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念願のチャラい美形になったけど、なんか思ってたのと違う≪桐人?≫【1】
しおりを挟む教室の窓から別の教室を眺める。
コの字型に建つ校舎の向かいの教室には男女のカップルらしき人影。
「何見てるの?」
「ん?俺ってカッコいいなってガラスに映る自分見てた。」
「あはっ。自分でカッコいいとか言っちゃう?」
「だって俺、カッコいいだろ?真里ちゃん。」
そう言って真里ちゃんの肩を抱き寄せると、真里ちゃんの頬がほんのり色づいた。
カップルらしき人影が誰かなんて分からないだろうけど、念のため真里ちゃんに人影が見えないように立つ。
「新しく出来た綿菓子のお店、すっごく可愛くて美味しいんだって。これから行ってみない?」
「今日はちょっと無理かな。せっかく誘ってくれたのにごめんね。…また今度誘ってよ。」
「ん、わかった。」
ちょっとしょんぼりな真里ちゃんの髪を優しく鋤く。
「そんな顔しないでよ。綿菓子屋さんは真里ちゃんと一番最初に行くよ。」
そう言うと真里ちゃんは元気になり、手を振って帰って行った。
ガラスを見る。
ミルクチョコ色の髪を後ろで結んだ、酷く不機嫌なイケメンが映っている。
さっきまで見ていた向かいの教室には、まだ二人が居る。
俺には二人が良く見え、何処の誰か分かる。こんな時視力の良さが恨めしい。
視線の先でピンクの髪の美少女と、赤紫の髪したイケメンがキスしてる。胸の奥にどす黒い感情が芽生えた。
桜の下で舞う花弁と戯れるような彼女を最初に見つけ、目が離せなくなった。
子どもみたいに笑う彼女の笑顔が見たくて笑わせた。
よく迷子になったり、何もないとこで転けそうになる彼女の事が放っておけなくて、側を離れ難くて…
この感情につける名は…
あ~…どうしよ。今めっちゃ何か蹴りたい。力の限り蹴りたい。
そうだ。蹴る物探しに行こう。そうしよう。
蹴る物を探して廊下を歩いていたら石田に会った。
「蹴っていい?」
「お前が性転換してクール系美人になったら蹴られてもいいし踏まれたい。」
ちょっと引いた。
チリンッ
「ん?…今なんか聴こえ…」
石田が固まっている。
「石田?」
返事がない。ただの屍のようだ。
チリン
チリーン
鈴の音のようなそれがハッキリと聴こえた時、いつの間に現れたのか、青い髪の青い瞳をした美人が居た。
「あ…」
その人を見た瞬間すべてを思い出した。
「あああーッ!なんたる失態!うわ~最悪だ…」
チャラい美形になって、美しい高校生達と仲良くキャッキャグフフするという崇高な目標を達成出来なかった…。
号泣していいですか?
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