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完成した薬

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陛下と家探しの話をしてから3週間が経った。
それからはいつも通りにベットの上で勉強をしていたら何やら廊下が騒がしくなってきた。
ノートから顔を上げ、耳を澄ませていたら部屋のドアが勢いよく開けられた。
そこに立っていたのはケビンさんと、ハミュさん、そして陛下と、王妃様が何やら嬉しそうな顔で立っていた。
数人の大人が笑顔で部屋の前に立っているのを見て少し怖くなった。

「あ、あの?皆さん?そこで何をしているのですか?それに、陛下と、王妃様もどうしたのですか?」

未だ入口の所に立っている皆に声をかけた。
すると、一斉に皆が入って来て、ベットのすぐ横まできた。
そしてケビンさんが

「美久さん‼︎やっと薬が出来ましたよ‼︎これを飲めば体が動くようになります‼︎」

薬が出来た事を嬉しそうに話してくれるケビンさんを見て一瞬思考が停止した。
そして、

「えっ、ほ、本当ですか⁉︎出来たんですか⁉︎そ、それを飲めば…!」

薬が出来て、体が動くようになると聞いて嬉しくなって上手く言葉が出ないが皆分かってくれたようで

「そうですよ!美久さん‼︎これからはベットの上では無く、自分の足で歩けて色んな事出来ますよ!」

ハミュさんが手を握りながら嬉しそうに言ってくれた。
そして王妃様は

「美久さん‼︎それを飲んで動く様になったらお家を探しに行きましょ‼︎勿論私も一緒に行くわよ!楽しみだわ、娘と買い物に行くのが夢だったのよ‼︎ねぇ、貴方⁉︎」

王妃様は王様の腕をバシバシ叩いていた。

「痛いよ王妃、だが、そうだな。これからは娘と色々出来るな。」

二人は嬉しそうに顔を見合わせて微笑んでいた。
二人の会話に突っ込みたくなったが辞めておく…。

「では、そろそろ良いですか?今からこの薬を飲んでもらいます。飲んだ後は暫く安静にして貰ってそれから体を動かすリハビリをしましょう。」

ケビンさんが話を進めてくれてやっと本題に入った。

「はい、あの、それを飲んでも何も起きないですよね?例えば頭が痛くなったり、眠くなったりとか…」

私の質問にケビンさんは首を傾げた。

「この薬は何も起きないので大丈夫ですよ?体が動く様になるだけで…。」

その言葉を聞いて安心した。
そして、

「では、この薬を全部一気に飲んでください。味はとてつもなく苦いですが、我慢してください。」

薬を渡されたが味が苦いと言われ、飲むのを躊躇う。
そして一気に飲み干した。

「ウォェ、ウェー、に、苦い…」

薬を飲み、苦味に危うく吐き出しそうになった。
しかし、そんな事は出来ないので我慢して飲み込んだ。

「だ、大丈夫ですか?そんなに苦かったですか…」

ケビンさんが申し訳なさそうにして、顔を覗き込んできた。

「は、はい、大丈夫です。ただ、とても苦くて…」

「すみません。まさかそこまで苦いとは思いませんで…。
味の確認は出来ないのですみません。」

まさかそこまで苦いとは思っていなかったらしいケビンさんは苦笑いをしていた。
その横でハミュさんが

「これでベットから降りられますね。そして、これからの授業で色々な所に行けますね。」

っと、微笑んでくれて苦かったのが無くなった。
そうだ、これからは自分の足で、行きたい所に行けるんだ!この国の事ももっともっと調べられるんだ‼︎

「ケビンさん、ありがとうございました‼︎ケビンさんのお陰で体が動くようになります。本当にありがとうございます‼︎」

ケビンさんは私の感謝の言葉に微笑んでくれた。

さぁ!これからリハビリを頑張りますか‼︎
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