17 / 47
15.
しおりを挟む防具と武器を身に付け、いかにも冒険者といった出で立ちの麗しい若者二人が、愛らしい町娘を気遣う。
「疲れたろ?エルザ。ここらで一休みしよう。」
「ええ。」
冒険者を生業にしている二人は兎も角、ただの町娘でしかない体力のないエルザは、迷いながら歩き続けたことにより体力は限界に近い。
「ほら、エルザ。ここに座って。」
布を敷いた木陰に、エルザの手を引いてユリウスが座らせた。
「ありがとうユリウス。」
微笑み合う二人に気を利かせたアロイスが、周囲の確認を言い出し離れた。
「足は痛まない?」
「少し。」
「見せて。──ああ、少し擦れて赤くなってるね。薬つけてあげる。」
「ぇえ!?あ、あああの、大丈夫よ!?」
慌てるエルザに構うことなく、ユリウスはエルザの足に触れ、擦りむいた箇所にじっくり丹念に薬を塗る。
肌に直に触れられ、エルザの体温があがり頬が染まっていく。
「ほら、終わったよ。」
満足気に頬笑むユリウスがちょっとだけ憎らしい。
意識しているのは私だけなの?エルザはなんとなくモヤモヤした気持ちになり、ユリウスの側を離れ泉へ向かい──
突如茂みから現れたジキタリスに囚われの身に!
「キャアッ!!」
「ジキタリス!?」
「これはこれは、ユリウスさんではないですか。偶然ですね。」
「ユリウス!」
羽交締めにされたエルザはもがくが、押さえられた身体はビクともしない。
「ふざけるな!エルザを離せ!」
「おっと、それ以上近づかないでもらおうか。この女がどうなってもいいのか?」
「くっ!」
エルザを人質に取られ動けないユリウスを尻目に、ジキタリスは素早くエルザの首に首輪を嵌める。
「これ、何だと思いますか?」
「・・・」
睨み付けてくるユリウスに、ジキタリスがさも面白そうに言う。
「実はこれ、装着すると少しずつ絞まっていく呪いのアイテムなんですよ。」
「なっ!?」
「ユリウス!」
不安げに名を呼ぶエルザを、安心させるように笑って見せるが、果たして上手く笑みを見せられているのか。エルザと同じように不安を感じてユリウスは、自分の顔が強張っているのが分かった。
「この女が大事みたいだなユリウス。ククッ、目の前で女がもがき苦しみながら死ぬのを見るのはどんな気分ですか?」
「ジキタリス!てめぇ!!」
「ククッ!クハハッ!今の貴方のその瞳、顔、最高ですよ。人を視線だけで殺せそうな瞳、憎しみで歪むそのお綺麗な顔にゾクゾクします!──私も鬼ではありません。良いものを見せてくれたお礼に、貴方にチャンスをあげましょう。首輪の鍵を残してあげますよ。貴方はそれで外せばいいんです。──では私はこれで失礼します。」
「待て、ジキタリス!」
あっという間に消えたジキタリスの代わりに、ジキタリスの部下と数多くのゴブリンが現れた。
「クソッ!」
接近戦が苦手なユリウスにとって、非常に不利な戦いが幕を上げようとしていた。
1
あなたにおすすめの小説
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ダンジョン嫌いの元英雄は裏方仕事に徹したい ~うっかりA級攻略者をワンパンしたら、切り抜き動画が世界中に拡散されてしまった件~
厳座励主(ごんざれす)
ファンタジー
「英雄なんて、もう二度とごめんだ」
ダンジョン出現から10年。
攻略が『配信』という娯楽に形を変えた現代。
かつて日本を救った伝説の英雄は、ある事情から表舞台を去り、ダンジョン攻略支援用AI『アリス』の開発に没頭する裏方へと転身していた。
ダンジョンも、配信も、そして英雄と呼ばれることも。
すべてを忌み嫌う彼は、裏方に徹してその生涯を終える……はずだった。
アリスの試験運用中に遭遇した、迷惑系配信者の暴挙。
少女を救うために放った一撃が、あろうことか世界中にライブ配信されてしまう。
その結果――
「――ダンジョン嫌いニキ、強すぎるだろ!!」
意図せず爆増するファン、殺到するスポンサー。
静寂を望む願いをよそに、世界は彼を再び『英雄』の座へと引きずり戻していく。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
道化たちの末路
希臘楽園
ファンタジー
母亡き後、継承権もない父と側室母娘が公爵家を狙い始めた。でも私には王太子という切り札がいる。半年間、道化たちが踊るのを、私たちは静かに楽しんで見ていた。AIに書かせてみた第3弾。今回も3000文字程度のお気楽な作品です。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる