なんとか それに替わるものをと色々試してみたところ、
『黒』はドライフルーツを大変お気に召したらしく、好んで食べるようになった。
勿論、輸入物は添加物とかが心配なので、少しお高いけれど国産の無添加物を買うようにしている。
私も食したが、これが結構、美味しい。なので最近は私の晩酌のアテとしてチョコの他にドライフルーツも並ぶようになった。
『黒』は私が差し出したドライフルーツを微動だにせず、ジッと見つめている。
いつもならマンゴーは大好きなので直ぐにパクつくはずなのだが、口をつけないところを見ると、やはり機嫌を損ねてイジケているようだ。
仕方ないので餌皿の方に置いておこうとした次の瞬間、私のマンゴーを持っていた指ごとパクリと咥えられてしまった。
「ひゃあっ!?」
突然の事に驚いている私のことなどお構いなしに『黒』は更にマンゴーを摘まんだままの私の指まで、その細い舌先でチロチロと舐め始めた。
ーードクンッ
その時、自分の中で何かが大きく脈打った。体の奥底から何かが湧き上がってくる感覚が全身に広がっていく。
その間も『黒』は私の指を咥えたままチロチロと舐め続けている。
「だ…だめ……っつ」
なんて事はない、ただ指を引けば済む事なのに、どういうわけか まるで腕が動かない。
それどころか舐められている指がくすぐったいだけではなく、時折 指先に巻き付くザラついた舌の湿り気に おかしな身震いが立ってきた。
は、早く指を抜かなきゃ!
頭ではそう思っているのに、体は固まったまま動かない。まるで金縛りにでもあっているかのように、意識はあるのに体が全くいうことをきかない。
そうこうしている内に、舐められ続ける指先の刺激で次第に私の体の奥がゾクゾクと震え出し、なんだか妙な気分が湧き起こってきた。
(な…なにこれ? か、体が…へ、変に……)
そして自然に下半身がムズムズとしはじめ、理性とは裏腹に性的な気分が体全体を快楽へ誘うように上書きしようとしている。
「……く、『黒』……お、願いだから、もっ、やめ……て」
このままでいくと、どんどん頭がおかしくなりそうで、唯一、体の中で動く口を開いて、『黒』に止めさせようと懇願すれば、何を思ったのか『黒』は更に私の指を強く口で食んだ。
「あぁんっ…っ!!」
瞬間、自分でも信じられない声が出た。まさか自分の口からこんな耳を塞ぎたくなるような卑猥な声が出てくるなんてと信じられずに愕然とする。
そして追い討ちをかけるように羞恥心が襲ってくる。
「や、やだっ! もっ、もう……ほん、とに…やっ……は、はなし…てっ…て、んんっ!」
そんな『黒』は、ますます強く私の指を食んだまま、咀嚼するかのように口を動すので、それがムズ痒い刺激になって、なおさら私の性感を煽るように揺り動かす。
先ほどから疼いている下半身の何かを欲している感覚がすごく気持ち悪い。
(うっ、何これ……、頭が…おかしくなりそう……)
すると、ぼんやりとした頭の中で突然 男の声が聞こえた。
『ーー抗うな。そのまま快楽に身を委ねろ』
(は?? そんなの、出来るわけ…な、い……)
『ーー抗えば抗うほど辛くなるぞ? 何も考えず、体の感じるままに快楽を貪れ。己の欲望に素直になるのだ』
(よ、欲望!? な、なに、言ってるの? そんなの、あるわけないでしょ!!)
