怠惰な蟲使い(仮)

胸の轟

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6.

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多分聞き間違いに違いない。休み満喫中なのに、仕事の話持ってくるはずがない。

「あ?今何て?」

ちょっぴり声が冷たくなったのは仕方ない。

「だ、だから、アロイスが憲兵に連れて行かれました。」


チッー

どうやら聞き間違いじゃなかったらしい。ー何で聞き間違いじゃないんだよ。

休みの俺には関係ない。


「(どうでも)良いヤツだったね。ご冥福をお祈りします。」

ベッドでゴロゴロしたまま菓子を食べる。

ジンジャーブレッドがそろそろ無くなりそうだな。


「ちょっ、まだ死んでないから!多分死にはしないと思うんですけど、頼みますよ~。」


詳しく聞くと、偽憲兵に拐われたらしい。

「死なないなら別に放っておいたって良いんじゃないの?」

「いやいや駄目ですって!あの女絡みだから、きっと性奴隷とかにされちゃいますって!」

「別に良いんじゃないの?アイツエロいこと好きだし。」

「いやいや駄目ですって!」
「面倒くさいな、もう~。」

直ぐ面倒事を押し付けられる年下って辛い。出世したい。面倒を押し付けられない地位になりたい。ーーあ、やっぱ今の無しで。出世とかしたら、それはそれで絶対面倒なことがある。




さよなら俺の自堕落ライフ。こんにちは面倒事。




深夜に忍び込んだ屋敷の警備のずさんさよ。難なく目的の部屋到着。

いかにも成金ですって感じの、趣味の悪いピカピカした目に優しくない書斎だ。


「お邪魔してま~す。」
「!?ーッ」


書類仕事をしていた男が、大声を出す前に距離を詰め、喉元にナイフを当てる。


なんか若いな。ーケイトのパパンじゃないなこれ。


「ここの主は?」
「親父なら留守だ。」

喉元にナイフを当てられてるのに、動揺もない。


「こんな状況なのにお兄さん余裕だね。」

場馴れしてるのか、何か奥の手でもあるのか。ーーもしくは単に俺が舐められてるだけって可能性も。


「そんなことないさ。内心ヒヤヒヤしてるぜ?」

「まぁいいや。ケイトはどこ?」
「さぁ?」

「あのさ、そういう面倒くさい流れはいらないの。俺早くお家帰りたいの。家でゴロゴロしながら菓子を食べたいの。どうせ喋ることになるんだから、さっさと言ってほしいんだけど。」

「菓子好きか?」
「好きだよ。」

「引き出しに珍しい菓子が入ってるんだ。やるよ。」

「ふ~ん。ーー動いていいなんて言ってない。」

「悪い悪い、菓子を出してやろうと思っただけだ。」


ナイフを当てたまま引き出しを開ければ、見たことない包みが目に入る。ーー高級菓子?


「包み開けて。ー余計な動きしたら分かってるよね。」

「分かってるさ。」

ガサガサー

「ほら、開けたぜ。」


中身はクッキーだった。全然珍しくないけど、高級菓子ならきっと美味しいね。


「食べて。」
「ん、ーーこれで満足か?」

男が躊躇わずクッキーを食べる。ーー毒はないみたいだね。


男の様子を観察し、クッキーを食べた。

「…」


確かに毒はなかった。ーー毒は。


「やってくれたねお兄さん。」
「さて、何のことやら。」

その声は楽しげだ。


「どうだ?気分は。」
「気分?気分ねぇ…。どう思う?」

「ククッ、さぁ?俺には見当もつかないな。」


人に媚薬入りクッキー食べさせといて、まったく白々しい。


「なぁ、辛いんじゃないのか?」

「もし俺が辛いとしたら、それは完全にお兄さんのせいだよね。」
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