ゲスいお嬢様的日常(仮)

胸の轟

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「あれ?どうしたの波多野君。──もしかして今付き合っ「付き合ってないし元カノでもないし付き合わないし付き合うこともないし絶対付き合わないしそれに絶対付き合わないしどこのどいつかもちろん知らない。」

「いやもう確実にどこのどいつか思い浮かんでますよね!?」

「・・・・・・・・・うちのパーティで会ったヤツが、空の言ってる相手に似てる気がしただけだ。」


似てる気もなにも確実に同一人物だが、面倒なことを言い出しそうだから濁しておく。


「なになにその似てるって娘にしつこく絡まれちゃった?」

「まぁな。俺と何もかもが釣り合いもしないレベルのくせに、弁えもせず本当にしつこくてな。向こうにしてみたら、俺と付き合えれば相当おいしい思いが出来るわけで、形振り構わず必死にもなるわな。こっちからすりゃ迷惑以外の何でもない寄生虫でしかねぇがな。ワースト1に入るくらいの最悪女だし、二度と、もう二度と顔なんか見たくもないね。」


言えない──貶して顔面踏まれたなんてそんなカッコ悪いこと、口が裂けても言えない。


「うっわマジ最悪~。でも波多野君はそういうの結構寄ってくるっしょ?」

「まったく分不相応なのはウザくてたまらねぇわ。」

「御坊っちゃまは辛いね!」
「まぁな。多少の煩わしさは、全てを持つ者としては致し方ないって諦めてるけどな。」

「ははっ、全てを持つ者か~。言うねぇ。」

「波多野先輩・・・」
「ん?」

「アレを取り返してくださいお願いします!」


おい、人の話はちゃんと聞けよ!二度と顔見たくないって言ってんだろが!てめえの不始末はてめえでどうにかしろっつうの!そもそも何で俺がお前の頼み聞かないといけないんだよ!俺はお前の子分じゃねぇぞ!甘えんなクソガキ。甘えて許されるのは美少女だけって相場が決まってんだよ!


なんだかものすごく苛ついてきた。俺はお前の友達でもなんでもない。


「お前の兄貴は俺の側に居ることを許した存在だが、だからってお前もそうだってことじゃない。履き違えんなよ空。陸の弟だから顔を立てて接してやってるに過ぎないことを弁えろ。取り返してくださいだと?──この俺を舐めてんのお前。」


冷たく言い放つ俺に空がたじろぎ、助けを求めるように陸に視線をやる。


「そんな怒んないでよ波多野君。ごめんね~、コイツ馬鹿だから、すぐ勘違いして調子乗っちゃうんだよ。──ほら、お前も謝れ空。」

「す、すみませんでした!」


ガバリと頭を下げる空を見て、少し冷静になる。

あんまりいつまでも怒っていて、度量の狭い男だと思われるのも腹立つし許してやる。


「次から気を付けろよ。」
「は、はい。」

「波多野君が心の広い人で良かったね空君。」
「う、うん。」

「波多野君は心が広いしお金持ちで気前が良いし、性格は男前で、オマケに容姿端麗ときたら同じ男として憧れちゃうってもんだよね?空君。」

「!?──ぁ、ぁあ、そうそう!も、もちろん!心が広くてお金持ちで気前が良くて、性格は男前で、オマケに容姿端麗な波多野先輩は俺の憧れです!」

「そうかそうか、お前は俺に憧れてんのか。まぁ、俺に憧れる気持ちは良く分かる。俺って完璧だしな。」

「そんな素敵で無敵な先輩に憧れるなら、女子の一人や二人あしらえなきゃダメだとお兄ちゃんは思うわけだよ。」

「うっ、あ、・・・お、おう。」

「でもでも~空君は甘えん坊の末っ子で、まだまだお子ちゃまで波多野君の足下にも及ばないから、女子の扱いも波多野君と比べたら、悲しいくらいに未熟だよね。」

「まぁ、そうだろうな。じゃなきゃ俺に泣きついて、どうにかしてもらおうなんて思うわけないからな。」

「そんな未熟者でダメダメちゃんな空君には、導いてあげる師匠っぽい人が必要だと思うんだ~。」

「そうだな。」
「俺、マジで波多野先輩みたいな輝く男になりたいです!」

「そうかそうか。」


男の憧れる男か。普通にしてるだけなのに、全てが洗礼され、その気がなくても目立ってしまう。さすが俺。

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