『フッ、そうか。……だが体はそうは言ってはいないぞ?』
「え?……あっ、ああっつ! いやっ、いっ、あぁっ…っつ」
嘲笑するような声の後に、体全体を巻き付くように生温い感触が包み、冷たい鱗のようなものが私の体中の性感を撫で擦るように刺激したせいで、
頭の天辺から稲妻が突き抜けたみたいな痺れが走って、もはや視界もおぼつかず頭の中が真っ白になる。
そして頭の中で また男の声が聞こえる。
『ーーククッ、この程度で達するとは敏感なことだ。何をそんなに抵抗することがある。
本来 女は優秀な子種を本能で求める生き物だ。 そして そなたの腹の中の子袋は男の精を求めている。
だから くだらぬ理性など捨て、そなたの全てを我に委ねよ。さすれば極上の快楽を我が与えてやろう』
そんな他人の頭の中で、好き勝手に時代錯誤なセクハラ発言をする男に心底、嫌悪感が増していく。
はあ? コイツ誰よ! しかもメスってなに? 女をなんだと思ってるのよ!!
と、なんとか意識に留めている理性が怒りに叫ぶも、体の方はそんな理性の声とは真逆に男の言葉に反応するかのように、ますます下半身が疼いてしまうのは、どうしたって認めたくない。
(いや…いやだ。なんで私が…こんなの、絶対に認めないからっ!)
あくまで強固に拒絶すると、声の主は呆れたように嘲笑する。
『ーーふん、なんと強情な女だ。……あ奴が選ぶだけはあるか。しかしその強がりもどこまで続くか見物だな。
本能に抵抗すればするほど、逆に苦しむことになるぞ? それこそ、そなたの気が狂ってしまうほどにな』
あまりの男の身勝手な上から発言に私の理性がブチッと切れる音がした。
(はあぁ!? さっきらから偉そうに何言ってんの! あんた何様のつもり!? っていうか、このセクハラ変態男! 誰があんたなんかにっ! 私にだって、男選ぶ権利くらいあるわ!!
だから、あんたみたいな女を見下すクズ男なんか間違っても絶対に選ばない! せいぜい他をあたりなさいな。そして二度と出て来んな!!)
そんな男の横暴な態度への嫌悪感が体の快楽などよりも怒りの感情の方が断然勝って、頭の中の理性が遠慮なく男を罵った。次の瞬間ーー
「うっ!? ぅぐぅぅぅっつ!!」
先ほどから私の体に巻き付いていた感触が突如、全身を強く締め上げてくる。ギリギリと体中の骨が軋むほどの激痛を伴う締め付けに苦しくて息が出来ない。喉から発するのは言葉にならない苦しい唸り声だけが零れた。
(ーーい…、痛いっ…つ! ……く、苦しっ……息が…出来な……いっ……か、体が、バラバラになっちゃ…ぅっ……)
『……どうやら、そなたには躾が必要なようだな。その様子からして、そなたは快楽よりも苦痛の方が好みのようだ。ならば その希望にに応えてやろう。思う存分苦しみ善がるがいい』
「あああっつ!!」
体全体が握り潰されそうな殺意を含んだ強い締め付けに、骨の軋む音が耳に直接聞こえ激痛が更に襲ってくる。
恐らく細い骨などは粉々に砕けてしまったのだろう。こんな命の危機とする激痛は今まで経験したことがない。
しかも男の声は嘲笑どころか、恐ろしく感情の全くこもらない冷然とした低い声で淡々と言い放つ。
私の言葉がよほど男の癪に障ったらしい。容赦ない激痛を伴う締め付けに、口の中から鉄のような味がした。
骨が砕けるくらいなのだから当然、内臓も無事ではないはずだ。もはや体全体を激痛が支配し、生理的な涙が溢れ出てくる。
……私、死んじゃうのかな。
だんだんと意識が朦朧とし、そして初めて“死”を身近に感じていた。
突然現れた、こんなわけの分からない鬼畜男に理不尽に殺されるのかと思うと、悔しくて情けなくて更に涙が出る。
せめて人生の最後くらいはベッドの上で安らかに逝きたかったのに………
平凡な人生を慎ましく生きていただけの私がこんな惨い殺され方をするなんて、それを見捨てる神様はあまりに残酷だと思った。
それでも、人間は苦しい時には何かに縋りたい生き物なのだろう。そんな私もここにきてまで神様を恨みつつも、やはり虚しくも縋ってしまう。
(ーー神様っ……助けて!!)
