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いかにも冒険者といった服装の若者が二人。
一人は剣を、もう一人は弓を携えている。
二人の周りには仲間と思われる数名と、魔物が地に伏し、よく見れば立っている二人も満身創痍といったところか。
「ハァッハァッ…」
「ハァッ…ハァッ…アロイス、これくらいでバテるなんて運動不足なんじゃない?」
「ハッ…ユリウス、お前こそ鍛え直せば?バテバテじゃないか。」
俺たちは負けない。
負けるわけにはいかない。
決意を込め敵を睨む。
それは2メートル近い魔物、大猿だ。
どちらも相手の出方を見定めるように動かない。ーーが、魔物が一瞬早く攻撃を仕掛けた。
走り寄る魔物にアロイスが駆け出し、剣を振るう。
「クッ」
いつものアロイスであれば、その一振りで容易く魔物を仕留められただろう。
だが今は満身創痍。一撃は致命傷を負わすこと叶わず、魔物の腕がアロイスを殺すべく伸ばされた。
「アロイス!」
すかさずユリウスが矢を放つ。
矢は魔物の目を貫き、よろめく魔物にアロイスが渾身の一撃を繰り出した。
グワァァアーー
ドドーン!!
断末魔とともに魔物が倒れ土埃が立った。
「……」
魔物を倒したというのに、アロイスは油断なく前方を見据える。
土埃の向こうに、いつの間に現れたのか、顔半分を仮面で隠した男が立っていた。
そして男の横には
「アロイス!ユリウス!」
「「ケイトッ」」
彼らの幼なじみが縛られた姿で立って居た。
「まさかアレを倒すとは思いませんでしたね。」
「ケイトを返せ!」
「嫌だと言ったら?」
「お前を倒す。」
「クッ、ハハハッ!この私を倒すだと?アレを倒したくらいで、調子に乗るなよ若造が!」
仮面の男の放つ殺気に、アロイスとユリウスが気圧される。
けれどそれも一瞬。
「お前を倒す!」
剣と弓を構える二人と仮面の男の間に火花が散り、一触即発の緊迫した場に、突如乱入した影。
「ジキタリス様!───」
何事かを告げられたジキタリスと呼ばれた仮面の男は、舌打ちするとケイトのロープを引き撤退をー
「させるか!」
ユリウスの放った矢が、ジキタリスとケイトを繋ぐロープを見事断ち切る。
一瞬の迷いの後、ジキタリスはケイトを残し撤退した。
アロイス達とケイトを隔てる炎を置き土産にして。
「「ケイト!」」
「ユリウス、これを!」
アロイスから投げられた魔石を鏃に、天井めがけ矢を放つ。
途端、勢いよく水が降り注ぎ、無事炎を消し去った。
「アロイス!ユリウス!」
「ケイト!」
アロイスが駆け寄り、ケイトを抱き締めた。
「ケイト、ケイト、ケイト!ああ、ケイト…無事で良かった。」
「アロイス…。」
「ケイト、俺さ、やっと自分の気持ちに気付いたんだ。俺は「ストーップ。そういうのは二人の時にお願いします。」
「なんかここ熱くね?炎があったせいかな。」
「いつまでそうしてる気?さっさとロープ解いてやんなよ。」
「そ、そうだな!」
気まずげなアロイスとケイトを、仲間達が生暖かい目で見守る。
ケイトのロープを解いたアロイスは、もう一度抱き締めた後、ケイトの手を握った。
再びジキタリスが現れ、またケイトを連れ去るかもしれない。
「大丈夫。」
アロイスから何かを感じ取り、ユリウスが呟く。
「帰ったら鍛え直しだな」
「俺はまだまだ強くなれる!成長期は終わってないからな。」
「お前ら…」
「後ろ向きなんてアロイスらしくない。」
「そう、だな…。」
ジキタリスの目的が何なのか、謎のままだ。
この先も幾度となく戦うのかもしれない。
けれど、仲間達が居る。
何度危機が訪れようと、仲間達が居ればきっと乗り越えられる。
アロイスの胸に光が灯った。
「これにてダンジョンショーは終了です。またのご参加お待ちしております。」
「出口に向かいまーす。慌てず騒がず移動してください。万が一魔物が襲って来ても、スタッフが対処しますので安心してください。ーそこのお姉さん、勝手は止めてね。」
たまに居るんだよね。何食わぬ顔で勝手するヤツ。
ちゃんと注意事項は伝えてあるし、守らないヤツの生死なんか知ったこっちゃない。まぁ金と権力があるヤツは助けるけど。
世の中そんなもんです。
「あの…、すみませんでした。」
勝手女が謝ってきた。
「あー…はい。」
「つい珍しくて。あの、スタッフさんですよね?ショーの間見かけなかったですけど。」
「まぁいろいろやることあるんで。」
アロイスと対峙したり。
「やっぱりスタッフともなると忙しいんですね。私、ショー初めて見たんですけど、凄かったです!炎とか水とか!…大丈夫なんですか?あんなに派手なことして。」
「あれば本物じゃなく装置で見せてるだけです。…がっかりさせちゃいましたかね。」
「いえッそんなことは!──そう言えばケイトさん?も冒険者ですか?」
「一般の方です。」
「え、じゃあどうして?」
「"本日のお姫様"ってヤツで、ヒーローに助けられる役です。」
「素敵な役ですね!」
役を射止めるのに大金かかるけどね。
金があるならゲットすれば?
