75 / 162
便利機能付き財布
しおりを挟む鍵をかけて一拍後
「ちょっと!開けなさいよ!私にこんなマネしてただで済むと思ってんの!翔が黙ってないからね!覚悟しな!」
ドアをガンガン叩き、非常に近所迷惑な玩具である。多分使い込み過ぎて壊れたのだろう。買い替え時だと思う。
ガチャッ
「そうやって最初から素直に開け…ヒイッ」
近所以上に私に迷惑なのでドアを開け、穏やかな眼差しで見つめれば、何故かヒイッと言われた。
意味が解らない。
あ、そうか。今の私は本来の私じゃなかった。だから穏やかに見つめているつもりでも、そう見えずヒイッとか言われてしまうんだね。納得。
「食べるの。」
だから、どうして欲しいか分かるよね、と言う意味を込め見つめれば、何故か蒼白な顔が私を見てくる。
バタン
カチッ―
鍵をかけると、よろけてどこかに当たったような音の後、『いやぁあああーーー』と言う叫び声が遠ざかって行った。
チラッとうずくまー、置かれている踏み台に目をやると、ヒイッと鳴った。
ヒイッてヤツが、この辺では流行っているようだ。頭悪そうな流行りだな。
蒼白に色を塗り替えた踏み台が逃げようとした為、踏んでやればグエッと音が鳴った。
「っ…て、めぇッ、汚ねぇ足を今すぐ退けぐぁふおっ」
ちょっとグリッとしたら意味不明なメロディを奏でる踏み台。
なんとなく鍵を閉めたが、良く考えたら今から出掛けるんだった。
財布、財布。
「ちょっ、痛い痛いっ待っ」
踏み台からクラスチェンジした雰囲気イケメン財布を鷲掴み、アパートの階段を下りれば、賑やかな音が鳴ってるような気がするが空耳だろう。
「あだっ、うがっ、やめっ」
アパートから5分程の距離にコンビニが見える。良かった、近くにあって。
「ちょっ、マジ痛いから放せって!」
可笑しなことを言う。財布はしっかり身につけて置かねば、盗まれてしまうだろうに。多分、財布語の翻訳がちゃんと出来てないから意味が解らないのかもしれない。普通の人間に正確な財布語の翻訳は無理だから仕方ないね。
―ピポピポンッ―
「いらっしゃっ……い、ま……」
元気良く声を掛けてきた店員さんが、後半何故か微妙になり、店内に居た数名の客が、こっちを見た後すぐに目を逸らした。
おそらく髪の寝癖を見ない振りしてくれたのだろう。なんて思いやり溢れたお客さん達。
カゴに食べ物を入れまくり、レジで雰囲気イケメン財布をグイッと押し出せば、財布がお金を払う。お金を自動で払う財布って便利ですね。世の中は日々進歩し、いろいろ便利になったものだ。勿論財布は鷲掴んだままですが何か。だって盗まれたら困るし。
店員さんも私の便利財布をチラチラ見てたし、盗む気かもしれない。か弱い私には自衛手段がないから、後をつけられ奪われたらどうしようもない。
この街の治安に、若干の不安を覚えながらアパートへ帰宅した。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
人見知りと悪役令嬢がフェードアウトしたら
渡里あずま
恋愛
転生先は、乙女ゲーの「悪役」ポジション!?
このまま、謀殺とか絶対に嫌なので、絶望中のルームメイト(魂)連れて、修道院へ遁走!!
前世(現代)の智慧で、快適生活目指します♡
「この娘は、私が幸せにしなくちゃ!!」
※※※
現代の知識を持つ主人公と、異世界の幼女がルームシェア状態で生きていく話です。ざまぁなし。
今年、ダウンロード販売を考えているのでタイトル変更しました!(旧題:人見知りな私が、悪役令嬢? しかも気づかずフェードアウトしたら、今度は聖女と呼ばれています!)そして、第三章開始しました!
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています
きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...
構造理解で始めるゼロからの文明開拓
TEKTO
ファンタジー
ブラック企業勤めのサラリーマン・シュウが転生したのは、人間も街も存在しない「完全未開の大陸」だった。
適当な神から与えられたのは、戦闘力ゼロ、魔法適性ゼロのゴミスキル《構造理解》。
だが、物の仕組みを「作れるレベル」で把握できるその力は、現代知識を持つ俺にとっては、最強の「文明構築ツール」だった――!
――これは、ゴミと呼ばれたスキルとガラクタと呼ばれた石で、世界を切り拓く男の物語。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
異世界に転生!? だけどお気楽に暮らします。
辰巳 蓮
ファンタジー
「転生して好きに暮らしてください。ただ、不便なところをちょっとだけ、改善していってください」
とゆうことで、多少の便宜を図ってもらった「ナッキート」が転生したのは、剣と魔法の世界でした。
すいません。年表書いてたら分かりにくいところがあったので、ちょっと加えたところがあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる