ゲスいお嬢様的日常(仮)

胸の轟

文字の大きさ
45 / 162

きっと守ってみせる

しおりを挟む
オヤツどこで食べようかな?


そうだ、久しぶりに理事長室のふっかふかソファで食べよう。ソファにゴロゴロしつつ、オヤツを堪能しよう。

なんて思って来てみれば、理事長が居る気配がした。


チッ。


仕方ない、別の場所にしよう。

どこにしようかな。


考えながら歩いていると、声が。


どうやらサボってる奴がいるようだ。


授業をサボるなんてダメだと思う。まったく、学校に何しに来てるんだか。学生の本分は勉強ですよ。ここはひとつ品行方正な私が注意しなければ。


疚しさなど欠片もない、純粋に正義感から注意すべく、声のする方へ。




「…っん、…やっ、ダメ~。」

「へぇ~、ダメなんだ。……じゃあ、もう止めようか?」

「やっ、もう、…分かってるくせに、意地悪なんだから~。」

「意地悪されんの好きだろ。」



見たことのある踏み台だ。

玄関マットの方は見たことないが、何度も使われてそうな玄関マットだ。



なんだ、てっきりサボってる生徒かと思ったら気のせいだった。


良かった。サボってる人じゃなくて。人見知りだから知らない人に話しかけるって勇気がいるし、出来ればしたくない。



玄関マットに密着して座──置いてある踏み台を踏むために助走し、ジャンプした後着地。──の予定が、ウッカリ助走の勢いがよすぎ踏み台の後頭──端っこ的なとこに膝蹴りが決まり、見事な前転を繰り返しながら踏み台が遠退いて行った。


「波多野くーん!?ちょっ、アンタ何なの!?」

「リア充滅ぼし隊所属の、ただの通行人です。」

「はぁっ!?意味解んない!」


「ザケんなっ!この暴力女がっ」

葉っぱや小枝でデコレーションしたオシャレ踏み台が、鼻の下に赤い川を描きながらやって来た。


「か弱い乙女の、か弱い力でちょっと当たっただけなのに、大袈裟なリアクションで人を責めるなんて何処の当たり屋ですか。」

「大袈裟じゃねーッ!」



その瞳は怒りに燃え、睨み付けてくる。視線の強さに小心者の私の身体は震え、視線を逸らすことも立ち去ることも出来ない。


力ずくで何かをされてしまえば、か弱い私は抵抗も出来ず、ただただそれらを受け入れるしかないのだ。



蹂躙…。そんな言葉が過る。





蹂躙と乳輪て似てるね。




私に向かって来る踏み台が、やけにスローに見えた。


嗚呼、神よ。私が何をしたと言うのですか?清く正しく美しく生きてきた私に、何故このような試練を与えるのですか?



私はそっとオヤツの入った袋を覗く。



プレーンドーナツ、シュガードーナツ。アーモンドチョコドーナツにココナッツドーナツ、ストロベリーチョコドーナツ。そして生クリームがたっぷり詰まったドーナツ。



試練というものは、乗り越えられる者にのみ与えられると言いますが、神よ、あんまりです。試練が厳しすぎます。どれも美味しそうで、最初に何を食べたら良いか選べません。けれど与えられた試練は乗り越えねばなりませんね。



シュガーにするべきか、プレーンにするべきか。それが問題だ。やはり一番あっさりなプレーンを最初に食べるべきか。



シュガードーナツ、君に決めた。



もぐもぐ。うまうま。



何故か踏み台波多野の眼差しが、いっそう険しさを増す。

獲物を仕留めるハンターが、獲物の全てを奪い去る刹那の一瞬にも似た時が、私達の間に生まれた。


食うか食われるか。少しでも気を抜けば、力無き私は失うだろう。




オヤツを…







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

人見知りと悪役令嬢がフェードアウトしたら

渡里あずま
恋愛
転生先は、乙女ゲーの「悪役」ポジション!? このまま、謀殺とか絶対に嫌なので、絶望中のルームメイト(魂)連れて、修道院へ遁走!! 前世(現代)の智慧で、快適生活目指します♡ 「この娘は、私が幸せにしなくちゃ!!」 ※※※ 現代の知識を持つ主人公と、異世界の幼女がルームシェア状態で生きていく話です。ざまぁなし。 今年、ダウンロード販売を考えているのでタイトル変更しました!(旧題:人見知りな私が、悪役令嬢? しかも気づかずフェードアウトしたら、今度は聖女と呼ばれています!)そして、第三章開始しました! ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています

きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...

構造理解で始めるゼロからの文明開拓

TEKTO
ファンタジー
ブラック企業勤めのサラリーマン・シュウが転生したのは、人間も街も存在しない「完全未開の大陸」だった。 ​適当な神から与えられたのは、戦闘力ゼロ、魔法適性ゼロのゴミスキル《構造理解》。 だが、物の仕組みを「作れるレベル」で把握できるその力は、現代知識を持つ俺にとっては、最強の「文明構築ツール」だった――! ​――これは、ゴミと呼ばれたスキルとガラクタと呼ばれた石で、世界を切り拓く男の物語。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

転生したら幽閉王子でした~これどうすんの?

サクラ近衛将監
ファンタジー
 神様の眷属の過失が原因の事故に遭って死んだ桜庭雄一が異世界に転生したら、とある国の忌避すべき王子として幽閉されていた。  転生にはチートがつきもののはずだが、事故で死んだ者が300名を超えるために、個別にチートは与えられず、転生先の者の能力を生かせと神に告げられている。  「神の加護」ではないけれど、「恩寵」が与えられているので、当該異世界では努力を為した分、通常に比べると成果があるらしい。  これはとある国の幽閉王子に転生した男の冒険譚である。  原則として、毎週月曜日20時に投稿予定です。

処理中です...