「アロイス御用達、匂袋はいかがですかー?」
「ユリウスが魔物を仕留めた矢はいかがですかー?」
ダンジョンを出ればスタッフが、グッズを売り込んでいる。
街に帰ってから売れば良いと思うかもしれないが、二人の勇姿に興奮してるうちに売り込んだほうが売上が良いんだよね。
「お疲れ様でしたー。暫く休憩後、馬車が出まーす。良かったらグッズ見てってくださいねー。」
一人は剣を、もう一人は弓を携えている。
二人の周りには仲間と思われる数名と、魔物が地に伏し、よく見れば立っている二人も満身創痍といったところか。
「ハァッハァッ…」
「ハァッ…ハァッ…アロイス、これくらいでバテるなんて運動不足なんじゃない?」
「ハッ…ユリウス、お前こそ鍛え直せば?バテバテじゃないか。」
俺たちは負けない。
負けるわけにはいかない。
決意を込め敵を睨む。
それは2メートル近い魔物、大猿だ。
どちらも相手の出方を見定めるように動かない。ーーが、魔物が一瞬早く攻撃を仕掛けた。
走り寄る魔物にアロイスが駆け出し、剣を振るう。
「クッ」
いつものアロイスであれば、その一振りで容易く魔物を仕留められただろう。
だが今は満身創痍。一撃は致命傷を負わすこと叶わず、魔物の腕がアロイスを殺すべく伸ばされた。
「アロイス!」
すかさずユリウスが矢を放つ。
矢は魔物の目を貫き、よろめく魔物にアロイスが渾身の一撃を繰り出した。
グワァァアーー
ドドーン!!
断末魔とともに魔物が倒れ土埃が立った。
「……」
魔物を倒したというのに、アロイスは油断なく前方を見据える。
土埃の向こうに、いつの間に現れたのか、顔半分を仮面で隠した男が立っていた。
そして男の横には
「アロイス!ユリウス!」
「「ケイトッ」」
彼らの幼なじみが縛られた姿で立って居た。
「まさかアレを倒すとは思いませんでしたね。」
「ケイトを返せ!」
「嫌だと言ったら?」
「お前を倒す。」
「クッ、ハハハッ!この私を倒すだと?アレを倒したくらいで、調子に乗るなよ若造が!」
仮面の男の放つ殺気に、アロイスとユリウスが気圧される。
けれどそれも一瞬。
「お前を倒す!」
剣と弓を構える二人と仮面の男の間に火花が散り、一触即発の緊迫した場に、突如乱入した影。
「ジキタリス様!───」
何事かを告げられたジキタリスと呼ばれた仮面の男は、舌打ちするとケイトのロープを引き撤退をー
「させるか!」
ユリウスの放った矢が、ジキタリスとケイトを繋ぐロープを見事断ち切る。
一瞬の迷いの後、ジキタリスはケイトを残し撤退した。
アロイス達とケイトを隔てる炎を置き土産にして。
「「ケイト!」」
「ユリウス、これを!」
アロイスから投げられた魔石を鏃に、天井めがけ矢を放つ。
途端、勢いよく水が降り注ぎ、無事炎を消し去った。
「アロイス!ユリウス!」
「ケイト!」
アロイスが駆け寄り、ケイトを抱き締めた。
「ケイト、ケイト、ケイト!ああ、ケイト…無事で良かった。」
「アロイス…。」
「ケイト、俺さ、やっと自分の気持ちに気付いたんだ。俺は「ストーップ。そういうのは二人の時にお願いします。」
「なんかここ熱くね?炎があったせいかな。」
「いつまでそうしてる気?さっさとロープ解いてやんなよ。」
「そ、そうだな!」
気まずげなアロイスとケイトを、仲間達が生暖かい目で見守る。
ケイトのロープを解いたアロイスは、もう一度抱き締めた後、ケイトの手を握った。
再びジキタリスが現れ、またケイトを連れ去るかもしれない。
「大丈夫。」
アロイスから何かを感じ取り、ユリウスが呟く。
「帰ったら鍛え直しだな」
「俺はまだまだ強くなれる!成長期は終わってないからな。」
「お前ら…」
「後ろ向きなんてアロイスらしくない。」
「そう、だな…。」
ジキタリスの目的が何なのか、謎のままだ。
この先も幾度となく戦うのかもしれない。
けれど、仲間達が居る。
何度危機が訪れようと、仲間達が居ればきっと乗り越えられる。
アロイスの胸に光が灯った。
「これにてダンジョンショーは終了です。またのご参加お待ちしております。」
「出口に向かいまーす。慌てず騒がず移動してください。万が一魔物が襲って来ても、スタッフが対処しますので安心してください。ーそこのお姉さん、勝手は止めてね。」
たまに居るんだよね。何食わぬ顔で勝手するヤツ。
ちゃんと注意事項は伝えてあるし、守らないヤツの生死なんか知ったこっちゃない。まぁ金と権力があるヤツは助けるけど。
世の中そんなもんです。
「あの…、すみませんでした。」
勝手女が謝ってきた。
「あー…はい。」
「つい珍しくて。あの、スタッフさんですよね?ショーの間見かけなかったですけど。」
「まぁいろいろやることあるんで。」
アロイスと対峙したり。
「やっぱりスタッフともなると忙しいんですね。私、ショー初めて見たんですけど、凄かったです!炎とか水とか!…大丈夫なんですか?あんなに派手なことして。」
「あれば本物じゃなく装置で見せてるだけです。…がっかりさせちゃいましたかね。」
「いえッそんなことは!──そう言えばケイトさん?も冒険者ですか?」
「一般の方です。」
「え、じゃあどうして?」
「"本日のお姫様"ってヤツで、ヒーローに助けられる役です。」
「素敵な役ですね!」
役を射止めるのに大金かかるけどね。
金があるならゲットすれば?
「アロイス御用達、匂袋はいかがですかー?」
「ユリウスが魔物を仕留めた矢はいかがですかー?」
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