その時、何故か あの『白トカゲ』の姿が鮮明に脳裏をよぎった。途端ーー
ドドッガガガーーーン。
どこからともなく、突然白い閃光が一筋の落雷のように目の前に落ちてきて、空間全体を飲み込むように大爆発した。
そして、どこまでも真っ白な空間が広がったかと思うと、同時に私の体を締め付けていた感覚も激痛すらも瞬く間に消え去り、
その解放感に意識が薄れてゆく中、脱力する私の体をすっぽりと抱きかかえる何かがそこに居た。
『ーーようやく繋いだか。だいたい遅すぎるのだ! こんな事になる前に、もっと早くに我を喚ばぬか! このうつけ者め!』
……あ、なんか、私、めちゃくちゃ怒られてる……? え…っと、もしかして、神様な…の?……あぁ、なんか、あったか……い………
私を怒っているその声は耳に心地良く、先ほどまで激痛に苦しんでいた体を癒すように安心感が全身を暖かく包む。
私はその心地良さに身を任せながら
「……ああ、神様。私の最後の願いを叶えて下さったんですね。さすがにベッドの上ってわけじゃないけど、でも安らかには逝けそうです。
さっきは恨んだりなんかして、ごめんなさい。本当は尊敬しています。ありがとう……」
と、安らかに微笑みながら、今はの際の言葉を告げた。
『ん? なにを言っているのだ? おい!?』
目蓋が閉じる瞬間、白金の長い髪と金色の目をした、光輝いている絶世の美人なお兄さんの顔を見たーーような気がした。
****
………ザーザー、と激しく雨が打ち付ける音がする。
ハッと目が覚めると、ベッドの上に突っ伏したまま うたた寝をしていたようだ。
どうやら帰宅して『黒』に ご飯をあげた後、ベッドをテーブル代わりにスマホを見ていて、そのまま軽く眠ってしまったみたいだ。
雨の様子を見に窓側に移動する。まるでバケツをひっくり返したような雨を見て気分は憂ウツになる。
明日はまだ金曜日なのに、どうして今日が土曜日じゃないのかと。天気に向かって、もう一日待ってくれたっていいじゃない、と言ったところで無意味な不満が口をついた。
「はあぁ~お願いだから明日は雨止んでてよね」
しかめっ面でぽそりと呟きながら窓から離れ、ベッドに横たわる。外は雷雨の音が煩く、折角ジムで運動したのに、とても眠れる気がしない。
まあ、ジムの半額券を貰っているから、また行けばいいか。と思いながら、なにげに『黒』のいるダンボールを見つめた。
ーーゴロゴロと遠くで雷がまだ鳴っている。ちらっとスマホで時間を確認すると、夜中の23時を少し過ぎていた。
少しでも雷雨の音が聞こえないようにイヤホンで耳を塞ぎ、毛布に頭が隠れるまで潜り込む。
ーー『黒』のこと、このままじゃいけないよな………と、考えつつも、かといって何の解決策も未だ見いだせない自分を情けなく思いながら、
無意識にも心の中で『神様、どうしたらいいの?』と呟く自分の声が聞こえた。
【10ー終】
****
天気予報通り、夕方から降ってきた雨が、初めの内は小ぶりなものが徐々に強い降りになってきた。
私は仕事を定時の少し過ぎまで残って片付け、このくらいの雨ならとスポーツジムに足を運んでいた。
こんな天気のせいか、ジムは意外にも空いていて、初回で若干緊張しつつ出向いた私は受付のお姉さんの親切丁寧な対応を受け、早速、初心者向けのエアロバイクを漕いでいる。
普段、移動する際は車を使うので歩くことをあまりしないせいか、こういう所で運動不足が顕著に証明されて、初心者向けの運動であっても結構、足腰にきて額や首筋から汗がじんわりと滲んでくる。
(う~ん。普段の運動不足をスッゴく実感するわ~ でも これで今日は ぐっすり快眠できるかも。
