ゲスいお嬢様的日常(仮)

胸の轟

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揺れる乙女心の先にいるのは貴方

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北斗は細かいことを気にしすぎだと思う。好奇心は猫も殺すらしいよ。


ある日ポックリ死なないと良いね。



カットグラスに入った白いチーズをスプーンで口に運び味わう。豆腐のような柔らかい食感。

見た目から、レアチーズケーキのような甘い感じかと思ったら、味は程好い塩加減だった。甘い物を食べた後だから、塩味が良いね。


「旨い?」
「うん。」

「そか。良かった。…うん、旨いな。」

「ありがとう。買って来てくれて。良く覚えてたね、チーズのこと。」

「ぐ、偶然あっちに行く用があって、たまたま思い出しただけ。」

「現地で食べた?」
「いや。」
「時間なかった?」
「そういうわけじゃないけど。…初めてのことは一緒にやりたいっていうか…。」


付き合い始めの恋人か。



そうか、初めてを一緒にしたいのか。なら、これからも揺れる乙女心は北斗に解決してもらおう。


どの乙女よりも私を優先し、私の欲望を満たすが良い(何様)


買いに行くのが面倒くさい食べ物、何かあったかな。すぐに思いつかないが、多分何かあるだろう。


いや、待て私。北斗には彼女居たような。


北斗グルメが欲しいのに


『俺の時間の全ては、すぃ~とはぁ~とに捧げてるんだ。めんご!』と、小首を傾げ、顔の前で合わせた手を顔の傾きと同じ角度にし、瞬きをパシパシ高速で繰り出されながら、アヒル口で断られたらどうしよう。


北斗グルメが私の物にならないなんて、想像しただけで胸が痛む。


しかも、台詞の痛さに加え、小首を傾げ、顔の前で合わせた手を顔の傾きと同じ角度にし、瞬きをパシパシ高速で繰り出されながら、アヒル口とか。



悲しみに震え、顔面を鷲掴むことだろう。


何か手を打つべきだろうか。


「北斗って彼女居たよね?」
「居ないよ。」

「あれ?居なかった?」
「…最近別れた。」

「ショックで引きこもってた?」

「いや、バイトが忙しくてサボッてただけ。そんなにショックでもなかったし。」

チラリと私を見て視線を外す。


「ふ~ん。」


何ですか、その態度は。私のせいじゃないよ、駄目になったのは。まだ何もしてないし。


「じゃあ、『俺の時間の全ては、すぃ~とはぁ~とに捧げてるんだ。めんご!』と、小首を傾げ、顔の前で合わせた手を顔の傾きと同じ角度にし、瞬きをパシパシ高速で繰り出されながら、アヒル口で断られることはないんだね。」

「ちょっ、何そのキャラ。」

北斗グルメはどうやら私の物のようだ。


このチーズ、パンに塗っても美味しいかな?

焼きたてのパンが食べたくなってきた。そう言えば最近、焼きたてメロンパンのお店に行ってないな。その内行こう。


「俺があげたヤツ飲まないの?」

「飲むよ。」


何かを期待するように、じっと見つめられた。




その後も、会話の合間合間に、奢りドリンクを意味あり気にチラチラ見ながら飲まないのか何度も聞かれ、グーで殴るかペットボトルで殴るか熟考した結果、殴るのは止めた。チーズに血がーー違った、チーズを買って来てくれたことに免じーー違うな、大切な友人なので止めた。うん、これだ。





秘密基地その1から出た頃には下校時刻になっていた。ペットボトルに口を付け一口。



去り行く北斗の背を眺める。



感覚が告げている。


急げ、と。


今ならまだ…



一番近くの転移ドアに飛び込み、我が家の一室に移動後急いでそこから出る。




ああ、良かった。間に合った――傾ぎながら、そんなことを思って目を閉じた。




  
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