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〈2〉
しおりを挟むジグに会えた嬉しさで浮き立っていた気持ちは、あっという間に沈み、そんな私に気付きもせず、二人は暫く話した後で別れた。
「ジグ!」
立ち去ろうとしていた姿に声をかけた。
「ん?──やぁ、キャサリン。久しぶりだね。」
「そ、そうね。」
「お店ずっと閉めたままだよね?」
もしかして訪ねてくれていたの?──私を忘れずにいてくれたことに嬉しさを覚える。
「・・・ちょっといろいろあって。」
「もう開けないとか?」
「それは・・・、なんとも言えないかな。今はまだ分からないわ。」
「ふ~ん。──俺行くとこあるから、またね。」
折角会えたのに、ろくに話さないうちにジグが行っちゃう!
「ジグ!」
「ん?」
「・・・」
焦って呼び止めたけど、言うことが見つからない。どうしよう、何か言わなきゃジグが行っちゃう!
「え~と・・・?」
気付けば言うつもりのなかった言葉が口をつく。
「・・・・・・・・・の?」
「ごめん、聞き取れなかった。何?」
何でもないと言おうとしたのに、裏腹にもう一度繰り返してしまう。
「こ、恋人なのって聞いてるの!一回で聞き取りなさいよ!」
「恋人って?」
「さっきまで一緒に居た娘よ!」
「違うよ。」
やっぱり聞くんじゃなかった。何でもないって言えば良かった。──でも、もう遅い。
ああ、何で私はこんなに腹を立ててるの?イライラが収まらないまま、口から出るのはジグを責める言葉。
高ぶるまま声が大きくなるのも止められない。
「キャサリン、声大きい。皆見てるよ。」
そんなこと言われなくても分かってるわよ!
冷静に注意されて更に苛立つ。誰のせいよ!
「アンタのせいでしょ!この変態!」
「変態って・・・。キャサリンの中では、女の子を抱きしめたら変態なの?」
「それはッー、と、兎に角アンタは変態よ!」
「いや、意味が分かんない。」
「変態のアンタはきっと無理やり抱きしめたんでしょ!だって恋人じゃないんだものね。恋人でもない娘が、あんなことを許すわけないものね!」
「最初に抱きついてきたのは向こう「なんですって!!」
ジグの話じゃ恋人でもなんでもないって言うのに、自分から抱きつくなんて、どこまで恥知らずな女なの!?
馴れ馴れしくするなんて許せない!女も女ならジグもジグよ!鼻の下伸ばして抱きしめて!
「あのさ、キャサリン。」
「な、何よ。自分の仕出かしたことの言い訳でもする気?」
なんであんなことしてたのか、言い訳があるなら聞いてあげる。その代わりまたやったら許さないんだから!
「仕出かすって何?そもそもなんで俺がキャサリンに言い訳しなきゃならないのさ。」
その言葉にハッと我にかえる。──あ、・・・私、何を・・・
「そ、それ・・・はっ・・・、でもっ・・・だって・・・」
まるでジグの恋人みたいなこと思ってた自分に気付く。ジグの言う通り、私に言い訳する必要なんて無い。──無い・・・けど・・・、気持ちの収まりがつかず唇を噛む。
「じゃあ、俺は用があるから行くね。」
この場から一刻も早く立ち去りたいのを隠さずに、私に背を向けたジグに、もう声をかけるかことは出来なかった。
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