怠惰な蟲使い(仮)

胸の轟

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32.??〈1〉

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消えた足場、首に食い込むロープ──人生の最後を唐突に思い出した。

惨劇に刺激され・・・。



眼下に見えるのは、フレンジーボアに襲われた母親の姿。側に寄るまでもなく、既に息絶えているのが分かる。

安全地帯の大木から地に下り、近くから母親を見れば、裂かれた腹からは内蔵が溢れていた。


「・・・ぁ・・・ああ・・・・・・」


なんてこと・・・何故・・・何故・・・何故何故何故何故何故!!何故今頃になって前世を思い出す!!!

もっと早く!もっともっともっと早く!何故思い出さなかった!!


目の前にある母親の無惨な姿に、自分を責めずにはいられない。

・・・ああ
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・もっと早く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・思い出したかった。



血の匂いに誘われて、獣や魔物が来るのを否定出来ない状況の今、さっさと立ち去るのが賢い選択なのは分かってる。それでも直ぐに立ち去る気になれなかった。

だって母親が 、そこに居る。──無惨な姿で。
小刻みに震える手を母親に伸ばし、溢れた内蔵を手に取り匂いを嗅ぐ。


「ああ・・・懐かしく・・・芳しい・・・」


楽しむようにゆっくりと吸い込めば、充実していた日々のあれこれが鮮やかに蘇る。


こうして香りを楽しんでいると、如何に時間を無駄に過ごしていたのかが分かる。ああ、本当に忘れて過ごしていた日々が憎らしい。










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