ゲスいお嬢様的日常(仮)

胸の轟

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前世とか言い出されたら半笑いになるのはしかたない≪灘流≫

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親友にメモで呼び出され、俺は放課後学校の屋上へ向かった。

そこに人影はない。

どうやら少し早く来すぎてしまったようだ。

フェンスからなんとなく森を眺める。

森は校舎から十メートルくらいの、割と近くから広がっているのだが、そこは迷いの森という。

迷いの森の中は木がうっそうと繁り、昼でも暗く、方向感覚は何かに狂わされ、何処に向かっているのか何処に居るのか分からなくなる。一度入れば帰ること叶わず。――という噂。


校庭側のフェンスにたどり着いた時、屋上の扉の開く音がし、見るとなにやら思い詰めた顔の親友が。

風が栗色の柔かな髪を揺らし、青色の瞳がじっと俺を見つめている。


黙ったまま俺の方へ来ると隣に並び、暫くの間校庭を見た後小さな声で話始めた。


「…あの日、いつものように桐人君のアパートまでランニングしてたんだ。この時間なら桐人君お風呂に入りそうっていう時間を狙って。」

桐人ってチャラい監査のイケメンの?とか、いつものようにって、いつも風呂を覗くためにランニングしてんの?お巡りさんこいつですとか、言いたいことはあったが、あまりにも真剣な空気感を出されたので黙っておいた。


「結局その日も桐人君のお風呂は覗けなくて、絶望感でどうにかなりそうなままの独り寂しい帰り道、夜空で僕を見守る清廉な月が、悲しい僕を慰めようと、柔らかな光をくれました。嗚呼、溢れる雫は煌めきながら頬を伝い、誰に知られることもなく、アスファルトへと消えていく。…僕は、涙を拭うことも忘れ、ただただ祈った。いつか、いつの日か生まれたままの桐人君を凝視出来ますようにと…。」


絶望感は多分そんな場面で感じる気持ちじゃないし、ちょっと詩的な表現してるけどお巡りさんこいつです。


「……祈ったらさ、思い出してしまった。……前世を。」


俺は今、どんな顔をしてる?

半笑いの自信がある。

ダメだろ、半笑いとか。
親友がクッソ真面目な顔でしてる告白を、半笑いで聞くとか。


頑張れ俺の表情筋よ!


真剣っぽい顔を作るため、活動してる部活のうち、一番興味ないマイマイ部を選び眺めた。






マイマイ部は、15点先取、3試合が行われる。

まず、1メートルの距離を開け向かい合って立ち、攻撃側が「参る」、防御側が「参られよ」の合図で開始する。

合図の後、反復横飛びで左右に別れる。(反復の時、攻撃は、さあさあ、防御は参れ参れと言う)


再び向かい合った時、審判の合図で、約20種類の動物の中から選んだ種類を身体で表す。


相手よりも強い種を選べば勝利だ。

例】
ネコ>鳥
鳥>ネズミ

※最強種の使用は1試合1度のみ可。

最強種での勝利は1点。


ただし一部種の強さと勝敗が一致しないものもある。

皆さんご存知のアレである。ーーそう、カニ>ゾウの組み合わせである。

ゾウの鼻をカニが挟んで勝つということで、カニの方が強いとされている。


その昔、坂本蟹衛門という身体は小さいが才智にたけた領主の息子が、自分の住む領地にやって来た敵国の軍を撃退してみせた。

彼は英雄と呼ばれ、小さく力無き者も、強大な敵を倒すことが出来る代名詞になった。


マイマイ原案者とされる彦麿(正解な名が記された書物はない)が彼を気に入り、彼の名に似たカニをマイマイに入れたと言われている。(蟹が好物という説もある)


カニはゾウに勝てるが、他の種には勝てない。なのでカニを出すのはあまりおすすめはしない。


著者、E・狩場
〔華麗なるマイマイの世界〕参照




よし、多分真面目な顔になってる筈。


「…前世の話聞いてくれる?」



え~やだよ~。とか言ってもどうせ話すくせに。





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