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しおりを挟むそれは気の遠くなるような遥か昔の物語り
獲物を求め森をさ迷っていると、私など絶対に敵わないであろう強大な力を感知し、とっさに昨夜食べた少女に擬態した。
ガサガサと繁みをかき分け現れたのは、黒髪の男だった。
「ウヒョオッ!美幼女発見!幸先良い!ここから俺のチーレムが!」
何かよく分からないことを興奮しながら叫ぶ男。
「ねぇ君名前──ん?・・・お前よく見たら人間じゃねぇじゃん。」
鑑定であっさり人間ではないとバレた私は、男にテイムされ、自由を奪われ男の住み処まで連れて行かれた。
よく分からないが男は異世界?という場所から魔王を倒すために召喚された勇者だと言う。
人間は魔王という理不尽な力の権化に理不尽に多くの命を刈り取られると、どうにかしようと勇者という者で対抗する。──前回の魔王が倒されてから、まだ次の魔王は生まれていないのに、何故勇者が?
「おいサクラ、脱げ。」
サクラとは男が私につけた名だ。男の国に咲く花だそうだ。
人間は一部の魔物を除き、私のような魔物は食べないと思っていたのだが違ったようだ。
世は弱肉強食。私のようなさして力の無い存在は他者に喰われるのは自然の摂理。
悪足掻きで暴れようかとも思ったが、どう頑張っても少しも傷付けられそうにない。諦めて服を脱いだ。
「はぁ、はぁ、サクラめっちゃ可愛い。可愛いよサクラ。ちゅ、ちゅ、れろっ・・・ちゅぱ、れろっ、はぁ、はぁサクラのちっぱい美味しい。」
私はとても美味だと思われているらしい。美味いものを食べられることに興奮した勇者が鼻息を荒くしながら私をなめ回し、下半身の穴に指を潜らせ何か──恐らく肉の柔らかさだろう──確かめるような動きをする。
暫く弄くった後、ズボンを脱ぎ、勇者が下半身に生えてるモノを私に突き刺しにかかる。
アソコから肉を溶かす液体を出し、私を中から溶かして食べる気か。最後の悪足掻きで、少しでも侵入速度を遅らせてやろうとキツく閉ざす。
「く、うっ・・・きっつきつだな。まだ誰も知らない場所を俺が暴くとか最ッ高!」
悪足掻きが滑稽だったのか、勇者の顔に笑いが浮かぶ。
私の抵抗も意味無く、結局ズブズブと根元まで入ってしまい、勇者は徐に抜き差しを繰り返し始めた。
「はぁ、はぁ、はっ、はぁっ、すげぇ締め付けっ!」
パンッパンッパンッパンッ
「はぁっ、はっ、すげぇ、気持ちいっ、サクラっ、サクラっ・・・出すぞ!」
私の中にどくどくと熱い溶解液が吐き出され、ついにグズグズに溶かされながら喰われていく瞬間が・・・
訪れなかった。
どうやら勇者は溶解液を生成出来ないらしい。
ズチュッズチュッ
「サクラ、お前の締め付け最高っ!」
パンッパンッパンッパンッ
「おらっ、おらっ、気持ちいいか!今日もお前の最奥に出してやるから俺の子を孕めっ!」
あの日以来、勇者は私の中に白濁を何度も出している。
擬態していない状態の私には、性別も無ければ生殖器も存在しない。
この姿は擬態しているにすぎず、交尾をしたからといって、私が孕むはずもないというのに、いったい勇者は何がしたいのか。
魔物や動物と同じで、人間のメスも強いオスが好みらしく、今では勇者の望み通り女ばかりの仲間が側に侍り、競うように勇者の子種を搾り取っている。──にもかかわらず、勇者は私の中に子種を出すという無駄な行為も欠かさず行う。
自分の子が欲しいなら、私に構う時間を人間のメスに使うのが賢いというものだ。勇者はおそらくどうしようもない愚か者なのだろう。
初めての絶対的強者が愚か者で、私は本当に運が良かった。
私を食べるでもなく、ただただ孕まそうと無駄な時間を繰り返すのみの毎日。お陰で私は
「出すぞ!」
どくどくと子種を注ぎ、勇者が完全に気を抜いた瞬間を逃さない。足で勇者の身体をガッチリ捕まえ、身体の一部を伸ばして後孔に素早く鋭利な切っ先を突き刺す。
「がっ!?」
昔は分泌出来なかった強烈な麻痺毒を注入。
無詠唱魔法による攻撃と、すぐさま状態異常を回復しようとする身体の働きを邪魔すべく、素早く首筋にも指を突き刺し、そこからも強烈な麻痺毒を大量注入した。
「あ゛、あ゛・・・」
テイムにより自分に敵対行為を働けないと思っていた私からの攻撃に愕然とする勇者の頭を腕で抱き、そのまま顔を胸におしあて、中へと静めていけば、ビクビクと震え窒息した。
「いただきまーす。」
これは勇者の国で物を食べる前に言う言葉だそうだ。
弱小で勇者の足元にも及ばない力しかなかった私だが、勇者の体液を接種し続けているうちに力が増した。
勇者のお陰で私を縛っていたテイムという鎖も断ち切れるようになり、勇者のお陰で勇者を喰らうことが出来るだけの力を手に入れた。
いつか喰らってやろうと虎視眈々と狙いながら、従順にしていて正解だった。
馬鹿な勇者は自分の力を過信し、おとなしく言いなりな私を信じ、警戒心をどこかへ置き忘れた。
勇者をグズグズに溶かしながら全て食べ終えると、勇者の世界で言うところの、莫大な経験値が一気に入った。
コンコンコンー
「勇者様、ちょっとお時間よろしいでしょうか?」
「いいよ、入って。」
勇者に擬態した私は、勇者の仲間の女を部屋に招き入れた。
その後、勇者の仲間たちを平らげた。勇者ほどではないが、仲間たちもかなり良い経験値になってくれて満足だ。
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