怠惰な蟲使い(仮)

胸の轟

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〈2〉

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倒れた魔物のあげる土埃が収まった先に、私の愛するアロイス様が。


「アロイス!ユリウス!」
「「ケイトッ」」


縛られた私をアロイス様が見つめる。


その瞳は、すぐにでも愛する私の元へ駆けつけたいと如実に語りかけてくる。


嗚呼!アロイス様!私も今すぐあなた様の元へ駆け出したい。


アロイス様ですら、まだ触れたことのない身体を、汚らわしい男に為す術もなく触れられ、ロープで繋がれている私をどうかお許しください。


「お前を倒す!」

アロイス様達が、私を取り戻すべく動こうとした矢先、男の仲間が。


「ジキタリス様!ーーー」


何事かを告げられた憎きジキタリスが、私のロープを引き撤退しようとしたその時ー


「させるか!」


ユリウスの放った矢が、ロープを見事断ち切ってくれた。

さすがアロイス様の弟だわ!


一瞬の迷いの後、ジキタリスは撤退。


どこまでも往生際の悪い姑息な男は、炎を置土産にして行ったわ!

アロイス様!アロイス様!助けてください!


「「ケイト!」」


切羽詰まった二人の声が、私の危機感を煽る。ーーイヤッ死にたくない!


「ユリウス!これを!」


アロイス様から投げられた魔石を鏃に、天井めがけ矢を放つユリウス。

途端、勢いよく水が降り注ぎ、無事炎を消し去っていった。


「アロイス!ユリウス!」
「ケイト!」


アロイス様が駆け寄り、私を抱きしめてくれたわ。

もしもユリウスが、ロープを断ち切ることに失敗していたら、私はあのまま連れ去られ、そしてその後はーー卑劣なあの男のこと、私の身体を…

自分の考えにゾッとしてしまう。待ち受けていたであろう行く末。ーーそうならずにアロイス様に抱かれている状況に、心底安堵する。


「ケイト、ケイト、ケイト!ああ、ケイト…無事で良かった。」

「アロイス…」
「もう二度と君に会えないかと…、君を失うかもって…。」


申し訳ないと思いながら、アロイス様が誰よりも何よりも、私を大事に想ってくれてることを感じ、それが嬉しいと胸がどうしようもなく震える私を知ったなら、あなた様は私を嫌うでしょうか。


「ケイト、俺さ、やっと自分の気持ちに気づいたんだ。俺は「ストーップ。そういうのは二人きりの時にお願いします。」


誰?折角のアロイス様の愛の言葉を遮ったのは!ーー代償を払わせてやるから覚悟することね。


ロープを解いてくれたアロイス様が、もう一度抱きしめてくれた後、私の手を握りしめる。


アロイス様の瞳が、不安げに揺れていることに気づいてしまった。


愛する私を奪われた事実が、アロイス様を苦しめているのね…。


ジキタリスの目的が分からない以上、これまでのように離れて暮らすのは得策ではないように思えてならない。

出来ることなら何時だって一緒に過ごしたいけれど、結婚をするまではひとつ屋根の下、暮らすようなはしたない真似は許されないもの。だから我慢して別々の家で暮らしていたけれど、いつまたジキタリスに拐われないとも限らないし、離れているとアロイス様が不安で壊れてしまいそう。



取り敢えずお兄様に相談してみましょう。お兄様なら必ず解決してくださるわ。


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