しかもダイエット効果も期待出来て美味しいところ満載だし、スタッフの対応も良いから、これを機に私もジムに通ってみようかな)
ぼんやりとそんな事を考えていると、外からゴロゴロと雷鳴が聞こえ、急に激しい雨のアスファルトを打ち付ける音が建物内に響いた。
「うわっ!降ってきたか~」と他のお客さんから声が上がる。
そんな私も窓を見つつ大きな雨音を聞いて、これ以上酷くなっても困るので、まだ来たばかりではあったが早々に帰ることにした。
実質15分くらいの運動量だったけど、それでも結構、体は疲れているので結果はオーライとしよう。
帰り際、借りていた運動用の服を受付で返すと、受付のお姉さんから、またご利用下さいと、五回分の半額回数券を頂いた。
さすがは商売上手といったところか。こうやって顧客を増やしているんだろうなと感心してしまう。
帰宅途中の車の中で、フロントガラスの忙しなく動くワイパーを見つめながら、なんとなくまだ家に帰りたくない気分がモヤモヤと湧き起こる。
家では『黒』が待っているのに、だから早く帰らなきゃいけないのに。
なのに、その『黒』のことを考えると、帰宅しようとする足がどうしても遅くなってしまう。
ここ最近は自分の調子が本当に変だ。体調のバランスが崩れているのもそうだが、『黒』に対しての自分の中の何かが変わってきている。
しかも、その何かは私を常に不安にさせた。私の何かが『黒』を側に置いてはいけないと訴えているような気さえする。
ーーそして思い立つかのように、こんな悪天候にもかかわらず、家とは反対方向にある大型スーパーへ行く先を変更する。
(……そういえば、お弁当用の冷食残り少なかったから、そろそろ補充しないと。それに『黒』のご飯も出来るだけ新鮮なものを食べさせたいし。
それと天候の悪い日は お惣菜とかの割引シールが早く貼られるから、今から行けば半額になってるかもしれない)
そんな自分の行動に理由をつけて、帰宅の足をまた遅らせてしまう。
(……まだ、帰りたくない)
自分の中の囁きを理性で覆い隠すかのように。
****
その夜ーー就寝時は雷雨でバケツをひっくり返したような雨が降りだした。
正直、明日の天気が心配だ。明日も朝からこんな大雨だったらと思うと、一層憂ウツさが増す。
明日はまだ金曜日。なので、どんなに天候が悪かろうが会社に出勤しなければならない。
「あ~あ。なんで、こんな大雨なのに、明日が金曜日なんだろ。これが土曜日なら会社も休みで、大雨だろうと何の問題もないのに。
天気も一日くらい待ってくれたっていいじゃない! それでなくても明日は銀行回りの日なのに。もうっ!最悪」
窓の外の様子を窺いながら、ブツブツと不満を漏らす。そんな天気に文句をつけたところで無意味なのは分かってはいても、やはり文句は言いたくなるものだ。
「はあぁ~お願いだから明日は雨止んでてよね」
しかめっ面で ぽそりと呟きながら窓から離れると、ベッドに横たわる。外は雷雨の音が煩く折角ジムで運動したのに、とても眠れる気がしない。
まあ、ジムの半額券を貰っているから、また行けばいいか。と思いながら、なにげに『黒』のいるダンボールを見つめる。
今日の『黒』は少し大人しい感じだった。帰宅してから ご飯を入れ替えようと覗くと、『黒』はこちらをチラッと見ただけでクルリと体を反転してソッポを向いてしまった。
あ、もしかして帰宅が遅かったから怒ってるのかな?とか、そもそも爬虫類にそんな感情があるのかは分からないが、少なくとも この『黒』にはそれがあった。
