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不思議な懐中時計2

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皆に気づかれないように目を拭いた。

「ささ、そんな所に立っていないでこちらに座りなさい。ハミュも座りなさいな。
で、聞かせてくれるかい?美久は何故浮かない顔をしていたんだい?」

王様に座るように言われ、王妃様と、王様の前に置かれている椅子に座った。
流石と言うべきかふかふかで座り心地が良い!ってそんな事を思っている場合じゃない!!
これから拾った時計について話をしなければいけない。
上手く話せるのか不安だが、この3人は真面目に聞いてくれると信じている。

「私がこの懐中時計を拾ったのは王妃様と最後に行ったお店で拾ったものなんです。
サイズを測り終えてお店の中を見ていたらふと視界に隅っこが映ったのです。
何気なく見たら何かが落ちている事に気付いたんです。
それでしゃがんで見るとこれが落ちてたんです。」

そう言って、私が拾った懐中時計を3人に見せた。
3人はそれぞれの反応を見せた。
王妃様は不思議なものを見るように見ていて、王様は何やら難しい顔を、ハミュは面白いものを見つけたかのような顔を…

「これは私が元いた世界にある懐中時計と言うものです。この懐中時計はポケットや懐などに入れて持ち歩く用に作られた携帯用時計なんです。
今は腕に着ける腕時計と言うものが有り、懐中時計は腕時計が出来る前に出来た物なんです。
まぁ、説明は省きますけど、何故私が暗い顔をしていたのは何故この世界に元いた世界の物が有るのかと言うことです。
この文字はこの世界では見ない物ですし、時計はあるけど、こんなに小さな持ち運べる時計は無いと言うことです。
なら何故これがお店に落ちていたかです。
それを知りたくてハミュさんに声を掛けたんです。」

上手く言えないけど、頑張って説明をした。
3人の顔を見るとイマイチわかっていない様だった。
私もなんて説明すれば良いのか分からなかった。
誰も喋らずシーンとしていたらハミュさんが

「美久さん、その時計を見せて貰えませんか?」

「良いですよ。これは上のボタン?を押すと開きます。」

そう言い、ハミュさんに渡すと興味津々で時計を見ていた。

「あの、これ、思わず拾って持ってきちゃったんですけど、お店の人に謝った方が良いですよね?」

思わず泣きそうになるのを堪えて聞いてみた。

「いいえ、大丈夫よ。多分、お店の人は気づかなかったはずだから。気付いていたら私に聞いてくるもの。大丈夫よ。そんな不安にならなくても」

王妃様は優しい顔で言ってくれた。
それを聞いて安心した私は思わず泣いてしまった。
懐中時計を見つけてこの世界に無いものが有り、誰にも相談する事が出来ず、ハミュさんに話してみようと覚悟を決めて会いに行けば何故か王様と、王妃様が居る部屋に連れていかれ、緊張し、説明も上手く言えなかったのに王妃様の優しい顔を見て、王妃様の言葉に涙が止まらなくなった。
そんな私を見て王妃様は椅子から立ちあがり、私の側まで来てくれて私をギュッとしてくれた。
初めて王妃様にされて驚いて涙が止まった…。
王妃様は私に

「大丈夫、大丈夫、何があっても私達が貴女を守るから!絶対に‼︎貴女は私達の大事な1人娘なんだから。」

その言葉に止まっていた涙が再び溢れ出てきた。
王妃様にしがみつき、沢山泣いた。
暫くして泣き疲れたのか私は王妃様に抱きつきながら寝てしまった。
目が覚め、起き上がり、辺りを見渡したら何故か豪華なベッドの上で寝ていた。
泣いて目が腫れているのか視界がぼやけて上手く見えない。
そのせいで自分が今誰の部屋に居るのか分からなかった。
しばらくボーッとしていたらドアがノックされ、誰かが入ってきた。
ベットの側まで来てやっと誰なのか分かった。
王妃様だった。

「おはよう、体調はどうかしら?あら、目が腫れてるわね。このタオルを目に乗せて横になっていなさい。」

そう言って王妃様はホカホカのタオルを渡してくれた。
横になり、タオルを目に置いたらあったかくて気持ちよかった。

「あの、此処は何処ですか?」

「あぁ、この部屋は貴女の部屋よ。家を買ったけど、お城に遊びに来て、泊まる時のためのお部屋よ。
どおかしら?私が内装を手掛けたの‼︎一度でいいから女の子の部屋を作ってみたかったの!」

そう言ってニコニコしている王妃様に気になっていた事を聞いた。

「あの、懐中時計はどうなりました?確かハミュさんに渡した筈なんですが…」

あの懐中時計が何処に行ったのかが気になった。
あれは1つしかない私が知る元いた世界の物だから。

「あぁ、あれはハミュが持っているわ。大事な物だから厳重に保管してあるって。」

それを聞いてホッとした。

「ハミュさん、何か言ってませんでしたか?時計のことについて」

「それはハミュ本人から聴きなさい。私は良く分からなかったから。
その前に今日はその腫れた目を治すのに専念する事!!!
そんな目じゃ人前に出られないでしょ!」

早速ハミュさんの所に行こうとしたが王妃様に止められ、腫れた目を治すのに専念した。
早く腫れを治し、懐中時計について聞きたかった。
ハミュさんが何を思ったのを。
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