人に嫌われすぎて自殺した俺は異世界ではなぜか慕われてるんですけど!!

ルシェ(Twitter名はカイトGT)

文字の大きさ
18 / 49

〜脅威〜

しおりを挟む
 俺とツバキは競い合うように目標を倒していく。
 結構な数がいたのだが、流石に1時間ぶっ通しで倒し続けていたのでだんだんと見かけなくなってきた。
 2人とも息を切らしながら倒した数匹を答える。

「何匹倒した?」

「わかんないわよ...、途中から倒す事に夢中になって覚えてない...」

「へへん...俺は20匹は倒したぜ!」

「あっ!とりあえず適当に言って騙そうとしてるわね!、だったら私は40匹は倒したし!!」

「はぁ!?、なら俺は60匹だ!!」

 いつになく熱くなる自分に気がついてハッとした。
 相手はツバキだぞ?、なんで俺が熱くなる必要がある?。
 なんとなく可笑しくなった俺はふと冷静に考えてみる。
 横で彼女が騒いでいるのが鬱陶しいが今はそれよりもあの不信な村人の言動が気になっていたのだ。
 なぜ俺の父さんに話を持ちかけてきたのかも疑問ではあるのだが、この程度の魔物を何故自分達で処理しないのか疑問に思っていると、ツバキの顔色が急に強張り俺の顔をみていたので聞いてみる。

「俺の顔に何かついているか?」

「タルト...、後ろ...」

 震える指で俺の背後を指差してきたので振り返ってみると、そこには先ほどの魔物を数倍大きくしたような魔物がいた。

「なんだこいつは...!」

 見た目こそあまり変わってはいないのだが、驚くべき場所はそこではなく大きさにあった。
 成人した男性を遥かに上回る体積をもったそれは子供の脳にも直感的に伝わってくる。
 勝てないと。
 固まる彼女の腕を掴み俺は叫んだ。

「逃げるぞ!」

 俺が駆け出そうしたのだが、彼女は驚き竦み上がっているので動けていなかった。
 俺は舌打ちをしながら彼女の前に立ち短剣を構える。
 勝てる気はしないが、タダで死ぬ気もない。
 足の一本くらいとってやるさという意気込みをしながらしっかりと相手を睨む。
 魔物は声を荒げながら星のアザから魔力のこもったツノを出現させた。
 あれはあの種族の魔物が怒っている証拠だと聞いている。
 正直これはまずい、俺は防御用の魔法なんて使った事もないので、攻撃用の魔法を使われるとなすすべなく殺されるだろう。
 それを察した俺は先手を取る。
 大きくなった分素早さは落ちていると踏んだのだが、それは大きな間違いだった。
 大きくなった分、動きを少なくしたまま攻撃の距離が伸びていた事に気がつかなかった俺は視覚からの一撃を貰う。
 小さい種の時には気にもしなかったが、この攻撃には一瞬魔力を帯びた部分が発生し攻撃範囲が増大するのだった。
 魔法を帯びた部分が丁度俺の腹部に当たり吹き飛ばされる。
 強烈な振動が全身を駆け巡った。
 余りの痛みにのたうち回る俺だったが、こんな事をしている場合ではない。
 なんとか立ち上がると再び剣を構えるが、小さい子供の体では立ち上がるのがやっとで意識すら失いそうである。
 クラクラしている俺をみて勝ち誇ったかのような声を上げる魔物が魔法陣を描き出した。
 ああ、これだったのか...、村人が自分たちで魔物を処理しない理由が今わかったような気がした。
 大きな火球が生成されていく中、俺は棒立ちのままその攻撃を待つしかない。
 どのみち動く力さえ残っていないので他にできる事も無いのだ。
 諦めた俺はその場に跪き最後の時を待っていると、不意に影が俺の前に立った。
 震える足で俺の前に立ち両手を広げている。

「ツバキ!?、何やってんだ!早く逃げろ!」

 俺が決死の声で叫ぶが彼女は逃げない。
 あんなに震えているのに逃げるような素振りすら見せる気配がない。
 徐に俺の方を見た彼女の瞳には涙が溢れていた。

「ごめんねタルト...、こんな事しかできない私を許して...、タルト1人だったらきっと逃げ切れてたよね...、これじゃ足手まといだから最後くらいカッコつけさせてよ」

 そう言いながらも本心では怖いことが丸わかりだ。
 誰だって死ぬのは怖い...、なのに俺は前世で自殺した...。
 くそっ!!、そんな事考えてる場合じゃ無い!!、なにか...この状況を打破できる作戦を考えろ俺!!。
 その時!。
 明らかに不自然な風が流れ、俺の瞳はそちらに向いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  お気に入り・感想、宜しくお願いします。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

処理中です...