私はゴメンゴメン、と謝りながら「今日は美味しいドライフルーツを買ってきたから、機嫌なおして?」と大型スーパーで購入してきたドライフルーツのマンゴーを『黒』の前に差し出す。
トカゲを飼育するにあたり、餌の問題で、やはり虫系は自分には かなり抵抗があったので、なんとか それに替わるものをと色々試してみたところ、
『黒』はドライフルーツを大変お気に召したらしく、好んで食べるようになった。
勿論、輸入物は添加物とかが心配なので、少しお高いけれど国産の無添加物を買うようにしている。
私も食したが、これが結構、美味しい。なので最近は私の晩酌のアテとしてチョコの他にドライフルーツも並ぶようになった。
『黒』は私が差し出したドライフルーツを微動だにせず、ジッと見つめている。
いつもならマンゴーは大好きなので直ぐにパクつくはずなのだが、口をつけないところを見ると、やはり機嫌を損ねてイジケているようだ。
仕方ないので餌皿の方に置いておこうとした次の瞬間、私のマンゴーを持っていた指ごとパクリと咥えられてしまった。
「ひゃあっ!?」
突然の事に驚いている私のことなどお構いなしに『黒』は更にマンゴーを摘まんだままの私の指まで、その細い舌先でチロチロと舐め始めた。
ーードクンッ
その時、自分の中で何かが大きく脈打った。体の奥底から何かが湧き上がってくる感覚が全身に広がっていく。
その間も『黒』は私の指を咥えたままチロチロと舐め続けている。
「だ…だめ……っつ」
なんて事はない、ただ指を引けば済む事なのに、どういうわけか まるで腕が動かない。
それどころか舐められている指がくすぐったいだけではなく、時折 指先に巻き付くザラついた舌の湿り気に おかしな身震いが立ってきた。
は、早く指を抜かなきゃ!
頭ではそう思っているのに、体は固まったまま動かない。まるで金縛りにでもあっているかのように、意識はあるのに体が全くいうことをきかない。
そうこうしている内に、舐められ続ける指先の刺激で次第に私の体の奥がゾクゾクと震え出し、なんだか妙な気分が湧き起こってきた。
(な…なにこれ? か、体が…へ、変に……)
そして自然に下半身がムズムズとしはじめ、理性とは裏腹に性的な気分が体全体を快楽へ誘うように上書きしようとしている。
「……く、『黒』……お、願いだから、もっ、やめ……て」
このままでいくと、どんどん頭がおかしくなりそうで、唯一、体の中で動く口を開いて、『黒』に止めさせようと懇願すれば、何を思ったのか『黒』は更に私の指を強く口で食んだ。
「あぁんっ…っ!!」
瞬間、自分でも信じられない声が出た。まさか自分の口からこんな耳を塞ぎたくなるような卑猥な声が出てくるなんてと信じられずに愕然とする。
そして追い討ちをかけるように羞恥心が襲ってくる。
「や、やだっ! もっ、もう……ほん、とに…やっ……は、はなし…てっ…て、んんっ!」
そんな『黒』は、ますます強く私の指を食んだまま、咀嚼するかのように口を動すので、それがムズ痒い刺激になって、なおさら私の性感を煽るように揺り動かす。
先ほどから疼いている下半身の何かを欲している感覚がすごく気持ち悪い。
(うっ、何これ……、頭が…おかしくなりそう……)
すると、ぼんやりとした頭の中で突然 男の声が聞こえた。
『ーー抗うな。そのまま快楽に身を委ねろ』
(は?? そんなの、出来るわけ…な、い……)
『ーー抗えば抗うほど辛くなるぞ? 何も考えず、体の感じるままに快楽を貪れ。己の欲望に素直になるのだ』
(よ、欲望!? な、なに、言ってるの? そんなの、あるわけないでしょ!!)
