ゲスいお嬢様的日常(仮)

胸の轟

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歩くの大好き少女の歌を歌い、純粋さをアピッたのに、茶会会場も帽子の人も発見出来ないのは何故だろう。


か弱く儚く純粋な、いたいけな乙女が森で迷ってる風なのに放っておくとは、どんな神経なんだ。


私に興味ないとか、きっとロリコンに違いない。


ロリってないヤツに出す茶はねえというスタンスだと思われる。


ロリって何歳までなの?

十歳くらい?



十歳って言い張ればいけるだろうか?よし、十歳って言い張ろう。






決意虚しく、お迎えはないし、会場も見当たらない。


私の、この、生クリームがアホみたいにのったパンケーキへの溢れる思いは、一体どこへぶつければいいのか。


私は生クリームがアホみたいにのったパンケーキへの溢れる思いを歌に託した。






〈語り手〉、〈父親〉、〈息子〉、〈魔王〉の四人が登場する某有名ソングを、ちゃんと声を変え使い分け、ドイツ語ヴァージョンで歌いきった頃



「おーい、姉ちゃーん。」


魔王が現れた


魔王が仲間になりたそうにこちらを見ている



「?…姉ちゃんサボり?」
「違うよ。狂った茶会の会場を探してたの。」

「何それ怖い。」
「灘流は何してんの?」

「姉ちゃんが森に入ったのが見えたから、追いかけて来たんだよ。」

「私を口実にサボりですねわかります。」

「それは違うよ。俺には授業よりも姉ちゃんが大事なんだ。」

「姉ちゃん大好きっ子か。」

「俺が姉ちゃん大好きじゃないわけがない。もしも世界が姉ちゃんの敵になったら、世界と戦うくらい大好きだよ。」


「ごく普通の何処にでも居るありふれたか弱い乙女なので、そんな世界の命運をかけた戦いには巻き込まれないです。」


なんか微妙な顔された。


ああ、そうか。


私のことをそこまで思っててくれるなんて、ジ~ン的な対応じゃないのが不服なんだね。


空気読めなくてすみません。


「…普通ってなんだろう。」

「どうしたの?急に哲学っぽい流れに持っていこうとして。森の瘴気にやられて人生に迷ったの?」

ここは迷いの森。

迷ってもしかたない。


「違うから。俺の中の普通の定義が、ちょっと姉ちゃんと違う気がして確かめたかっただけだよ。」

「普通に対する定義は、誰でも同じなのでは。」


「あ~…うん、そうだね?…そろそろ戻らないと、昼飯食い損ねちゃうよ。結構奥まで来てるし。」

「それは大変。…なんか機嫌良い?」

「だって、学校に居るのに姉ちゃんの顔見れたし。」

昼でも薄暗い森のショボイ木漏れ日よりも、美少年の笑顔の方がキラキラしてる件。


目が、目がー。


「お昼何食べようかな~。」

さっきまでパンケーキ気分だったけど、あっという間に主食気分。

「晩御飯はなんだろう?被らないお昼にしないと。」

「いや、うちの晩御飯と学食なんて、早々被らないよ。」

「そんなの分からないよ。お昼にカレーうどん食べたら、夕食もカレーうどんでしたという悲しい結末があるかもよ。」

「カレーうどんて家で出たことあったっけ?」

「ないね。…カレーうどん食べたくなったから、お昼はカレーうどんにしよう。」

「じゃあ俺もカレーうどんにして、『今俺は、姉ちゃんと同じカレーうどんを食べているんだ』って噛みしめながら食べるよ。」

「姉ちゃん大好きっ子か。」

「まあね。」


「…ねえ灘流。もしも、…もしも私が、カレーうどんのカレーで制服を汚してしまったとしたらどうする?」

「その時は俺を呼んで。どこに居てもすぐに駆けつけて、制服のカレーなんてなかったことにしてみせるよ。姉ちゃんの制服を汚すカレーを、俺は絶対許さない。例え他の誰かが許しても、俺は絶対カレーを許さない。」

「灘流…。」
「姉ちゃん…。」

「な~~だ~~る~~」
「姉~~ちゃ~~ん~」

スローモーションでヒシと抱き合う。


特に意味はない。


ついでに灘流の匂いを嗅ぐ。


もちろん意味はない。


育ち盛りのせいか、どんどん身長が伸びてる気がする。




「じゃあ戻ろう。」
「おう。」


繋いだ手をブンブンしながら学校までの道を歩いた。





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