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アフターケア2
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「……」
「……えっと」
正面には沈んだラド。
その隣を見れば何か言いたげなルーファス。
レトロは自分が何やら良からぬことを言ってしまったらしいことに気づいた。
気付いたところで後の祭りだが。
レトロがどうすることも出来ず無言でルーファスに助けを求める。やがて深い溜息を付くとルーファスはレトロを店の隅に呼びつけ小声で事情を説明し始めた。
「結論を言えば、ラドは保護観察ということになった」
「保護観察?」
ラドは巻き込まれただけで、しかもまだ子供だ。
無罪放免ではないのかとレトロは目で訴えるがルーファスは力なく首を横に振る。
様子を見るにルーファスも其れなりに食い下がったのだろうが、やはりどうしようもない事だってある。
「奴隷の首輪の影響があったとはいえ、ラドが窃盗を働いたのは事実だ。騎士団としてもそのまま野放しには出来ないんだろう」
「それはそうだけど」
「……それに何も知らないとは言え、首領を除けば唯一の生き残りで重要参考人でもある」
「それはルーファスの所為じゃん。お前が下っ端全員始末したからだろ」
レトロが突っかかる。ルーファスは黙った。
自分にも責任があると感じているのか、彼にしては珍しく言い返さずに「とにかく」と話を無理やり先に進める。
「ラドの後見人を探す必要がある」
「なるほどね……ルーファスは?」
「その質問に対する回答は聞かずとも分かるだろう」
「じゃあ他に候補は?」
「一通り当たってみるが、最終的にフローラの所に行くつもりだ」
「フローラかぁ」
レトロは腕を組み考える。
フローラは孤児院を経営しているのでそこに行くつもりだろう。
だが、件の戦争の後に以前よりも子供の数が増えたと言っていたので果たしてラドを受け入れる余裕があるのか……保護観察で後見人が見つかれば今と同じようにこの街の中でなら比較的自由に過ごせるだろう。
見つからなければ、流石に罪人と同じく牢屋にで暮らすことはないだろうが、それでもある程度行動は制限される。
……これは本当に、自分の考えが役に立つときが来たかもしれない。
「バルーさん!」
覚悟を決めたレトロは一つ頷くと、振り向いてチラチラと窓越しに此方の様子を伺っていた店主のバルーを呼ぶ。
呼ばれると思っていなかったのか店主はおっかなビックリといった様子でドアを開ける。
「ど、どうかしたのかい?」
バルーは落ち込んでいるラドの様子を気にしつつも、レトロに声をかける。
「バルーさん、ポッポ堂には跡取りがいないんですよね」
急な話に再び目を丸くしたばルーだったがカクつきながら首を縦に振った。
「あ、あぁ、そうだね。確か面接の時にそんな話をしたね」
「単刀直入に言うんですけど、ラドを跡取りにしませんか?」
「えぇっ!?」
突拍子もない提案に驚くバルーだがそれ以上に驚いているのはラドだ。
視線を上げた先でバルーとラドの目が合い、ラドは気まずそうに目を逸らした。
それを見たバルーは入り口の看板を準備中に変えてレトロの方を振り返る。
「……何か複雑な事情があるみたいだね」
真剣な顔つきになったバルーは「奥で話そうか」と言って三人を奥へと案内した。
■
レトロ、ラド、ルーファスの順番でソファに並んで座り、その正面にバルーと五人分のお茶を用意したカロリーナが腰を下ろした。
「……レトロちゃん、どういうことか説明してもらえるかな」
「はい、実は──」
レトロはバルーとカロリーナに事の仔細を説明した。
パンの配達でルーファスと会ったこと、豪竜の逆鱗という盗賊とラドの関係、それから現在はラドの後継人を探していること……自分とルーファスが六大討滅者であることや一般人には話せない部分などは暈して話す。
「──以上です」
「そうか、そんなことが……」
「レトロちゃんは、どうしてラドくんを跡取りにしようと思ったのかしら?」
腕を組み真剣な表情で考え込むバルーの隣で、カロリーナが普段通りの笑顔でレトロにそう尋ねる。
「ラドは手先が器用で足腰も丈夫だし、多分この街の道にも詳しい……よね?」
レトロが緊張した面持ちのまま固まるラドに話を振れば、ラドはピンと耳を立てたまま何度も大きく頷いた。
「まだ道を覚え切れてない私よりも、配達分野に関してはラドの方が上手かもしれないです」
「そう……ラドくん、で良いのかしら?」
「は、はい」
「パンは好き?」
「……好きです」
少し恥ずかしそうに膝の上に置いた手を握り込みながら「チーズの入ったパンが、好きです」と小さな声で付け加えれば、自分の事を少しでも話してくれたのが嬉しいのかカロリーナは目尻を下げて「私もよ」と柔らかく微笑んだ。
最後まで黙って話を聞き終えたバルーは真っ直ぐにレトロ、ラド、そしてルーファスの順に視線を向けると結論を口にした。