『フッ、そうか。……だが体はそうは言ってはいないぞ?』
「え?……あっ、ああっつ! いやっ、いっ、あぁっ…っつ」
嘲笑するような声の後に、体全体を巻き付くように生温い感触が包み、冷たい鱗のようなものが私の体中の性感を撫で擦るように刺激したせいで、
頭の天辺から稲妻が突き抜けたみたいな痺れが走って、もはや視界もおぼつかず頭の中が真っ白になる。
そして頭の中で また男の声が聞こえる。
『ーーククッ、この程度で達するとは敏感なことだ。何をそんなに抵抗することがある。
本来 女は優秀な子種を本能で求める生き物だ。 そして そなたの腹の中の子袋は男の精を求めている。
だから くだらぬ理性など捨て、そなたの全てを我に委ねよ。さすれば極上の快楽を我が与えてやろう』
そんな他人の頭の中で、好き勝手に時代錯誤なセクハラ発言をする男に心底、嫌悪感が増していく。
はあ? コイツ誰よ! しかもメスってなに? 女をなんだと思ってるのよ!!
と、なんとか意識に留めている理性が怒りに叫ぶも、体の方はそんな理性の声とは真逆に男の言葉に反応するかのように、ますます下半身が疼いてしまうのは、どうしたって認めたくない。
(いや…いやだ。なんで私が…こんなの、絶対に認めないからっ!)
あくまで強固に拒絶すると、声の主は呆れたように嘲笑する。
『ーーふん、なんと強情な女だ。……あ奴が選ぶだけはあるか。しかしその強がりもどこまで続くか見物だな。
本能に抵抗すればするほど、逆に苦しむことになるぞ? それこそ、そなたの気が狂ってしまうほどにな』
あまりの男の身勝手な上から発言に私の理性がブチッと切れる音がした。
(はあぁ!? さっきらから偉そうに何言ってんの! あんた何様のつもり!? っていうか、このセクハラ変態男! 誰があんたなんかにっ! 私にだって、男選ぶ権利くらいあるわ!!
だから、あんたみたいな女を見下すクズ男なんか間違っても絶対に選ばない! せいぜい他をあたりなさいな。そして二度と出て来んな!!)
そんな男の横暴な態度への嫌悪感が体の快楽などよりも怒りの感情の方が断然勝って、頭の中の理性が遠慮なく男を罵った。次の瞬間ーー
「うっ!? ぅぐぅぅぅっつ!!」
先ほどから私の体に巻き付いていた感触が突如、全身を強く締め上げてくる。ギリギリと体中の骨が軋むほどの激痛を伴う締め付けに苦しくて息が出来ない。喉から発するのは言葉にならない苦しい唸り声だけが零れた。
(ーーい…、痛いっ…つ! ……く、苦しっ……息が…出来な……いっ……か、体が、バラバラになっちゃ…ぅっ……)
『……どうやら、そなたには躾が必要なようだな。その様子からして、そなたは快楽よりも苦痛の方が好みのようだ。ならば その希望にに応えてやろう。思う存分苦しみ善がるがいい』
「あああっつ!!」
体全体が握り潰されそうな殺意を含んだ強い締め付けに、骨の軋む音が耳に直接聞こえ激痛が更に襲ってくる。
恐らく細い骨などは粉々に砕けてしまったのだろう。こんな命の危機とする激痛は今まで経験したことがない。
しかも男の声は嘲笑どころか、恐ろしく感情の全くこもらない冷然とした低い声で淡々と言い放つ。
私の言葉がよほど男の癪に障ったらしい。容赦ない激痛を伴う締め付けに、口の中から鉄のような味がした。
骨が砕けるくらいなのだから当然、内臓も無事ではないはずだ。もはや体全体を激痛が支配し、生理的な涙が溢れ出てくる。
……私、死んじゃうのかな。
だんだんと意識が朦朧とし、そして初めて“死”を身近に感じていた。
突然現れた、こんなわけの分からない鬼畜男に理不尽に殺されるのかと思うと、悔しくて情けなくて更に涙が出る。
せめて人生の最後くらいはベッドの上で安らかに逝きたかったのに………
平凡な人生を慎ましく生きていただけの私がこんな惨い殺され方をするなんて、それを見捨てる神様はあまりに残酷だと思った。
それでも、人間は苦しい時には何かに縋りたい生き物なのだろう。そんな私もここにきてまで神様を恨みつつも、やはり虚しくも縋ってしまう。
(ーー神様っ……助けて!!)
