怠惰な蟲使い(仮)

胸の轟

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〈2〉

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より多く欲望を満たす機会を得るために、大事なことは人それぞれ違うと思うが、危機察知こそ一番重要だと個人的には思っている。




今日の獲物の腹を裂いたところで悪寒が走った。

禍禍しい何かが居る!


ここまでたどり着くのには、まだまだ距離があるというのに、身体の震えが止まらない。

絶対的捕食者。出会えば喰われるのはこちらだと、本能が告げている。

これほどまでの力の差を感じたことがあっただろうか?否、無いと言い切れる。


相手との力量差が分からない馬鹿野郎や、強ければ強い程戦いたいとか言い出す頭おかしい奴等と違い、そんな命知らずなことはする気になれない。

君子危うきに近寄らず。長生きしてより多く殺しを楽しむ方がよっぽど有意義だ。


そんな訳で速攻その場から走り去った。──というのに



「良いもの持ってるね。」

いつの間にそこに居たのか、肩に手を置かれていた。

特に力を入れるでもなく、簡単に振り払える程度の力だが、振り払った瞬間敵意有りとみられ、殺られそうな気がしてならない。多分気のせいじゃないだろう。


もしかしたら、敵意が有ろうが無かろうが、こうして声を掛けてきた時点で殺る気なのかもしれないが。

言葉から何か目当ての物があり、声を掛けてきたのは明白。


何だ?何が欲しい?

たった今接触したというのに、何故目当ての物を持っているって分かった?それは外見から直ぐに分かる物を言ってるのか?・・・本当に持っているのだろうか?人違いで声を掛けた可能性も捨てきれない。

もし人違いだったとしたら?

八つ当たりで殺されやしないだろうか・・・・・・・・・?

・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・。

殺られる前に相手を刺して逃走ーー出来る気がしない。武器に触れる前に確実に自分が殺される。

「何で黙ってるの?無視?無視ってことでいい?」

「とんでもございませんです!」
「ふーん。ならいいけど。」

ヤバいヤバいヤバいヤバい考え事して返事しなかったせいで無視したことになるとこだった!

ああ、もう恐ろしくて振り返れない。


「ちょうだい?」


うっかり持ってきてしまった内蔵を震えながら差し出す。


「バカなの?欲しいって言ったらこれでしょ。察し悪。」

「ヒィッ!?」


身体をまさぐられる。良いものって身体!?

狙いは貞操か生命か


「見っけ。」



持ってた菓子を取られた。


「次は察し良くなってね。」


言い終えるなりあっという間に気配が消えたが、息を殺し神経を研ぎ澄ませる。──どうやら遠くまで去ったらしい。もう何も感じ取れない。

恐怖から解放された身体から力が抜けた。


「は、はは・・・助かった・・・」


どこの誰かは分からないが一言言いたい。



菓子が欲しいとか分かるかーーーッ!!





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