「ラドくんをウチの跡取りにすることは出来ない」
「……えっと」
正面には沈んだラド。
その隣を見れば何か言いたげなルーファス。
レトロは自分が何やら良からぬことを言ってしまったらしいことに気づいた。
気付いたところで後の祭りだが。
レトロがどうすることも出来ず無言でルーファスに助けを求める。やがて深い溜息を付くとルーファスはレトロを店の隅に呼びつけ小声で事情を説明し始めた。
「結論を言えば、ラドは保護観察ということになった」
「保護観察?」
ラドは巻き込まれただけで、しかもまだ子供だ。
無罪放免ではないのかとレトロは目で訴えるがルーファスは力なく首を横に振る。
様子を見るにルーファスも其れなりに食い下がったのだろうが、やはりどうしようもない事だってある。
「奴隷の首輪の影響があったとはいえ、ラドが窃盗を働いたのは事実だ。騎士団としてもそのまま野放しには出来ないんだろう」
「それはそうだけど」
「……それに何も知らないとは言え、首領を除けば唯一の生き残りで重要参考人でもある」
「それはルーファスの所為じゃん。お前が下っ端全員始末したからだろ」
レトロが突っかかる。ルーファスは黙った。
自分にも責任があると感じているのか、彼にしては珍しく言い返さずに「とにかく」と話を無理やり先に進める。
「ラドの後見人を探す必要がある」
「なるほどね……ルーファスは?」
「その質問に対する回答は聞かずとも分かるだろう」
「じゃあ他に候補は?」
「一通り当たってみるが、最終的にフローラの所に行くつもりだ」
「フローラかぁ」
レトロは腕を組み考える。
フローラは孤児院を経営しているのでそこに行くつもりだろう。
だが、件の戦争の後に以前よりも子供の数が増えたと言っていたので果たしてラドを受け入れる余裕があるのか……保護観察で後見人が見つかれば今と同じようにこの街の中でなら比較的自由に過ごせるだろう。
見つからなければ、流石に罪人と同じく牢屋にで暮らすことはないだろうが、それでもある程度行動は制限される。
……これは本当に、自分の考えが役に立つときが来たかもしれない。
「バルーさん!」
覚悟を決めたレトロは一つ頷くと、振り向いてチラチラと窓越しに此方の様子を伺っていた店主のバルーを呼ぶ。
呼ばれると思っていなかったのか店主はおっかなビックリといった様子でドアを開ける。
「ど、どうかしたのかい?」
バルーは落ち込んでいるラドの様子を気にしつつも、レトロに声をかける。
「バルーさん、ポッポ堂には跡取りがいないんですよね」
急な話に再び目を丸くしたばルーだったがカクつきながら首を縦に振った。
「あ、あぁ、そうだね。確か面接の時にそんな話をしたね」
「単刀直入に言うんですけど、ラドを跡取りにしませんか?」
「えぇっ!?」
突拍子もない提案に驚くバルーだがそれ以上に驚いているのはラドだ。
視線を上げた先でバルーとラドの目が合い、ラドは気まずそうに目を逸らした。
それを見たバルーは入り口の看板を準備中に変えてレトロの方を振り返る。
「……何か複雑な事情があるみたいだね」
真剣な顔つきになったバルーは「奥で話そうか」と言って三人を奥へと案内した。
■
レトロ、ラド、ルーファスの順番でソファに並んで座り、その正面にバルーと五人分のお茶を用意したカロリーナが腰を下ろした。
「……レトロちゃん、どういうことか説明してもらえるかな」
「はい、実は──」
レトロはバルーとカロリーナに事の仔細を説明した。
パンの配達でルーファスと会ったこと、豪竜の逆鱗という盗賊とラドの関係、それから現在はラドの後継人を探していること……自分とルーファスが六大討滅者であることや一般人には話せない部分などは暈して話す。
「──以上です」
「そうか、そんなことが……」
「レトロちゃんは、どうしてラドくんを跡取りにしようと思ったのかしら?」
腕を組み真剣な表情で考え込むバルーの隣で、カロリーナが普段通りの笑顔でレトロにそう尋ねる。
「ラドは手先が器用で足腰も丈夫だし、多分この街の道にも詳しい……よね?」
レトロが緊張した面持ちのまま固まるラドに話を振れば、ラドはピンと耳を立てたまま何度も大きく頷いた。
「まだ道を覚え切れてない私よりも、配達分野に関してはラドの方が上手かもしれないです」
「そう……ラドくん、で良いのかしら?」
「は、はい」
「パンは好き?」
「……好きです」
少し恥ずかしそうに膝の上に置いた手を握り込みながら「チーズの入ったパンが、好きです」と小さな声で付け加えれば、自分の事を少しでも話してくれたのが嬉しいのかカロリーナは目尻を下げて「私もよ」と柔らかく微笑んだ。
最後まで黙って話を聞き終えたバルーは真っ直ぐにレトロ、ラド、そしてルーファスの順に視線を向けると結論を口にした。
「ラドくんをウチの跡取りにすることは出来ない」
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