その時、何故か あの『白トカゲ』の姿が鮮明に脳裏をよぎった。途端ーー
ドドッガガガーーーン。
どこからともなく、突然白い閃光が一筋の落雷のように目の前に落ちてきて、空間全体を飲み込むように大爆発した。
そして、どこまでも真っ白な空間が広がったかと思うと、同時に私の体を締め付けていた感覚も激痛すらも瞬く間に消え去り、
その解放感に意識が薄れてゆく中、脱力する私の体をすっぽりと抱きかかえる何かがそこに居た。
『ーーようやく繋いだか。だいたい遅すぎるのだ! こんな事になる前に、もっと早くに我を喚ばぬか! このうつけ者め!』
……あ、なんか、私、めちゃくちゃ怒られてる……? え…っと、もしかして、神様な…の?……あぁ、なんか、あったか……い………
私を怒っているその声は耳に心地良く、先ほどまで激痛に苦しんでいた体を癒すように安心感が全身を暖かく包む。
私はその心地良さに身を任せながら
「……ああ、神様。私の最後の願いを叶えて下さったんですね。さすがにベッドの上ってわけじゃないけど、でも安らかには逝けそうです。
さっきは恨んだりなんかして、ごめんなさい。本当は尊敬しています。ありがとう……」
と、安らかに微笑みながら、今はの際の言葉を告げた。
『ん? なにを言っているのだ? おい!?』
目蓋が閉じる瞬間、白金の長い髪と金色の目をした、光輝いている絶世の美人なお兄さんの顔を見たーーような気がした。
****
………ザーザー、と激しく雨が打ち付ける音がする。
ハッと目が覚めると、ベッドの上に突っ伏したまま うたた寝をしていたようだ。
どうやら帰宅して『黒』に ご飯をあげた後、ベッドをテーブル代わりにスマホを見ていて、そのまま軽く眠ってしまったみたいだ。
雨の様子を見に窓側に移動する。まるでバケツをひっくり返したような雨を見て気分は憂ウツになる。
明日はまだ金曜日なのに、どうして今日が土曜日じゃないのかと。天気に向かって、もう一日待ってくれたっていいじゃない、と言ったところで無意味な不満が口をついた。
「はあぁ~お願いだから明日は雨止んでてよね」
しかめっ面でぽそりと呟きながら窓から離れ、ベッドに横たわる。外は雷雨の音が煩く、折角ジムで運動したのに、とても眠れる気がしない。
まあ、ジムの半額券を貰っているから、また行けばいいか。と思いながら、なにげに『黒』のいるダンボールを見つめた。
ーーゴロゴロと遠くで雷がまだ鳴っている。ちらっとスマホで時間を確認すると、夜中の23時を少し過ぎていた。
少しでも雷雨の音が聞こえないようにイヤホンで耳を塞ぎ、毛布に頭が隠れるまで潜り込む。
ーー『黒』のこと、このままじゃいけないよな………と、考えつつも、かといって何の解決策も未だ見いだせない自分を情けなく思いながら、
無意識にも心の中で『神様、どうしたらいいの?』と呟く自分の声が聞こえた。
【10ー終】
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【短編】淫紋を付けられたただのモブです~なぜか魔王に溺愛されて~
双真満月
恋愛
不憫なメイドと、彼女を溺愛する魔王の話(短編)。
なんちゃってファンタジー、タイトルに反してシリアスです。
※小説家になろうでも掲載中。
※一万文字ちょっとの短編、メイド視点と魔王視点両方あり。
猫に転生したらご主人様に溺愛されるようになりました
あべ鈴峰
恋愛
気がつけば 異世界転生。
どんな風に生まれ変わったのかと期待したのに なぜか猫に転生。 人間でなかったのは残念だが、それでも構わないと気持ちを切り替えて猫ライフを満喫しようとした。しかし、転生先は森の中、食べ物も満足に食べてず、寂しさと飢えでなげやりに なって居るところに 物音が。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる