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第5話 真夏は祖父の下ネタで
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「でも学校では付き合いなさいって…。」
「あれは部活終わったら付き合いなさいってことよ!」
やってしまった。よく考えれば分かることだった。
こんな可愛い女の子が僕と付き合うはずがない。なんて勘違いをしてしまったんだ…。
あまりに落胆した表情をしてしまったのか、彼女のおじいちゃんがすかさずフォローしてくれた。
「いいじゃないか付き合ったって。良い子なんだろう?お人好しで、ちょっと男にしては細いけど、優しそうで。特別顔が良いってわけじゃないけど…優しそうじゃないか。」
おじいちゃんフォローしきれてないよ!優しそう二回言っちゃったよ!
「別に良い子だからって付き合わないでしょ!何でこんな女っぽい奴と。」
そんなに言わなくても…。しかし当たっているので何も言い返せない。だんだんと俯いていく僕に気がついたのか、彼女は軽く咳払いをして話題を切り替えた。
「とにかくっ!早く家に入りましょ!おじいちゃん話したいことがあるんじゃないの。」
「あ、そーだったそーだった。忘れとった。」
僕らを置いて、彼女はそそくさと家の中へ入ってしまった。あとをついて入ろうとすると、彼女のおじいちゃんが近寄ってきてそっと耳打ちをしてきた。
「許してあげてくれ。根は真面目で良い子なんだが、なかなか言葉がきつくてな。今日は特別パンチが入っとったが、もしや女の子の日かもしれん!なーんて!ハッハッハッ!」
おじいちゃんやめてくれ。思春期真っ只中すぎて笑うに笑えない。
「なんか言ったか?エロじじぃ。」
全然隠しきれていないひそひそ話を聞きつけて、彼女が鬼の形相で戻ってきた。
「何も言っとらんて!京子は可愛くて優しいのーって二人で話しとった。な、太一君?」
僕は黙って首を縦にブンブン揺らしたが、向けられた視線は変わることなく冷たくトゲトゲしい。
彼女はしばらく僕らを睨みつけると、フンッと鼻を鳴らし玄関の戸を強く締め家の中へ戻っていった。
「あぶないあぶない。バレるところだった。」
いやバレてますよ!
もうこれは完全に嫌われた。ただでさえ勘違いしたせいで気持ち悪がられてるのに、下ネタを話してるって思われた以上この先一切の進展は望めない。
こうしてあっけなく僕の青春は終わりを迎えることになるのだろうか。
呆けている僕の肩にそっと手を置き、彼女のおじいちゃんが一言呟いた。
「急いては事を仕損じる、だぞ。」
誰のせいでこうなったと…。僕の気持ちをわかっているのかいないのか、ニヤつきながら目を合わせてくる。
少しは申し訳なく思ってほしいんだけど。
僕のじとーっとした目つきに気づいたのか、彼女のおじいちゃんは慌てて話を逸らし喋り始めた。
「そういえばまだ名前を言ってなかったな!私は京子の祖父、名は本村善吉。気軽に善吉と呼んでくれ。好物はお好み焼きで、それ以上に好物なのはボンキュッボンのねーちゃんかのぉ!ってそんなこと聞いとらんか!ハッハッハッ!」
うん、エロじじぃだ。
どうすればいいのか分からず、下手くそな愛想笑いでなんとかごまかした。
「まぁまぁ太一君よ。これからひとつよろしく頼む。」
何がどうよろしくなのかわからないけど、求められた握手に力なく応える。
「元気がないぞ青年!ほら善吉と呼んでごらんなさい!」
「よろしくお願いします、善吉さん…。」
「そうじゃその意気その意気!それでは家に入ろう。とびきり美味しい茶菓子を用意しておいた!きっと気にいるぞ。」
善吉さんは満面の笑みでそう言うと、力強く僕の肩を抱き家の中へと連れ込んだ。
「あれは部活終わったら付き合いなさいってことよ!」
やってしまった。よく考えれば分かることだった。
こんな可愛い女の子が僕と付き合うはずがない。なんて勘違いをしてしまったんだ…。
あまりに落胆した表情をしてしまったのか、彼女のおじいちゃんがすかさずフォローしてくれた。
「いいじゃないか付き合ったって。良い子なんだろう?お人好しで、ちょっと男にしては細いけど、優しそうで。特別顔が良いってわけじゃないけど…優しそうじゃないか。」
おじいちゃんフォローしきれてないよ!優しそう二回言っちゃったよ!
「別に良い子だからって付き合わないでしょ!何でこんな女っぽい奴と。」
そんなに言わなくても…。しかし当たっているので何も言い返せない。だんだんと俯いていく僕に気がついたのか、彼女は軽く咳払いをして話題を切り替えた。
「とにかくっ!早く家に入りましょ!おじいちゃん話したいことがあるんじゃないの。」
「あ、そーだったそーだった。忘れとった。」
僕らを置いて、彼女はそそくさと家の中へ入ってしまった。あとをついて入ろうとすると、彼女のおじいちゃんが近寄ってきてそっと耳打ちをしてきた。
「許してあげてくれ。根は真面目で良い子なんだが、なかなか言葉がきつくてな。今日は特別パンチが入っとったが、もしや女の子の日かもしれん!なーんて!ハッハッハッ!」
おじいちゃんやめてくれ。思春期真っ只中すぎて笑うに笑えない。
「なんか言ったか?エロじじぃ。」
全然隠しきれていないひそひそ話を聞きつけて、彼女が鬼の形相で戻ってきた。
「何も言っとらんて!京子は可愛くて優しいのーって二人で話しとった。な、太一君?」
僕は黙って首を縦にブンブン揺らしたが、向けられた視線は変わることなく冷たくトゲトゲしい。
彼女はしばらく僕らを睨みつけると、フンッと鼻を鳴らし玄関の戸を強く締め家の中へ戻っていった。
「あぶないあぶない。バレるところだった。」
いやバレてますよ!
もうこれは完全に嫌われた。ただでさえ勘違いしたせいで気持ち悪がられてるのに、下ネタを話してるって思われた以上この先一切の進展は望めない。
こうしてあっけなく僕の青春は終わりを迎えることになるのだろうか。
呆けている僕の肩にそっと手を置き、彼女のおじいちゃんが一言呟いた。
「急いては事を仕損じる、だぞ。」
誰のせいでこうなったと…。僕の気持ちをわかっているのかいないのか、ニヤつきながら目を合わせてくる。
少しは申し訳なく思ってほしいんだけど。
僕のじとーっとした目つきに気づいたのか、彼女のおじいちゃんは慌てて話を逸らし喋り始めた。
「そういえばまだ名前を言ってなかったな!私は京子の祖父、名は本村善吉。気軽に善吉と呼んでくれ。好物はお好み焼きで、それ以上に好物なのはボンキュッボンのねーちゃんかのぉ!ってそんなこと聞いとらんか!ハッハッハッ!」
うん、エロじじぃだ。
どうすればいいのか分からず、下手くそな愛想笑いでなんとかごまかした。
「まぁまぁ太一君よ。これからひとつよろしく頼む。」
何がどうよろしくなのかわからないけど、求められた握手に力なく応える。
「元気がないぞ青年!ほら善吉と呼んでごらんなさい!」
「よろしくお願いします、善吉さん…。」
「そうじゃその意気その意気!それでは家に入ろう。とびきり美味しい茶菓子を用意しておいた!きっと気にいるぞ。」
善吉さんは満面の笑みでそう言うと、力強く僕の肩を抱き家の中へと連れ込んだ。
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