ゲスいお嬢様的日常(仮)

胸の轟

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知らない天井だ

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どうやらお姉さんは人形を使ったようだね。


それは別にいい。お姉さんのピンチとか、面白エピソードの予感…、違った、メロンパンのお礼だった、お礼。


「翔たぁん、コイツ死んだんじゃない?すっごい勢いで倒れたし。」

足をガシガシ蹴られた。


「ああ?大丈夫だろ。クッソ頑丈そうだし。」

横っ腹に衝撃。


「それは言えてる~!あっ、目開いてる。」

「ほらな、死んでねぇだろ。」


なんで天井見てるのかと思ったら、ぶっ倒れたせいだった。ん?ぶっ倒れた?なんでだろう。アレ使うと意識飛ぶなんて危険なことにはならないはずなんだが。

掲げて台詞言うと人形の頭が四つに割れ、クリオネの捕食時のごとく六本の触手が、使用者の精神を引きずり込むという、サービス幻影仕様で対象者の精神と入れ替えるだけだし。

完成したと思ったが、使うと意識を失うような危ない欠陥品だったようだ。後で何が駄目だったか検証しよう。

因みに台詞はその場の気分なので、決め台詞がある訳ではない。


「ちょっと、ちゃんとこっち見なよ。見て、現実を思い知らなきゃ駄目だよぉ。」

喋りながらまた蹴ってきた。蹴りながらじゃないと喋れない病気か。

「愛たんが話してんだからコッチ見ろや、立夏。」


顔を踏まれたせいで、鼻血が出た模様。口の中に血の味がする。


目だけでグルリと見回せば、独り暮らしのアパートの一室ぽい。


「好きな男の部屋に来れて嬉しい?ね、ね、嬉しい?でも残念。もう二度と来ることないけどね!」

「あんま人ん家ジロジロ見ないでくれますか~。網膜に焼き付けてそうですげぇキメェ~。」


今度はお腹を踏まれ、圧迫される。


「翔たん。」
「なに?愛たん。」

「愛たんね、すっごく寂しかったんだぞ。」

「…愛たん、ごめんね。俺がゲームで勝ちさえすれば良かったのに、負けちゃってマジごめん。」

「翔たん。翔たんはもう、愛たんだけの翔たんに戻れるんだよね?」

「そうだよ、愛たん。今日で終わりだよ!…すげぇ長かったし辛かった!こんなのを好きな振りとか死にたくなったぜ!」

「翔たん死んじゃダメーッ」

「愛たんを置いて死なないから!」



お姉さんが、やっちゃ駄目なタイミングで人形使うから、夕飯食べ損なったし何か食べたい。



お腹に乗った足を掴んで引いたら、私に覆い被さりそうになった。

初対面なのにいきなり乙女に覆い被さろうとするとは、さては痴漢ですね。


「うわっ」

乙女の柔肌に断りもなく触ろうとする不届きものの身体を、やんわり蹴り上げた。

痴漢にすら気配りして、怪我などしないよう、やんわり蹴り上げるに留めるとか、私優し過ぎる。


「おごぶっ」


軽く天井に当たり、ベシャっとーーいや、フワッと床に着地で強打、違った、軽く身体を打ち付けた模様。

やんわり蹴っただけなのに、何という大袈裟なリアクション。あれかな、態々当たりに来て痛くもないのに金銭要求するあれかな。

優しさを見せたらそこに付け入ってくるパターンですね分かります。優しい人が悲しい思いをする嫌な世の中です。



「≠×÷£!!」
「翔たーん!?」


何語か解らないことを言いつつ、ゴロゴロしてる物体を放置し冷蔵庫を漁る。

何かあるかな。


期待したのに冷蔵庫の中には飲み物と魚肉ソーセージしかなかった。こんな充実感のカケラもない冷蔵庫で、不意のお客様にどう対応する気なのか問い詰めたいところだ。


近くにコンビニあるかな?なかったらどうやって食料調達しよう?


魚肉ソーセージを食べながら、ヤる時くらいしか役立たない大人の玩具の髪を掴み、引きずって移動。


「ちょっ、やめっい゛だい゛い゛だい゛い゛いーっ」

「てめぇっ、愛たんを離せっ」


ゴミを捨ててあげようとしたら、理不尽な暴力に晒されそうになったので、壁ドンではなく腹ドン(別名腹パンチ)

「ぐふおっ」


ぐふおさん、呼ばれてますよ。


ドア開けて、使い古しの玩具を外に捨てて鍵をかけた。
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