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第7話 真夏は後悔の連続で
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「泊まり込みって寝る場所はどうするんですか?」
思いがけない質問だったのか、二人は見合ったまましばらく黙りこんだ。
「わかった。こうしよう。」
良いことを思いついたのか、善吉さんが太ももをパンっと叩き提案してきた。
「泊まり込みになるってことは寝床が必要なわけだ。しかしこのオンボロ家にいくつも部屋があるわけではない。そこで考えたんだが、京子の部屋で寝るのはどうだ?」
途中までそうだそうだと頷きながら聞いていた彼女の表情が途端に曇った。
「なんでそうなるの!そんなこと許すわけないでしょ!」
「それだったら快諾してくれるんじゃないのか?な、太一君?」
もちろん!その条件なら今すぐにでも働きましょう。
と言いたいところだったが、なんとか喉元でその言葉を止めた。
こんなこと言ったら彼女になんて思われることか。下ネタ好きのレッテルだけでなく、その上にド変態のレッテルまで重ね貼りされること間違いない。
「大丈夫です。僕はどこでも寝られるので。」
平静を装い、あくまで毅然とした態度で断った。
「そうか…。じゃ空いてる押入れの中でいいかな?」
僕はドラ◯もんか。
「嘘じゃって嘘じゃって!善吉ジョークよ!ハッハッハッ!」
どうしようもない善吉さんの話に呆れ果てたのか、彼女は僕の方に向き直った。
「まぁそういうことだから、夏休みから働いてちょーだい。」
一度引き受けて断ることは僕の性格上できず、渋りながらも頼みを飲み込んだ。
彼女は何故か得意げな顔を浮かべ、よろしい。とでもいうように頷く。悔しいけどしょうがない。本当に今日という日ほど自分の性格を恨むことはなかった。
ゴオォーン
壁に掛けてあった大きな古時計が二十二時の開始を告げた。
「おじいちゃんそろそろ落語のラジオ始まるよ。」
「もうそんな時間か!ではまた太一君。風邪は引かないでくれよ?君は大事な戦力なんだからな。京子、駅まで送らなくていいのか?」
「なんで送らなきゃいけないの!男なんだし一人で帰れるでしょ!はい帰った帰った。」
言いたいことだけ言われて僕は家を追い返された。
失礼極まりないなもう!顔だけ似てて性格似てないんだから!
少しは善吉さんみたいに物腰柔らかくなってくれないかなぁ。
不満を垂れ流しながら獣道を通って、暗く包まれた帰り道をひとり駅まで戻る。
灯りがないおかげで空一面には星が美しく瞬いていた。なかなかこんな綺麗な夜空には田舎といえどお目にかかれない。
後ろを振り向いても木に覆われているせいで、彼女の家に灯った明かりはもう見えなかった。
「なんだか狐につままれたような一日だったな…。」
ふと呟いた言葉は、透き通った夜空の中へ吸い込まれるかのように独り言となって消えていった。
家に着いた頃にはもう時計の針は十二時をまわっていた。玄関の扉を開けたと同時に母親に怒られ、小言を聞きたくなかった僕は急いで自分の部屋へと入りこんだ。
ベットに倒れこみ、枕に顔をうずめる。
はぁ…。これからどうしよう。自分で決めたことだけど、アルバイトなんてしたことないし、そもそも親の承認とか必要なのかどうかもわからない。
お腹減った。お風呂に入らなきゃ。起き上がろうと頑張ってみたが瞼がどんどん重くなっていき、いつの間にか僕は深い深い眠りについていた。
思いがけない質問だったのか、二人は見合ったまましばらく黙りこんだ。
「わかった。こうしよう。」
良いことを思いついたのか、善吉さんが太ももをパンっと叩き提案してきた。
「泊まり込みになるってことは寝床が必要なわけだ。しかしこのオンボロ家にいくつも部屋があるわけではない。そこで考えたんだが、京子の部屋で寝るのはどうだ?」
途中までそうだそうだと頷きながら聞いていた彼女の表情が途端に曇った。
「なんでそうなるの!そんなこと許すわけないでしょ!」
「それだったら快諾してくれるんじゃないのか?な、太一君?」
もちろん!その条件なら今すぐにでも働きましょう。
と言いたいところだったが、なんとか喉元でその言葉を止めた。
こんなこと言ったら彼女になんて思われることか。下ネタ好きのレッテルだけでなく、その上にド変態のレッテルまで重ね貼りされること間違いない。
「大丈夫です。僕はどこでも寝られるので。」
平静を装い、あくまで毅然とした態度で断った。
「そうか…。じゃ空いてる押入れの中でいいかな?」
僕はドラ◯もんか。
「嘘じゃって嘘じゃって!善吉ジョークよ!ハッハッハッ!」
どうしようもない善吉さんの話に呆れ果てたのか、彼女は僕の方に向き直った。
「まぁそういうことだから、夏休みから働いてちょーだい。」
一度引き受けて断ることは僕の性格上できず、渋りながらも頼みを飲み込んだ。
彼女は何故か得意げな顔を浮かべ、よろしい。とでもいうように頷く。悔しいけどしょうがない。本当に今日という日ほど自分の性格を恨むことはなかった。
ゴオォーン
壁に掛けてあった大きな古時計が二十二時の開始を告げた。
「おじいちゃんそろそろ落語のラジオ始まるよ。」
「もうそんな時間か!ではまた太一君。風邪は引かないでくれよ?君は大事な戦力なんだからな。京子、駅まで送らなくていいのか?」
「なんで送らなきゃいけないの!男なんだし一人で帰れるでしょ!はい帰った帰った。」
言いたいことだけ言われて僕は家を追い返された。
失礼極まりないなもう!顔だけ似てて性格似てないんだから!
少しは善吉さんみたいに物腰柔らかくなってくれないかなぁ。
不満を垂れ流しながら獣道を通って、暗く包まれた帰り道をひとり駅まで戻る。
灯りがないおかげで空一面には星が美しく瞬いていた。なかなかこんな綺麗な夜空には田舎といえどお目にかかれない。
後ろを振り向いても木に覆われているせいで、彼女の家に灯った明かりはもう見えなかった。
「なんだか狐につままれたような一日だったな…。」
ふと呟いた言葉は、透き通った夜空の中へ吸い込まれるかのように独り言となって消えていった。
家に着いた頃にはもう時計の針は十二時をまわっていた。玄関の扉を開けたと同時に母親に怒られ、小言を聞きたくなかった僕は急いで自分の部屋へと入りこんだ。
ベットに倒れこみ、枕に顔をうずめる。
はぁ…。これからどうしよう。自分で決めたことだけど、アルバイトなんてしたことないし、そもそも親の承認とか必要なのかどうかもわからない。
お腹減った。お風呂に入らなきゃ。起き上がろうと頑張ってみたが瞼がどんどん重くなっていき、いつの間にか僕は深い深い眠りについていた。
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